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UA-42523422-5
第二次検定(実地)
年別 解答解説


令和5年度
詳細

問題1 経験記述問題
問題2 施工計画(記述)
問題3 施工管理(記述)
問題4 躯体工事(記述)
問題5 仕上工事(五肢)
問題6 法  規(五肢)

令和4年度
詳細

問題1 経験記述問題
問題2 施工計画(記述)
問題3 施工管理(記述)
問題4 仕上工事(記述)
問題5 躯体工事(五肢)
問題6 法  規(五肢)

令和3年度
詳細

問題1 経験記述問題
問題2 仮設計画(記述)
問題3 施工管理(記述)
問題4 躯体工事(記述)
問題5 仕上工事(五肢)
問題6 法  規(五肢)

令和2年度
詳細

問題1 経験記述問題
問題2 施工(仮設)計画
問題3 躯体工事(記述/正誤)
問題4 仕上工事(記述/正誤)
問題5 施工管理
問題6 法  規

令和元年度
詳細

問題1 経験記述問題
問題2 施工(仮設)計画
問題3 躯体工事(記述/正誤)
問題4 仕上工事(記述/正誤)
問題5 施工管理
問題6 法  規

平成30年度
詳細

問題1 経験記述問題
問題2 施工(仮設)計画
問題3 躯体工事(記述/正誤)
問題4 仕上工事(記述/正誤)
問題5 施工管理
問題6 法  規

平成29年度
詳細

問題1 経験記述問題
問題2 施工(仮設)計画
問題3 躯体工事(記述/正誤)
問題4 仕上工事(記述/正誤)
問題5 施工管理
問題6 法  規

平成28年度
詳細

問題1 経験記述問題
問題2 施工(仮設)計画
問題3 躯体工事(記述/正誤)
問題4 仕上工事(記述/正誤)
問題5 施工管理
問題6 法  規

平成27年度
詳細

問題1 経験記述問題
問題2 施工(仮設)計画
問題3 躯体工事(記述/正誤)
問題4 仕上工事(記述/正誤)
問題5 施工管理
問題6 法  規

平成26年度
詳細

問題1 経験記述問題
問題2 施工(仮設)計画
問題3 躯体工事(記述/正誤)
問題4 仕上工事(記述/正誤)
問題5 施工管理
問題6 法  規

平成25年度
詳細

問題1 経験記述問題
問題2 施工(仮設)計画
問題3 躯体工事(記述/正誤)
問題4 仕上工事(記述/正誤)
問題5 施工管理
問題6 法  規

平成24年度
詳細

問題1 経験記述問題
問題2 施工(仮設)計画
問題3 躯体工事(記述/正誤)
問題4 仕上工事(記述/正誤)
問題5 施工管理
問題6 法  規

平成23年度
詳細

問題1 経験記述問題
問題2 施工(仮設)計画
問題3 躯体工事(記述/正誤)
問題4 仕上工事(記述/正誤)
問題5 施工管理
問題6 法  規

第二次検定
過去問 分野別 解答解説
問題1 経験記述 令和04
令和03 令和02 令和元
平成30 平成29 平成28
平成27 平成26 平成25
平成24 平成23
問題2 仮設計画 令和04
令和03 令和02 令和元
平成30 平成29 平成28
平成27 平成26 平成25
平成24 平成23
問題3 施工管理 ※令和4,3年は問題3
それ以前は問題5
令和04 令和03
令和02 令和元 平成30
平成29 平成28 平成27
平成26 平成25 平成24
平成23
問題4 躯体工事 令和04
令和03 令和02 令和元
平成30 平成29 平成28
平成27 平成26 平成25
平成24 平成23
問題5 仕上工事 令和04
令和03 令和02 令和元
平成30 平成29 平成28
平成27 平成26 平成25
平成24 平成23
問題6 法  規 令和04
令和03 令和02 令和元
平成30 平成29 平成28
平成27 平成26 平成25
平成24 平成23
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第一次検定(学科)
年別 解答解説

令和6年度(速報)
詳細

【 午前 】
1. [ No.01 ]〜[ No.06 ]
2. [ No.07 ]〜[ No.15 ]
3. [ No.16 ]〜[ No.20 ]
4. [ No.21 ]〜[ No.30 ]
5. [ No.31 ]〜[ No.40 ]
6. [ No.41 ]〜[ No.44 ]
【 午後 】
7. [ No.45 ]〜[ No.50 ]
8. [ No.51 ]〜[ No.60 ]
9. [ No.61 ]〜[ No.72 ]

令和5年度
詳細

【 午前 】
1. [ No.01 ]〜[ No.15 ]
2. [ No.16 ]〜[ No.20 ]
3. [ No.21 ]〜[ No.30 ]
4. [ No.31 ]〜[ No.39 ]
5. [ No.40 ]〜[ No.44 ]
【 午後 】
6. [ No.45 ]〜[ No.54 ]
7. [ No.55 ]〜[ No.60 ]
8. [ No.61 ]〜[ No.72 ]

令和4年度
詳細

【 午前 】
1. [ No.01 ]〜[ No.15 ]
2. [ No.16 ]〜[ No.20 ]
3. [ No.21 ]〜[ No.30 ]
4. [ No.31 ]〜[ No.39 ]
5. [ No.40 ]〜[ No.44 ]
【 午後 】
6. [ No.45 ]〜[ No.54 ]
7. [ No.55 ]〜[ No.60 ]
8. [ No.61 ]〜[ No.72 ]

令和3年度
詳細

【 午前 】
1. [ No.01 ] 〜[ No.15 ]
2. [ No.16 ] 〜[ No.20 ]
3. [ No.21 ] 〜[ No.33 ]
4. [ No.34 ] 〜[ No.45 ]
5. [ No.46 ] 〜[ No.50 ]
【 午後 】
6. [ No.51 ] 〜[ No.70 ]
7. [ No.71 ] 〜[ No.82 ]

令和2年度
詳細

【 午前 】
1. [ No.01 ] 〜[ No.15 ]
2. [ No.16 ] 〜[ No.20 ]
3. [ No.21 ] 〜[ No.33 ]
4. [ No.34 ] 〜[ No.45 ]
5. [ No.46 ] 〜[ No.50 ]
【 午後 】
6. [ No.51 ] 〜[ No.70 ]
7. [ No.71 ] 〜[ No.82 ]

令和元年度
詳細

【 午前 】
1. [ No.01 ] 〜[ No.15 ]
2. [ No.16 ] 〜[ No.20 ]
3. [ No.21 ] 〜[ No.33 ]
4. [ No.34 ] 〜[ No.45 ]
5. [ No.46 ] 〜[ No.50 ]

【 午後 】
6. [ No.51 ] 〜[ No.70 ]
7. [ No.71 ] 〜[ No.82 ]

平成30年度
詳細

【 午前 】
1. [ No.01 ] 〜[ No.15 ]
2. [ No.16 ] 〜[ No.20 ]
3. [ No.21 ] 〜[ No.33 ]
4. [ No.34 ] 〜[ No.45 ]
5. [ No.46 ] 〜[ No.50 ]

【 午後 】
6. [ No.51 ] 〜[ No.70 ]
7. [ No.71 ] 〜[ No.82 ]

平成29年度
詳細

【 午前 】
1. [ No.01 ] 〜[ No.15 ]
2. [ No.16 ] 〜[ No.20 ]
3. [ No.21 ] 〜[ No.33 ]
4. [ No.34 ] 〜[ No.45 ]
5. [ No.46 ] 〜[ No.50 ]

【 午後 】
6. [ No.51 ] 〜[ No.70 ]
7. [ No.71 ] 〜[ No.82 ]

平成28年度
詳細

【 午前 】
1. [ No.01 ] 〜[ No.15 ]
2. [ No.16 ] 〜[ No.20 ]
3. [ No.21 ] 〜[ No.33 ]
4. [ No.34 ] 〜[ No.45 ]

【 午後 】
5. [ No.46 ] 〜[ No.70 ]
6. [ No.71 ] 〜[ No.82 ]

平成27年度
詳細

【 午前 】      
1. [ No.01 ] 〜[ No.15 ]
2. [ No.16 ] 〜[ No.20 ]
3. [ No.21 ] 〜[ No.33 ]
4. [ No.34 ] 〜[ No.45 ]

【 午後 】
5. [ No.46 ] 〜[ No.70 ]
6. [ No.71 ] 〜[ No.82 ]

平成26年度
詳細

【 午前 】      
1. [ No.01 ] 〜[ No.15 ]
2. [ No.16 ] 〜[ No.20 ]
3. [ No.21 ] 〜[ No.33 ]
4. [ No.34 ] 〜[ No.45 ]

【 午後 】
5. [ No.46 ] 〜[ No.70 ]
6. [ No.71 ] 〜[ No.82 ]

平成25年度
詳細

【 午前 】      
1. [ No.01 ] 〜[ No.15 ]
2. [ No.16 ] 〜[ No.20 ]
3. [ No.21 ] 〜[ No.33 ]
4. [ No.34 ] 〜[ No.45 ]

【 午後 】
5. [ No.46 ] 〜[ No.70 ]
6. [ No.71 ] 〜[ No.82 ]

平成24年度
詳細

【 午前 】      
1. [ No.01 ] 〜[ No.15 ]
2. [ No.16 ] 〜[ No.20 ]
3. [ No.21 ] 〜[ No.33 ]
4. [ No.34 ] 〜[ No.45 ]

【 午後 】
5. [ No.46 ] 〜[ No.70 ]
6. [ No.71 ] 〜[ No.82 ]

平成23年度
詳細

【 午前 】
1. [ No.01 ] 〜[ No.15 ]
2. [ No.16 ] 〜[ No.20 ]
3. [ No.21 ] 〜[ No.33 ]
4. [ No.34 ] 〜[ No.45 ]

【 午後 】
5. [ No.46 ] 〜[ No.70 ]
6. [ No.71 ] 〜[ No.82 ]

第一次検定
過去問 分野別 解答解説
問題1 建築学 令和05 令和04
令和03 令和02 令和元
平成30 平成29 平成28
平成27 平成26 平成25
平成24 平成23
問題2 共通問題 令和05 令和04
令和03 令和02 令和元
平成30 平成29 平成28
平成27 平成26 平成25
平成24 平成23
問題3 躯体工事 令和05 令和04
令和03 令和02 令和元
平成30 平成29 平成28
平成27 平成26 平成25
平成24 平成23
問題4 仕上工事 令和05 令和04
令和03 令和02 令和元
平成30 平成29 平成28
平成27 平成26 平成25
平成24 平成23
問題5 施工計画 令和05 令和04 令和03
問46-50
令和02 令和元
平成30 平成29
問46-51or50
平成28 平成27 平成26
平成25 平成24 平成23
問題6 施工管理 問45-54(10問全問解答)
令和05 令和04 令和03
問51-70(20問全問解答)
令和02 令和元
平成30 平成29
※ 工程管理・品質管理は
問51or50-70
平成28 平成27 平成26
平成25 平成24 平成23
問題7 応用能力 令和05 令和04 令和03
問題8 法  規 問71-82(12問中8問選択)
令和05 令和04
令和03 令和02 令和元
平成30 平成29 平成28
平成27 平成26 平成25
平成24 平成23
建築工事監理指針
1章 各章共通事項 序節 監督職員の立場及び業務
01節 共通事項
02節 工事関係図書
03節 工事現場管理
04節 材  料
05節 施  工
06節 工事検査及び技術検査
07節 完成図等

2章 仮設工事 01節 共通事項
02節 縄張り,遣方 , 足場他
03節 仮設物
04節 仮設物撤去等
05節 揚重運搬機械

3章 土工事 01節 一般事項
02節 根切り及び埋戻し
03節 山留め

4章 地業工事 01節 一般事項
02節 試験及び報告書
03節 既製コンクリート杭地業
04節 鋼杭地業
05節 場所打ちコンクリート杭地業
06節 砂利,砂及び
   捨コンクリート地業等

07節 「標仕」以外の工法

5章 鉄筋工事 01節 一般事項
02節 材  料
03節 加工及び組立て
04節 ガス圧接
05節 機械式継手,溶接継手

6章 コンクリート工事 01節 一般事項
02節 種類及び品質
03節 材料及び調合
04節 発注、製造及び運搬
05節 普通コンの品質管理
06節 現場内運搬並びに
   打込み及び締固め

07節 養  生
08節 型  枠
09節 試  験
10節 軽量コンクリート
11節 寒中コンクリート
12節 暑中コンクリート
13節 マスコンクリート
14節 無筋コンクリート
15節 流動化コンクリート
[ 参考文献 ]

7章 鉄骨工事 01節   一般事項
02節   材  料
03節   工作一般
04節   高力ボルト接合
05節   普通ボルト接合
06節  溶接接合
07節  スタッド,デッキプレート溶接
08節  錆止め塗装
09節   耐火被覆
10節  工事現場施工
11節  軽量形鋼構造
12節  溶融亜鉛めっき工法
13節  鉄骨工事の精度
14節  資  料

8章 コンクリートブロック工事等 01節 一般事項
02節 補強コンクリートブロック造
03節 コンクリートブロック帳壁及び塀
04節 ALCパネル
05節 押出成形セメント板
一般事項、材料
外壁パネル工法
間仕切壁パネル工法
溝掘り及び開口部の処置
     施工上の留意点

9章 防水工事 01節 一般事項
02節 アスファルト防水
03節 改質As.シート防水
04節 合成高分子系
   ルーフィングシート防水

05節 塗膜防水
06節 ケイ酸質系塗布防水
07節 シーリング

10章 石工事 01節 一般事項
02節 材  料
03節 外壁湿式工法
04節 内壁空積工法
05節 乾式工法
06節 床および階段の石張り
07節 特殊部位の石張り

11章 タイル工事 01節 一般事項
02節 セメントモルタルによる
   陶磁器質タイル張り

03節 接着剤による
   陶磁器質タイル張り

04節 陶磁器質タイル
   型枠先付け工法

05節 「標仕」以外の工法

12章 木工事 01節 一般事項
02節 材  料
03節 防腐・防蟻・防虫
04節 RC造等の内部間仕切等
05節 窓、出入り口その他
06節 床板張り
07節 壁及び天井下地
08節 小屋組(標仕以外)
09節 屋根野地,軒回り他
   (標仕以外)

13章 屋根及びとい工事 01節 一般事項
02節 長尺金属板葺
03節 折板葺
04節 粘土瓦葺
05節 と  い

14章 金属工事 01節 一般事項
02節 表面処理
03節 溶接,ろう付けその他
04節 軽量鉄骨天井下地
05節 軽量鉄骨壁下地
06節 金属成形板張り
07節 アルミニウム製笠木
08節 手すり及びタラップ

15章 左官工事 01節 一般事項
02節 モルタル塗り
03節 床コンクリート直均し仕上げ
04節 セルフレベリング材仕上
05節 仕上塗材仕上げ
06節 マスチック塗材仕上げ
07節 せっこうプラスター塗り
08節 ロックウール吹付け

16章 建具工事 01節 一般事項
02節 アルミニウム製建具
03節 樹脂製建具
04節 鋼製建具
05節 鋼製軽量建具
06節 ステンレス製建具
07節 木製建具
08節 建具用金物
09節 自動ドア開閉装置
10節 自閉式上吊り引戸装置
11節 重量シャッター
12節 軽量シャッター
13節 オーバーヘッドドア
14節 ガラス

17章 カーテンウォール工事 01節 共通事項
02節 メタルカーテンウォール
03節 PCカーテンウォール

18章 塗装工事 01節 共通事項
02節 素地ごしらえ
03節 錆止め塗料塗
04節 合成樹脂調合ペイント塗
   (SOP)

05節 クリヤラッカー塗(CL)
06節 アクリル樹脂系
  非水分散形塗料塗(NAD)

07節 耐候性塗料塗(DP)
08節 つや有合成樹脂
  エマルションペイント塗り(EP-G)

09節 合成樹脂エマルションペイント塗
   (EP)

10節 ウレタン樹脂ワニス塗(UC)
11節 オイルステイン塗
12節 木材保護塗料塗(WP)
13節 「標仕」以外の仕様

19章 内装工事 01節 一般事項
02節 モルタル塗り,ビニル床タイル
   及びゴム床タイル張り

03節 カーペット敷き
04節 合成樹脂塗床
05節 フローリング張り
06節 畳敷き
07節 せっこうボード、
   その他ボード、
   及び合板張り

08節 壁紙張り
09節 断熱・防露
10節 内装材料から発生する室内空気汚染物質への対策

20章 ユニットその他工事 01節 共通事項
02節 ユニット工事等
  2 フリーアクセスフロア等
  3 可動間仕切
  4 移動間仕切
  5 トイレブース
  6 手すり
  7 階段滑り止め
  8 床目地棒
  9 黒板,ホワイトボード
 10
 11 表示
 12 タラップ
 13 煙突ライニング
 14 ブラインド
 15 ロールスクリーン
 16 カーテン,カーテンレール
03節 プレキャスト
   コンクリート工事

04節 間知石及び
   コンクリート間知ブロック積み

05節 敷地境界石標

21章 排水工事 01節 共通事項
02節 屋外雨水排水
03節 街きょ,縁石,側溝

22章 舗装工事 01節 共通事項
02節 路  床
03節 路  盤
04節 アスファルト舗装
05節 コンクリート舗装
06節 カラー舗装
07節 透水性アスファルト舗装
08節 ブロック系舗装
09節 砂利敷き
10節 補  修
11節 「標仕」以外の舗装
12節 用  語

23章 植栽,屋上緑化工事 01節 共通事項
02節 植栽基盤
03節 植  樹
04節 芝張り,吹付けは種
   及び地被類

05節 屋上緑化

★鉄骨特集★

構造図の見方
(日本建築構造技術者協議会)

鉄骨工事 工場製作
材料
めっきFAQ
(日本溶融亜鉛鍍金協会)

★鉄骨工事特集


鉄骨用語集
(日鉄エンジニアリング)

ここに注意!
鉄骨工事管理のポイント

工場製作編及び現場施工編
((一社) 日本建設業連合会)

スタッド溶接の施工と管理 技術資料
(日本スタッド工業(株))

設備工事のポイント
(若手向け)

【 着工時 】
1-1 設備工事実施施工計画
1-2 施工図・機器製作図等 作成計画
1-3 電力、電話,上下水道,ガスガス引込計画
1-4 主要機器搬入揚重計画
1-5 設備工事実施施工計画
1-6 総合プロット図の作成
1-7 鉄骨スリーブ、取付ピースの検討
1-8 RC躯体スリーブの検討
1-9 配管の腐食対策
1-10 設備関係官公署手続一覧表
1-11 工事区分表

【 地業・土工事 】
2-1 接地工事
2-2 土間配管

【 地下工事 】
3-1 地中外壁貫通
3-2 機械室・電気室工事
3-3 ピットの検討

【 躯体工事 】
4-1 打込電線管
4-2 デッキスラブのコンクリート打込工事
4-3 防火・防煙区画貫通処理
4-4 防水層貫通処理
4-5 設備機器の耐震対策

【 屋上工事 】
5-1 屋上設備機器設置
5-2 屋上配管・配線・ダクト工事
5-3 防振対策検討
5-4 屋上ハト小屋

【 下地・間仕切り 】
6-1 天井割付と設備器具
6-2 天井内設備工事
6-3 間仕切内配管
6-4 天井内機器取付
6-5 遮音壁貫通処理
6-6 ALCパネル貫通処理
6-7 換気・エアバランス
6-8 性能検査実施要領(工程内検査(配管))

【 中間検査 】
7-1 社内中間検査

【 受 電 】
8-1 受電に向けて
【 内 装 】
9-1 電気・空調機器取付(仕上材との取合い)
9-2 衛生器具取付(仕上材との取合い)

【 外 装 】
10-1 扉・ガラリ関連工事
10-2 外壁面設備器具取付け(1)
10-3 外壁面設備器具取付け(2)
10-4 EVオーバーヘッドの感知器用点検口の防水対策
10-5 保温・塗装工事

【 外 構 】
11-1 外構配管設備工事検討
11-2 外構設置機器検討

【 竣工前 】
12-1 試運転調整
12-2 建築確認完了検査
12-3 消防完了検査
12-4 総合連動試験
12-5 性能検査実施要項(竣工編)

【 引渡し 】
13-1 建物設備取扱説明・保守管理説明
13-2 完成図・保証書
13-3 竣工図書、備品、メーター読合せ

【 その他 】
14-1 社内竣工検査「関係法令、不具合予防」の留意点
(一社) 日本建設業連合会 HPより
★施工計画書雛型
施工計画書の雛型データ
(エクセル形式)
((一社)日本建設業連合会)
Rhinoceros入門

入門?@-1
入門?@-2
入門?@-3
建設物価建築費指数
★建築費指数 2020 .12
コンクリート工事に関するJIS規格

JIS検索
(日本工業標準調査会)

【 種類・強度・品質 】
JIS A 5308に適合する
レディミクストコンクリートの種別
> JIS A 5308  
レディーミクストコンクリート

【 コンクリートの材料 】
■セメント
> JIS R 5210  
ポルトランドセメント
> JIS R 5211  
高炉セメント
> JIS R 5212  
シリカセメント
> JIS R 5213  
フライアッシュセメント
> JIS R 5214  
エコセメント

−−−−−−−−−−−−
■骨材
> JIS A 5005  
コンクリート用砕石及び砕砂
> JIS A 5011-1  
コンクリート用スラグ骨材
 −第 1 部:高炉スラグ骨材

> JIS A 5011-2  
コンクリート用スラグ骨材
 −第 2 部:フェロニッケルスラグ骨材

> JIS A 5011-3  
コンクリート用スラグ骨材
 −第 3 部:銅スラグ骨材

> JIS A 5011-4  
コンクリート用スラグ骨材
 −第 4 部:電気炉酸化スラグ骨材

> JIS A 5021  
コンクリート用再生骨材 H
> JIS A 5022  
再生骨材Mを用いたコンクリート
> JIS A 5023  
再生骨材Lを用いたコンクリート
> JIS A 5031  
一般廃棄物,下水汚泥又は
 それらの焼却灰を溶融固化した
 コンクリート用溶融スラグ骨材


————————————
■混和剤
> JIS A 6204  
コンクリート用化学混和剤
> JIS A 6201  
コンクリート用フライアッシュ
> JIS A 6202
   コンクリート用膨張材
> JIS A 6203  
セメント混和用
 ポリマーディスパージョン及び
 再乳化形粉末樹脂



鉄骨工事に関するJIS規格 
【 溶接材料 】
> JIS B 1198
頭付きスタッド
【 デッキプレート 】
> JIS G 3302 Z08 フェローデッキ
 JIS G3302
溶融亜鉛めっき鋼板及び綱帯

【 錆止め塗装 】
> JIS K 5674
鉛・クロムフリーさび止めペイント
> JIS H 8641 溶融亜鉛めっき

NEWSチャンネル

16章 建具工事 1節 一般事項

16章 建具工事


01節一般事項

16.1.1 適用範囲

(a) 「標仕」では建具を次のように分類し、それぞれの特性等については、節ごとに分けて規定している。建具は、出入口や窓等の機能、アルミニウム製や鋼製等の材料、開きや引違い等の開閉方式、防音や断熱等の性能等に分類できるが、「標仕」では建具を提供する建具製作所の区分に一致する材料により分類している。

平成25年版「標仕」では、JIS A 5558(無可塑ポリ塩化ビニル製建具用形材)で樹脂製建具の形材品質基準が標準化されたこと及び省エネ化促進のため、事務庁令、宿令等の外部建具として、新たに樹脂製建具が規定された。

それぞれの適用範囲は、次の各節による。

  2節 アルミニウム製建具
  3節 樹脂製建具
  4節 鋼製建具
  5節 鋼製軽量建具
  6節 ステンレス製建具
  7節 木製建具
  8節 建具用金物
  9節 自動ドア開閉装置
 10節 自閉式上吊り引戸装置
 11節 重量シャッター
 12節 軽量シャッター
 13節 オーバーヘッドドア
 14節 ガラス

各節の建具等は、事務庁令等に使用する一般的なもの(建具製作所が、通常製作している建具でカタログ等に仕様が指定されているもの)について規定しており、特別注文の建具は対象としていない。また、木製建具は、木造住宅に使用するものを対象とはせず、事務庁舎等の中で使われるものに限定している。


(b) アルミニウム製建具の場合を例にして、作業の流れを図16.1.1に示す。

なお、基本要求品質を確保するため、品質計画を提案させ、これによってプロセスの管理を行う16.1.2(b)及び(c)を参照されたい。

図16.1.1_アルミニウム製建具工事の作業の流れ.jpg

図16.1.1 アルミニウム製建具工事の作業の流れ

(c) 一般に施工図と施工計画書に記載される事項の例を表16.1.1及び表16.1.2に示す。

表16.1.1 建具の施工図の記載事項
表16.1.1_建具の施工図の記載事項.jpg

表16.1.2 施工計画書の記載事項
表16.1.2_施工計画書の記載事項.jpg

これらは、アルミニウム製建具、鋼製建具等の製作に必要な事項であるが、建具の種別、建物の状況、建設場所の立地条件等によっては、要求される性能が異なる場合がある。

また、一般に行われている施工図作成の過程を図16.1.2に示す。図面の早期理解と事前の意思の疎通が必要である。

図16.1.2_施工図作成の過程.jpg
図16.1.2 施工図作成の過程


(d) 「標仕」16章で使われる建具の分類や一般的な各部の名称等は、次に示すとおりである。また、建具ごとに異なる詳細な名称は、各節の補足説明を参照されたい。

(1) 建具の寸法、部材名称等を図16.1.3及び図16.1.4に示す。


図16.1.3_出入口戸の寸法.jpg
図16.1.3 出人口戸の寸法


表16.1.4_防火戸の機構.jpg
図16.1.4 開口部窓に関する名称


(2) 戸の種類と構造の例を表16.1.3に示す。

表16.1.3 戸の構造
表16.1.3_戸の構造.jpg


(3) 戸、窓の開閉方式を図16.1.5に示す。

図16.1.5_戸、窓の開閉方式.jpg
図16.1.5 戸、窓の開閉方式


(4) 戸の開き勝手を図16.1.6に示す。

図16.1.6_戸の開き勝手.jpg
図16.1. 6 戸の開き勝手




16.1. 2 基本要求品質

(a) 「標仕」には、建具の種類に応じた材料が規定されている。主要材料の索材はJISが指定されており、一般にJISに適合する証明を建具製作所から提出させる。

材料のJISについては、2節以降の材料の項を参照されたい。

補助材料の中には、「標仕」で、具体的な品質を規定していないものがある。一般にそれらは、建具製作所が使用しているものとしてよいが、材質等が確認できる資料又は実績を確認する。


(b) 「標仕」には、建具の形状として使用材料の板厚等を規定している。一般にJISがある材料にあっては、JISの呼び名に対応するものを使用するが、これには許容差が含まれている。ただし、実厚の指定のある防火戸に使用する鋼板では、指定された値以下となる許容差は認められないので注意する。

また、製作所で加工し組み立てて、現場に搬入される建具の製品としての寸法精度は、一般の建築部材と比べて高い。しかし、これを現場に取り付けてはじめて建物の一部となるため、いくら製品としての精度が良くても、取り付けた結果の精度が適切でないと、建具としての性能を満足しないことになる。「所定の形状及び寸法を有する」とはまず,使用する材料の原さ等の確認方法をどのようにするか取り付けたのちの建具としてどの程度の精度を確保するかについてあらかじめ「品質計画」において提案させ,これによってプロセスの管理を行うことと考えればよい。

建具の表面状態は、建具の耐久性や意匠上の観点から重要な管理項目である。

一般に表面処理又は塗装が指定されており、現場に搬入された材料が指定どおりであっても、取り付けたのちの仕上り状態が問題である。したがって「所要の仕上り状態」としては、指定された表面処哩等の確認方法のほか、取付け後の傷、汚れ、反り、へこみ、著しい色むら等の許容限度、これらの限度を超えた場合の処置方法も含めて「品質計画」で提案させるようにする。


(c) 建具は、建物の構成材として16.1.7に示すような種類の性能が要求され、必要な性能が設計図書に特記される。外部に面する建具の性能値としては、耐風圧性、気密性及び水密性が特記されるが、耐風圧性は法令に定められた基準がある。その他の性能は、建物のグレード等に応じて設計担当者が特記する。

建具に求められる性能は、建具の種類や取り付けられる部位ごとに異なるものであり、例えば、シャッターやオーバーヘッドドアでは、気密及び水密性は要求されず、耐風圧性のみが要求される。また、屋内用で、遮音又は気密性が要求される建具では、これらの性能が特記される。

一方、16.1.7に示す性能は、製品としての建具の性能であり、建物の部位としてのものではない。これは、一般に取り付けられた状態での性能は、確認が困難であり、事実上は不可能なことによる。このため、建具工事では、要求される性能をもつ建具製品を建物に取り付けることで、要求される性能が確保できるようにする必要がある。

以上のことから、「所定の性能を有する」とは、建具製品としての性能の確認方法、製品の性能が確保できる取付け方法等について「品質計画」で明らかにし、定められた方法が手順どおり行われたことを、どのように確認し記録していくかを提案させ、実施させることと考えてよい。

一般に、建物の耐震性は構造部材の安全性だけでなく、建具や内装等の非構造部材の安全性も重要な事項であるが、耐風圧性、気密性、水密性等とは異なり、建具の耐震性が具体的に特記されることは少ない。しかし、非構造部材としての耐震性を付与することは重要である。「所要の耐震性能を有する」こととは、窓ガラスの破損に対する安全性の確認等も含めて16.1.7 (a)(6)を参考にして検討を行うことと考えればよい。

なお、大きな層間変位に対応させるには、意匠、構造を含めた設計上の検討が必要となる場合が多いので関係者を含めて打合せを行い、必要に応じて「標仕」1.1.8による協議を行う。


16.1.3 防火戸

a) 防火戸の取扱い

(1) 網入板ガラスや耐熱板ガラスの使用又は設備との関係等重要な事項は、防火区画や防煙区画が分からなければ適切な建具の配置を計画できない。防火区画や防煙区画は、本来設計図に明示されているものであるが、明示のない場合もあるので、計画通知書(確認申請書)に付属する図面の写し等により確認を行う。

(2) 耐熱板ガラスはJIS規格が制定されておらず、「標仕」にも規定されていないが、耐熱板ガラスを使用して大臣認定を取得したものがある。

(3) 常時解放型の防火戸の機構は、一般に表16.1.4のようなものである。

表16.1.4 防火戸の機構
表16.1.4_防火戸の機構.jpg

(b) 法令等に関連して、建具を防火戸とする箇所は、おおむね次のとおりである。

?@ 防火区画
?A 延焼のおそれのある部分
?B 防火区画に接する外壁
?C 避難階段
?D 変電室
?E 発電機室.
?F 蓄電池室
?G 機械室・ボイラー室
?H 書庫
?I 防災センター


(c) 防火戸
(1) 防火戸の運用
 防火戸は二つの形態で運用される。

?@ 国土交通大臣が定めた構造方法による製品(例示仕様)を使用する。

具体的には、平成12年建設省告示第1360号及び同第1369号に基づいて製作された製品を使用し施工する。この場合は、法律で定められた構造で施工するので認定書や認定番号はない。したがって、施工する仕様が規定に適合するか確認する。

?A 国土交通大臣の認定を受けたもの(個別認定)を使用する。

建築基準法で構造方法が規定された ?@以外のものは、個別に試験を受けて国土交通大臣の認定を取得する必要がある。個別認定品には認定番号と認定書があるので写しを確認する。認定番号は、特定防火設備がEA - □□□□(4桁の数字)、防火設備がEB - □□□□となっている。


(2) ガラス入り特定防火設備として、耐熱板ガラス及び網入板ガラスを一部使用して個別認定を受けているものがある。この防火設備については、(-社)日本サッシ協会から「ガラス入り特定防火設備運用指針/安全設計指針」が発行されているので参考にするとよい。

同様に樹脂製・木製で防火設備や特定防火設備の認定を受けたものも多く使われている。


(3) 遮煙性能を有する防火設備に関しては、建築基地法施行令第112条第9項及び第14項で、たて穴区画(吹抜き部、階段の部分、昇降機の昇降路の部分、ダクトスペースその他これらに類する部分)はその他の部分と遮煙性能を有する防火設備で区画するように義務付けている。

昇降機(EV)の昇降路に関しては昭和56年建設省告示第1111号が平成14年-5月に失効したことから、新しく遮煙性能をもつ防火設備として国土交通大臣認定CAS - □□□□/複合防火設備(準耐火構造壁・床付き)が誕生し、多くの認定品が使われるようになってきている。

しかし、施行令第112条では昇降路と同様に階段室等のたて穴区画にも義務付けていることから、平成16年3月22日の消防法改正では、同区画の防火設備の遮煙性を高める方法として、昇降路で認定され性能が明確な国土交通大臣認定 CAS - 0257等がこれに適合すると推奨しているので参考にするとよい。

(4) 防火戸にがらりを設ける場合は、防火ダンパー付きのものとする必要がある。


(d) 防火戸の安全性

防火シャッター、自動回転ドア等の事故発生に伴う防止措置として、平成17年 12月1日建築基準法施行令第112条第14項第一号ロが施行され、防火区画に取付けの防火戸(特定防火設備又は防火設備)の閉鎖作動時に、周囲の人の生命又は身体の安全確保のため、危害防止措置の対応が義務付けられた。危害防止措置の要求性能は、昭和48年建設省告示第2563号(最終改正 平成17年12月1日国土交通省告示第1392号)に規定されており、概要は次のとおりである。

(i) 閉鎖作動時の運動エネルギー(MV 2 /2)が 10J以下であること。
ただし、
 M:防火設備の質量(kg)
 V:防火設備の閉鎖作動時の速度(m/s)

(ii) 防火設備の質量が15kg以下であること。ただし、質量が15kgを超える場合は、水平方向に閉鎖するもので閉じ力が150N以下であること、又は周囲の人と接触した場合に 5cm以内に停止すること。


16. 1. 4 見本の製作等

特別注文の建具が特記される場合等では、その製作に先立ち、性能と機能を確認するため見本品が製作されることがある。特記により建具見本品を製作する場合は、見本品の製作期間と性能(水密性、気密性、強度、遮音性等)、機能(開閉等)の確認試験期間を製作工程に見込む必要がある。


16.1.5 取付け調整等

(a) 建具工事の品質管理としては、製作所による社内検査と取付け後の建具の調整により当初の建具の品質が確保されていることを確認する検査がある。

(b) 社内検査
(1) 社内検査の要領は、施工計画書で示されるので、その要領に基づいて検査を行わせ、結果を報告書として提出させるとよい。


(2) 報告書の主な内容は、次のとおりである。

?@ 建具符号、形式
?A 全体の形状、使用材科の材質・板厚等
?B 表面処理の種別及び皮膜又は複合皮膜の種類(「標仕」表14.2.1[表面処理の種別]による)
?C 主要部分の寸法精度(JIS A 4702 (ドアセット)又はJIS A 4706(サッシ)による)
?D 漏水防止処置
?E 仕上げの状態
?F その他必要に応じて開閉の作動状況等

(3) 最近では、建具材料の加工にNC加工機を使用する例が増えてきており、同一形式の建具の場合、寸法精度については抽出検査としてよい。

(c) 「標仕」16.1.5(a)の「取付け調整」は、具体的には次の事項が調整されていることをいう。
(1) 開閉作動が円滑であること。
(2) 施錠、解錠の操作が円滑であること。
(3) 施錠後に大きながたつきがないこと。
(4) 付属金物(はずれ止め、戸当り、ドアクローザー等)の取付け、調整が完了していること。


(d) モルタル、プラスター等が長時間アルミニウム材に付着すると変色することがある。固化する前は、容易に取り除けるので、早期に水洗い等により清掃し除去する必要がある。




16.1.6 その他

(a) 最近の建具では、開閉操作が複雑なものもある。オーバーヘッドドア等では誤操作が事故につながる可能性もあり、適宜、建具製作所より操作方法の表示情報を得て表示するとともに、工事完成時には、「標仕」1.7.3に基づき取扱い説明書を整備する必要がある。

(b) 個人情報保護法施行に伴い、個人情報を預かる公共建物においては開口部の不正侵入防止対策が必要となってきている。また、近年の侵入犯罪の増加に伴い、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に定められた日本住宅性能表示基準に「防犯に関すること(開口部の侵入防止対策)」が追加され.その中で侵入を防止する性能が確かめられた部品として「防犯建物部品」が該当されるものとされた。このような背景から、「防犯建物部品」が特記されることが予想される。

「防犯建物部品」とは、「防犯性能の高い建物部品の開発・普及に関する官民合同会議」が、一定の防犯性能があると評価した建物部品であり、「官民合同会議」が公表する「防犯性能の高い建物部品目録」に掲載されたものである。

部品ごと、に定められた試験方法により合格したものが、5分間の侵入抵抗性能があると認められ、それらには「CPマーク」表示がなされる(図16.1.7参照)。また、公表された「防犯建物部品」(建具関連)は、公表されたガラス、ウィンドウフィルム及び錠を組み込むことにより防犯性能が確保されるということになっている。

図16.1.7_CPマーク.jpg
図16.1.7 CPマーク

なお、「防犯建物部品」には業界別に次の?@ から?F のものがある。詳細は(公社)全国防犯協会連合会又は各団体のホームページに掲載されているので参考にされたい。

?@ 窓関係(サッシ全般、雨戸、面格子、窓シャッター):(-社)日本サッシ協会
?A ドア関係(ドアA種、ガラスドア、引戸、ガラス引戸):(-社)日本サッシ協会
?B ドア関係(ドアB種):(-社)日本シャッター・ドア協会
?C シャッター関係(重量・軽量シャッター、オーバーヘッドドア、スイッチボックス、窓シャッター):(-社)日本シャッター・ドア協会
?D 錠関係(錠、電気錠、シリンダー、サムターン):日本ロック工業会
?E ガラス関係:板硝子協会
?F ウインドウフィルム:日本ウインドウフィルム工業会


16.1.7 建具の性能等

(a) 建具に共通する主な性能の概要は、次のとおりである。

なお、特別注文の建具であっても、性能確認のための試験には多大な経費を要する場合があるので、試験の実施が特記されていない場合は、試験を強要してはならない。

(1) 耐風圧性

JIS A 4702 (ドアセット)又はJIS A 4706(サッシ)に規定される等級が特記される。

等級を超える風圧力の場合は、性能を確保するための品質基準を含めて風圧力の数値が特記される。

また、高さ60mを超える建物については、(-社)日本建築学会「建築物荷重指針・同解説」6章[風荷重]を用いる場合もある。

なお、平成12年建設省告示第1458号では、「高さ13m以下の建築物」、「高さ 13mを超える建築物の高さ13m以下の部分で高さ13mを超える部分の構造耐カ上の影響を受けない部分及び1階の部分又はこれに類する屋外からの出入口(専ら避難に供するものを除く。)を有する階の部分」の屋外に面する帳壁は適用除外とされている。高さ13m以下の部位に作用する風圧力については、「建築物荷重指針・同解説」に定める計算式によるほか、2節以降に掲げる建具の種類に応じた計算方法(16.2.2(a)、16.3.2(a)、16.11.2(c)、16.13.2(b). 16.14.2(b)参照)によって算定することができる。また、同告示に規定する計算式を高さ13m以下にそのまま適用することも技術的には可能である。

性能の確認は、部材の構造計算又は建具製作所で実施した試験の報告書等により行う。

特記により試験を行う場合は、JIS A 1515(建具の耐風圧性試験方法)による。


(2) 気密性

JIS A 4702又はJIS A 4706に規定される等級又は圧力差10Paに対する単位面積、単位時間当たりの通気量(m 3 /m 2 ・ h)が特記される。

性能の確認は、建具製作所で実施した類似建具の試験の報告書等により行う。

特記により試験を行う場合は、JIS A 1516(建具の気密性試験方法)による。


(3) 水密性

JIS A 4702又はJIS A 4706に規定される等級が特記される。

なお、等級を超える条件の場合は、JIS A 1517(建具の水密性試験方法)での室内側に漏水を生じない限界の上限圧力差又は平均圧力差が特記される。

性能の確認は、建具製作所で実施した類似建具の試験の報告内等により行う。

特記により試験を行う場合は.JISA1517による。


(4) 遮音性

JIS A 4702又はJIS A 4706に規定される等級が特記される。

性能の確認は、建具製作所で実施した類似建具の試験の報告書等により行う。

特記により試験を行う場合は、JIS A 1416(実験室における建築部材の空気音遮断性能の測定方法)に準ずる。


(5) 断熱性

(i) JIS A 4702若しくはJIS A 4706に規定される等級又はJIS A 2102-1(窓及びドアの熱性能ー熱貫流率の計算ー第1部:一般)及びJIS A 2102-2(窓及びドアの熱性能ー熱貫流率の計算ー第2部:フレームの数値計算方法)に基づく熱貫流率計算(単位面積1m 2 の温度差1Kに対する通過熱量)の熱貫流率 (W/m 2 ・K)で特記される。

性能の確認はJIS A 2102-1及びJIS A 2102-2に基づく熱貫流率計算又は建具製作所で実施した類似建具の試験の報告書等により行う。

特記により試験を行う場合は、JIS A 4710(建具の断熱性試験方法)による。


(ii) 住宅の窓等の断熱性能表示

住宅の窓等に関して、エネルギーの使用の合理化に関する法律第86条(一般消費者への情報の提供)に基づき「窓等の断熱性能に係る情報提供に関するガイドライン」(住宅の窓を製造し、又は輸入する事業を行う者が当該窓の断熱性に係る品質の一般消骰者への情報提供のための表示に関し講ずべき措置に関する指針)(平成19年12月28日経済産業省告示第321号 最終改正平成22年5月24日)が経済産業省より公表されているので参考に示す。

同ガイドラインに基づき「窓」(住宅用の窓におけるガラス組込み完成品)を完成させた建具製作所の場合、個々の商品に対し、出荷段階において表16.1.5の表示区分で「省エネ建材等級ラベル」(図16.1.8参照)を張り付けている。

省エネ建材等級ラベル.jpg
図16.1.8 省エネ建材等級ラベル


表16.1.5 省エネ建材等級ラベルの表示区分表示区分
表16.1.5_省エネ建材等級ラベルの表示区分.jpg

(6) 耐震性

建具の耐震性は、一般に建物の層間変位に対して窓ガラスが破損・脱落して人的被害を及ぼさないようにすることである。

建具にはめ込まれた窓ガラスの建物の層間変位に対する安全性は、図16.1.9に示すブーカムの提案式によって求めてよい。

なお、この式はガラスとその周囲の枠との関係を示すものである。

一般に固定窓(FIX)部では、層間変位が直接枠に作用するのでこのまま適用できる。しかし、可動部では、枠と障子との間に隙間があるため、まず枠が変形し障子にぶつかり、はじめて障子が変形する。また、引戸では、更に障子の回転も考慮できる。したがって、障子にはめ込まれたガラスの層間変位に対する安全性は、多くの震災でも証明されているように、固定窓の場合に比べはるかに高い。

また、ドアセットの層間変位に対する安全性は、16.4.2(e)による。

図16.1.9中の?@ が平常時の状態であり、ガラス小口とサッシのガラス溝との間には、C1〜C4の隙問(エッジクリアランス)が設けられている(16.14.3 (a) (2)参照)。建物の層間変位によって、建具の上下枠間に変位が生じ、?A から?Bの状態へと移って行く。

?B の状態(建具の上下隙間の変位がδ2)が、窓ガラスの終局的な状態であり、建物の層間変位で建具がこのような状況にならなければ窓ガラスは安全であるといえる。

建物の層間変位は、建物の剛性によって決まるものであり、特記がない場合には、設計担当者に確認する必要がある。

一般に中層建物では、S造はRC造に比べ剛性が比較的小さいため層間変形角 1/150程度が妥当であるが、一般普及品の固定窓(FIX)部においては、サッシの細長比の関係により、ガラスエッジクリアランスが確保できない場合が起こり得るので配慮が必要である。


図16.1.9_窓ガラスの層間変位に対する安全性(ブーカムの提案式).jpg
図16.1.9 窓ガラスの層間変位に対する安全性(ブーカムの提案式)


(b) 建具に関する関連知識

(1)屋上の外開き戸は、風にあおられるおそれがあり、また、内開き戸は雨仕舞が悪いのでなるべく引戸にするのがよい。

なお、やむを得ず外開き戸にする場合は、図16.1.10のように適切な位置に戸当り等を付け、戸の変形を防止するのがよい。戸当りの位置及び大きさは、取っ手(握り玉等)の大きさを考慮する。

図16.1.10_屋上の外開き戸の納まり.jpg
図16.1.10 屋上の外開き戸の納まり

(2) 建具の下辺で防水層と取合う部分は、雨仕舞に十分注意する。

なお、屋上、屋根の仕上げ面から建具下端までの寸法は、200mm以上とするのがよい。


(3) 排煙窓

外倒し窓、内倒し窓等がある。機構は、手動式と電動式(手動併用)等があり、煙感知器と連動して自動開放することができる。手動式の開放操作は、ワンタッチで引手及びレバーを引くものと、オペレーターでプッシュボタンを押すものがある。閉鎖操作は、ハンドルを回す。手動開放装置の操作部分は、建築基準法施行令第126条の3に「壁に設ける場合においては床面から80cm以上1.5m以下の高さの位置に、天井から吊り下げて設ける場合においては床面からおおむね1.8mの高さの位置に設け、かつ、見やすい方法でその使用方法を表示すること。」と定められている。電動式の解放操作は、個別、プッシュボタン又は手動ハンドルによることもでき、集中制御にすることが可能である。引違い窓等を排煙設備とする場合は、クレセントの取付け高さに注意する。

(4) 防煙垂れ壁

固定方式と可動方式がある。可動方式には、回転降下方式、垂直降下方式とがあり、その機構は、煙感知器、熱感知器連動及び手動方式がある。


(5) 耐火クロス製防火/防煙スクリーン

性能規定化に伴い、ガラスクロス等を用いた巻取り式の防火設備は、特定防火設備等の国土交通大臣の認定が必要である。


(6) がらり

(i) 給排気のためのがらりの有効開口部(フリーエリア)は、図16.1.11のS又はS’寸法の小さい方に隙間の長さを掛けたものの和である。

(ii) がらりの羽根の形は、図16.1.11の(イ) が一般的である。風当たりの強いところでは雨、雪の吹込みに対する対策のために、(ロ) とするか又は羽根の重なりLを大きくする。また、強風時の雨、雪の吹込み対策として、羽根をたてに設置したたて形がらりも市販されている。

なお、がらりの面積や間口率については、設計担当者に確認しておく必要がある。


(iii) 廊下と部屋の間に設ける場合は、一般に図16.1.11の(ハ) の形にするか又は(イ) の形にして内部を部屋側にして廊下から足元が見えないようにする。(ハ) の形では、d寸法をあまり小さくすると製作誤差で、部屋の光が外に見えるおそれがあるので注意する。


図16.1.11_がらりの羽根.jpg
図16.1.11 がらりの羽根

(c) 特別注文の建具に対する対応

本来、「標仕」の適用範囲外であるが、意匠性から特別注文の建具が設計図書に明示されることも多い。しかし、(a) に示したように、特別注文の建具の性能の確認手段は、その多くが新たな実験を伴うこととなる。更に、建具の詳細設計をする費用と期間を要し、大幅なコスト増は避けられない。

したがって、特別注文の建具を指示する場合には、必ずその旨が特記されてなければならない。


(d) 法令及びJIS

(1) 法令(耐力関連)

(i) 建築基準法施行令の関連部分の抜粋を次に示す。

建築基準法施行令
(屋根ふき材等の緊結)

第39条
屋根ふき材、内装材、外装材、帳壁その他これらに類する建築物の部分及び広告塔、装飾塔その他建築物の屋外に取り付けるものは、風圧並びに地震その他の震動及び衝撃によって脱落しないようにしなければならない。

2 屋根ふき材、外装材及び屋外に面する帳壁の構造は、構造耐力上安全なものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものとしなければならない。

(屋根ふき材等の構造計算)
第82条の4
屋根ふき材、外装材及び屋外に面する帳壁については、国土交通大臣が定める基準に従った構造計算によって風圧に対して構造耐力上安全であることを確かめなければならない。


(限界耐力計算)
第82条の5(第1項 第一号〜第六号 省略)

七 極根ふき材、外装材及び屋外に面する帳壁が第三号二の規定によって計算した建築物の各階に生ずる水平方向の層間変位及び同号ロの規定によって計算した建築物の損傷限界固有周期に応じて建築物の各階に生ずる加速度を考慮して国土交通大臣が定める基準に従った構造計算によって風圧並びに地震その他の震動及び衝撃に対して構造耐力上安全であることを確かめること。


(ii) 建設省告示「屋根ふき材、外装材及び屋外に面する帳壁の構造方法を定める件」の抜粋を次に示す。


屋根ふき材、外装材及び屋外に面する帳壁の構造方法を定める件

(昭和46年1月29日 建設省告示第109号最終改正平成12年5月23日)

建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第39条第2項の規定に基づき、屋根ふき材、外装材及び屋外に面する帳壁の構造方法を次のように定める。

第1屋根ふき材は、次に定めるところによらなければならない。(第一号〜第三号 省略)

第2外装材は次の各号に定めるところによらなければならない。(第一り及び第二号省略)

第3地階を除く階数が 3以上である建築物の屋外に面する帳壁は、次に定めるところによらなければならない。

一 帳壁及び支持構造部分は、荷重又は外力により脱落することがないように構造耐力上主要な部分に取り付けること。

ニ プレキャストコンクリート板を使用する板壁は、その上部又は下部の支持構造部分において可動すること。ただし、構造計算又は実験によってプレキャストコンクリート板を使用する帳壁及びその他の支持構造部分に著しい変形が生じないことを確かめた場合にあっては、この限りでない。


三 鉄網モルタル塗の帳壁に使用するラスシート、ワイヤラス又はメタルラスは、日本産業規格(以下「JIS」という。)A5524(ラスシート(角波亜鉛鉄板ラス))-1994、JIS A5504(ワイヤラス)ー1994又はJIS A5505(メタルラス)-1995にそれぞれ適合するか、又はこれらと同等以上の性能を有することとし、かつ、間柱又は胴縁その他の下地材に緊結すること。

四 帳壁としてガラス入りのはめごろし戸(網入ガラス入りのものを除く。)を設ける場合にあっては、硬化性のシーリング材を使用しないこと。ただし、ガラスの落下による危害を防止するための措置が講じられている場合にあっては、この限りでない。

五 高さ31メートルを超える建築物(高さ31メートル以下の部分で高さ31メートルを超える部分の構造耐力上の影響を受けない部分を除く。)の屋外に面する帳壁は、その高さの150分の1の層間変位に対して脱落しないこと。ただし、構造計算によって帳壁が脱落しないことを確かめた場合においては、この限りでない。



(?B) 建設省告示「屋根ふき材及び屋外に面する帳壁の風圧に対する構造耐力上の安全性を確かめるための構造計算の基準を定める件」の抜粋を次に示す。


屋根ふき材及び屋外に面する帳壁の風圧に対する構造耐力上の安全性を確かめるための構造計算の基準を定める件
(平成12年5月31日 建設省告示第1458号最終正平成19年9月27日)

建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第82条の4の規定に基づき、屋根ふき材及び屋外に面する帳壁の風圧に対する構造耐力上の安全性を確かめるための構造計算の基準を次のように定める。

1 建築基準法施行令(以下「令」という。)第82条の4に規定する屋根ふき材及び屋外に面する帳壁(高さ13メートルを超える建築物(高さ13メートル以下の部分で高さ 13メートルを超える部分の構造耐力上の影響を受けない部分及び1階の部分又はこれに類する屋外からの出入口(専ら避難に供するものを除く。)を有する階の部分を除く。)の帳壁に限る。)の風圧に対する構造耐力上の安全性を確かめるための構造計算の基準は次のとおりとする。

一 次の式によって計算した風圧力に対して安全上支障のないこと。

風圧力W.jpg


二 帳壁にガラスを使用する場合には、第一号の規定により計算した風圧力が、当該ガラスの種類、構成、板厚及び見付面積に応じて次の表により計算した許容耐力を超えないことを確かめること。

風圧力の許容耐力.jpg



(iv) 建設省告示「Eの数値を算出する方法並びにV0及び風力係数の数値を定める件」の抜粋を次に示す。


Eの数値を算出する方法並びにVo及び風力係数の数値を定める件
(平成12年5月31日 建設省告示第1454号)

建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第87条第2項及び第4項の規定に基づき、Eの数値を算出する方法並びにVo及び風力係数の数値を次のように定める。

第1 (省略)


2 前項の式のErは、次の表に掲げる式によって算出するものとする。ただし、局地的な地形や地物の影響により平均風速が割り増されるおそれのある場合においては、その影響を考慮しなければならない。

Erを算出する際の基準.jpg


(v) 建設省告示「損傷限界変位、Td、Bdi.、層間変位、安全限界変位、Ts、Bsi、.Fh 及び Gs を計算する方法並びに屋根ふき材等及び外壁等の構造耐力上の安全を確かめるための構造計算の基準を定める件」の抜粋を次に示す。


損傷限界変位、Td、Bdi、層間変位、安全限界変位、Ts、Bsi、Fh及びGsを計算する方法並びに屋根ふき材等及び外壁等の構造耐力上の安全を確かめるための構造計尊の基準を定める件

(平成12年5月31日 建設省告示第1457号 最終改正平成19年9月27日)

建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第82条の5第三号イから二まで、第五号、第七号並びに第八りの規定に基づき、損傷限界変位、Td、Bd、層間変位、安全限界変位、Ts、Bsi、Fh及びGsを計算する方法並びに屋根ふき材等の構造耐力上の安全を確かめるための構造計算の基準を次のように定める。(第1〜第10省略)

第11 令第82条の5第七号に規定する屋根ふき材、外装材及び屋外に面する帳壁の構造i計算の基準は、次のとおりとする。

ー 風圧力に対して、平成12年建設省告示第1458号に規定する構造計算を行うこと。

二 地震力に対して、次に定める方法により構造計算を行うこと。ただし、令第39条の規定に適合し、かつ、令第82条の6第三号の規定により求めた建築物の層間変位の当該各階の高さに対する割合が200分の1以下であることが確かめられた場合においては、この限りでない。

イ 屋根ふき材について、建築物の損傷限界時に屋根ふき材が取り付く階に生ずる加速度によって当該屋根ふき材の面内及び面外に作用する力を求め、当該力により緊結部分に生ずる応力度が短期に生ずる力に対する許容応力度を超えないことを確かめること。

ロ 外装材及び屋外に面する帳壁(以下「外装材等」という。)について、建築物の損傷限界時における外装材等が取り付く部分の上下の部分に生ずる加速度によって当該帳壁等の面内及び面外に作用する力を求め、当該力により緊結部分に生ずる応力度が短期に生ずる力に対する許容応力度を超えないことを確かめること。

ハ 外装材等について、建築物の損傷限界時における外装材等が取り付く階に生ずる層間変位を求め、当該変位により緊結部分に生ずる応力度が短期に生ずる力に対する許容応力度を超えないことを確かめること。 ただし、当該部分の脱落防止その他有効な手法を用いて、地震に対する安全性が同等以上であることが確かめられた場合においては、この限りでない。



(2) 法 令(防火設備関連)

(i) 建築基準法の関述部分の抜粋を次に示す。

建築基準法

(用語の定義)
第2条
この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

九の二 耐火建築物
次に掲げる基準に適合する建築物をいう。

ロ その外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に、防火戸その他の政令で定める防火設備(その構造が遮炎性能(通常の火災時における火災を有効に遮るために防火設備に必要とされる性能をいう。)に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国上交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものに限る。)を有すること。


(外壁の開口部の防火戸)
第64条
防火地域又は準防火地域内にある建築物は、その外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に、防火戸その他の政令で定める防火設備(その構造が準遮炎性能(建築物の周囲において発生する通常の火災時における火炎を有効に遮るために防火設備に必要とされる性能をいう。)に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものに限る。)を設けなければならない。


(?A) 建築基準法施行令の関係部分の抜粋

建築基準法施行令

(防火戸その他の防火設備)
第109条
法第2条第九号のニロ及び法第64条の政令で定める防火設備は、防火戸、ドレンチャーその他火災を遮る設備とする。

2 隣地桜界線、道路中心線又は同一敷地内の2以上の建築物(延べ面積の合計が500平方メートル以内の建築物は、1の建築物とみなす。)相互の外壁間の中心線のあらゆる部分で、開口部から1階にあっては3メートル以下、2階以上にあっては5メートル以下の距離にあるものと当該開口部とを遮る外壁、そで壁、塀その他これらに類するものは、前項の防火設備とみなす。


(遮炎性能に関する技術的基準)
第109条の2
法第2条第九号のニロの政令で定める技術的基準は、防火設備に通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後20分間当該加熱面以外の面に火炎を出さないものであることとする。


(防火区画)
第112条
主要構造部を耐火構造とした建築物又は法第2条第九号の三イ若しくは口のいずれかに該当する建築物で、延べ面積(スプリンクラー設備、水噴霧消火設備、泡消火設備その他これらに類するもので自動式のものを設けた部分の床面積の2分の1に相当する床面積を除く。以下この条において同じ。)が1500平方メートルを超えるものは、床面積(スプリンクラー設備、水噴霧消火設備、泡消火設備その他これらに類するもので自動式のものを設けた部分の床面積の2分の1に相当する床面積を除く。以下この条において同じ。)の合計1500平方メートル以内ごとに第115条の2の2第1項第一号に掲げる基準に適合する準耐火構造の床若しくは壁又は特定防火設備(第109条に規定する防火設備であって、これに通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後1時間当該加熱面以外の面に火炎を出さないものとして、国上交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものをいう。以下同じ。)で区画しなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する建築物の部分でその用途上やむを得ない場合においては、この限りでない。

(省略)
二 階段当の部分又は昇降機の昇降路の部分(当該昇降機の乗降のための乗降ロビーの部分を含む。)で第115条の2の2第1項第一号に掲げる基準に適合する準耐火構造の床若しくは壁又は特定防火設備で区画されたもの

2〜13(省略)

14 第1項から第5項まで、第8項又は前項の規定による区画に用いる特定防火設備及び第5項、第8項、第9項又は節12項の規定による区画に用いる法第2条第九号の二ロに規定する防火設備は、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める構造のものとしなければならない。

ー 第1項本文、第2項若しくは第3項の規定による区画に用いる特定防火設備又は第5項の規定による区画に用いる法第2条第九号のニロに規定する防火設備

次に掲げる要件を満たすものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたもの

イ 常時閉鎖若しくは作動をした状態にあるか、又は随時閉鎖若しくは作動をできるものであること。

ロ 閉鎖又は作動をするに際して当該特定防火設備又は防火設備の周囲の人の安全を確保することができるものであること。

ハ 居室から地上に通ずる主たる廊下、階段その他の通路の通行の用に供する部分に設けるものにあっては、閉鎖又は作動をした状態において避難上支障がないものであること。

ニ 常時閉鎖又は作動をした状態にあるもの以外のものにあつては、火災により煙が発生した場合又は火災により温度が急激に上昇した場合のいずれかの場合に自動的に閉鎖又は作動をするものであること。


二 第1項第二号、第4項、第8項芳しくは前項の規定による区画に用いる特定防火設備又は第8項、第9項若しくは第12項の規定による区画に用いる法第2条第九号のニロに規定する防火設備

次に掲げる要件を満たすものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたもの

イ 前号イからハまでに掲げる要件を満たしているものであること。

ロ 避難上及び防火上支障のない遮煙性能を有し、かつ、常時閉鎖又は作動をした状態にあるもの以外のものにあっては火災により煙が発生した場合に自動的に閉鎖又は作動をするものであること。


(準遮炎性能に関する技術的基準)
第136条の2の3 法第64条の政令で定める技術的基準は、防火設備に建築物の周囲において発生する通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後20分間当該加熱面以外の面(屋内に面するものに限る。)に火炎を出さないものであることとする。

建築基準法施行令



(iii) 建設省告示「防火区画に用いる防火設備等の構造方法を定める件」の抜粋を次に示す。

防火区画に用いる防火設備等の構造方法を定める件

(昭和48年12月28日 建設省告示第2563号最終改正平成17年12月1日)

建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第112条第14項第一号、第129条の13の2〔平成12年4月政令第211号により改正〕及び第136条の2第一号の規定に基づき、防火区画に用いる防火設備等の構造方法を次のように定める。

第1 建築基準法施行令(以下「令」という。)第112条第14項第一号イから二までに掲げる要件(二に掲げる要件にあつては、火災により煙が発生した場合に、自動的に閉鎖又は作動をするものであることに限る。)を満たす防火設備の構造方法は、次の各号のいずれかに定めるものとする。

一 次に掲げる基準に適合する常時閉鎖状態を保持する構造の防火設備とすること。

イ 次の(1)又は(2)のいずれかに適合するものであること。

(1) 面積が3m 2 以内の防火戸で、直接手で開くことができ、かつ、自動的に閉鎖するもの(以下「常時閉鎖式防火戸」という。)であること。

(2) 面積が3m 2 以内の防火戸で、昇降路の出人口に設けられ、かつ、人の出入りの後20秒以内に閉鎖するものであること。


ロ 当該防火設備が開いた後に再び閉鎖するに際して、次に掲げる基準に適合するものであること。ただし、人の通行の用に供する部分以外の部分に設ける防火設備にあつては、この限りでない。

(1) 当該防火設伽の質量(単位 kg)に当該防火設備の閉鎖時の速度(単位 m/秒)の2乗を乗じて得た値が20以下となるものであること。

(2) 当該防火設備の質量が15kg以下であること。ただし、水平方向に閉鎖をするものであってその閉鎖する力が150N以ドであるもの又は周囲の人と接触することにより停止するもの(人との接触を検知してから停止するまでの移動距離が 5cm以下であり、かつ、接触した人が当該防火設備から離れた後に再び閉鎖又は作動をする構造であるものに限る。)にあつては、この限りでない。

二 次に掲げる基準に適合する随時閉鎖することができる構造の防火設備とすること。

イ 当該防火設備が閉鎖するに際して、前号ロ(1)及び(2)に掲げる基準に適合するものであること。ただし、人の通行の用に供する部分以外の部分に設ける防火設備にあつてはこの限りでない。

(以下省略)



(iv) 建設省告示「防火設備の構造方法を定める件」の抜粋を次に示す。

防火設備の構造方法を定める件

(平成12年5月24日 建設省告示第1360号)

建築基準法(昭和25年法律第201号)節2条第九号のニロの規定に基づき、防火設備の構造方法を次のように定める。

第1 建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第109条の2に定める技術的基準に適合する防火設備の構造方法は、次に定めるものとする。

ー 建築基準法施行令第114条第5項において準用する建築基準法施行令第112条第16項に規定する構造とすること。

二 次のイからホまでのいずれかに該当する構造とすること。

イ 鉄製で鉄板の厚さが0.8ミリメートル以上1.5ミリメートル未満のもの
ロ 鉄骨コンクリート製又は鉄筋コンクリート製で厚さが3.5センチメートル未満のもの
ハ 土蔵造の戸で厚さが15センチメートル未満のもの
二 鉄及び網入ガラスで造られたもの
ホ 骨組を防火塗料を塗布した木材製とし、屋内面に厚さが1.2センチメートル以上の木毛セメント板又は厚さが0.9センチメートル以上のせっこうポードを張り、屋外面に亜鉛鉄板を張ったもの

三 前号イ又は二に該当するものは、周囲の部分(防火戸から内側に15センチメートル以内の間に設けられた建具がある場合においては、その建具を含む。)が不燃材料で造られた開口部に取り付けなければならない。

四 開口面積が0.5平方メートル以内の開口部に設ける戸で、防火塗料を塗布した木材及び網入りガラスで造られたもの


第2 第1に定めるもののほか、防火戸が枠又は他の防火設備と接する部分は、相じゃくりとし、又は定規縁若しくは戸当りを設ける等閉鎖した際にすき間が生じない構造とし、かつ、防火設備の取付金物は、取付部分が閉鎖した際に露出しないように取り付けなければならない。



(v) 建設省告示「防火地域又は準防火地域内にある建築物の外壁の開口部の延焼のおそれのある部分に設ける防火設備の構造方法を定める件」の抜粋を次に示す。


防火地域又は準防火地域内にある建築物の外壁の開口部の延焼のおそれのある部分に設ける防火設備の構造方法を定める件
(平成12年5月25日 建設省告示第1366り)

建築基準法(昭和25年法律第201号)第64条の規定に基づき、防火地域又は準防火地域内にある建築物の外壁の開口部の延焼のおそれのある部分に設ける防火設備の構造方法を次のように定める。

第1 建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第136条の2の3に定める技術的基準に適合する防火設備の構造方法は、建築基準法第2条第九号のニロに規定する構造とすることとする。

第2 第1に定めるもののほか、防火戸が枠又は他の防火設備と接する部分は、相じゃくりとし、又は定規縁若しくは戸当たりを設ける等閉鎖した際にすき間が生じない構造とし、かつ、防火設備の取付金物は取付部分が閉鎖した際に露出しないように取り付けなければならない。


(vi) 建設省告示「特定防火設備の構造方法を定める件」の抜粋を次に示す。


特定防火設備の構造方法を定める件
    (平成12年5月25日 建設省告示第1369号)

建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第112条第1項の規定に基づき、特定防火設備の構造方法を次のように定める。

第1 通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後1時間加熱面以外の面に火炎を出さない防火設備の構造方法は、次に定めるものとする。

一 骨組を鉄製とし、両面にそれぞれ厚さが0.5ミリメートル以上の鉄板を張った防火戸とすること。

二 鉄製で鉄板の厚さが1.5ミリメートル以上の防火戸又は防火ダンパーとすること。

三 前二りに該当する防火設備は、周囲の部分(防火戸から内側に15センチメートル以内の間に設けられた建具がある場合においては、その建具を含む。)が不燃材料で造られた開口部に取り付けなければならない。

四 鉄骨コンクリート製又は鉄筋コンクリート製で厚さが3.5センチメートル以上の戸とすること。

五 土蔵造で厚さが15センチメートル以上の防火戸とすること。

六 建築基準法施行令第109条第2項に規定する防火設備とみなされる外壁、そで壁、塀その他これらに類するものにあっては、防火構造とすること。

七 開口面積が100平方センチメートル以内の換気孔に設ける鉄板、モルタル板その他これらに類する材料で造られた防火覆い又は地面から高さが1メートル以下の換気孔に設ける網目2ミリメートル以下の金網とすること。


第2 第1(第六号及び第七りを除く。)に定めるもののほか、防火戸が枠又は他の防火設備と接する部分は、相じゃくりとし、又は定規縁若しくは戸当りを設ける等閉鎖した際にすき間が生じない構造とし、かつ、防火設備の取付金物は、取付部分が閉鎖した際に露出しないように取り付けなければならない。



(3) JIS

(i) JIS A 1513(建具の性能試験方法通則)の抜粋を次に示す。

JIS A 1513: 1996

2. 性能項目 建具の基本性能項目を、表1に示す。

表1 性能項目



(ii) JIS A 4702 (ドアセット)の抜粋を次に示す。


JIS A 4702: 2012

1. 適用範囲
この規格は、主として建築物の外壁面及び屋内隔壁の出入口として用いる手動開閉操作を行うスイング及びスライデイングのドアセットについて規定する。ただし、回転ドアセットは除く。

4 種類記号及び等級
ドアセットの種類、記号及び等級は、次による。

a) 性能による種類及び記号
性能による種類及び記号は、表1及び表2による。

表1 スイングドアセットの性能による種類及び記号
JISA4702_表1_スイングドアセットの性能による種類及び記号.jpg

表2 スライディングドアセットの性能による種類及び記号
JISA4702_表2_スライディングドアセットの性能による種類及び記号.jpg

b) 性能項目による等級
性能項目による等級は、表3による。

表3 性能項目による等級
JISA4702_表3_性能項目による等級.jpg


5. 性 能
性能は、9.によって試験を行い、表4の規定に適合しなければならない。(9.は省略)


表4 性 能
JISA4702_表5_性能.jpg

表4 性 能(続き)
JISA4702_表5_性能(つづき).jpg


b) 全周波数滞被において、次の式によって音響透過損失を換算し、その換算値(6点)が該当する遮音等級線を上回ることとする。

音響透過損失.jpg

ただし、125Hzは160Hzと、4000Hzは3150Hzと、各々二つの音響透過損失によって換算する。

なお、換算値は整数で丸めることとし、換算値の各周波数帯域で該当する遮音等級線を下回る値の合計が3dB以下の場合は、その遮音等級とする。

JISA4702_図1_気密等級線.jpg
図1 気密等級線

JISA4702_図2_遮音等級線.jpg
図2_遮音等級線


JIS A 4702: 2012



(iii) JIS A 4706(サッシ)の抜粋を次に示す。

JIS A 4706: 2012

1. 適用範囲
この規格は、主として建築物の外壁の窓として使用するサッシについて規定する。ただし、天窓は除く。

4. 種類、記号及び等級
サッシの種類、記号及び等級は、次による。

a) 性能による種類及び記号
性能による種類及び記号は、表1及び表2による。

JISA4706_表1及び表2.jpg


b) 性能項目による等級
性能項目による等級は、表3による。

表3 性能項目による等級
JISA4706_表3_性能項目による等級.jpg


5. 性 能
性能は9.によって試験を行い、表4の規定に適合しなければならない。(9.は省略)

表4 性 能
JISA4706_表4_性能.jpg

JIS A 4706 : 2012


16章 建具工事 2節 アルミニウム製建具

16章 建具工事


02節 アルミニウム製建具

16.2.1 適用範囲

(a) 「標仕」に定められているアルミニウム製建具は、建具製作所が、既製のアルミニウム押出形材及び金具その他の材料を用いて、通常製作している建具で、幅及び高さはその建具製作所が定めた製作範囲とし、カタログ等で枠の形状、断面寸法、金具仕様が指定されているものを対象としている。

いわゆる特別注文建具(オーダー製品)は、発注の際、断面寸法や金物等、また、仕様及び性能が要求され、新形の形材を使用するものは、「標仕」では対象としていない。

(b) 建具の品質保証、建具製作所の責任の明確化という意味から、なるべく建具に建具製作所名等を表示させるのがよい。


16.2.2 性能及び構造

(a) 建具の性能及び構造は、JIS A 4702 (ドアセット)又はJIS A 4706(サッシ)に規定されており、設計担当者がJISに基づく性能等を特記することが原則である。しかし、一般的には「標仕」表16.2.1の耐風圧性や水密性等の組合せによる種別が特記される。

なお、JISによる等級を超える風圧力の場合は、16.1.7 (a)(1)を参照されたい。

「標仕」表16.2.1は、事務庁舎等に通常使用する外部に面する建具の性能等級を組み合わせて表したもので、強さのグレードで表すと、A種は耐風圧性能 2,000Pa、B種は同2,400Pa. C種は同2,800Paとなる。また、これらの性能等級の組合せは、(-社)公共建築協会が行っている「建築材料・設備機材等品質性能評価事業」のアルミニウム製建具の性能値と整合している。

なお、平成12年建設省告示第1458号において適用除外となっている部位に対する風圧力に関する資料として、(-社)日本サッシ協会では、実績に基づき旧建築基準法施行令第87条及び旧昭和46年建設省告示第109号に規定されていた計算式を示している。

(b)「標仕」では、複層ガラスを用いる引違い、片引き及び上げ下げ形式の建具は、ガラス質量の中心が障子中心に近く安定性の高い枠見込み100mmの建具とされている。

また、「標仕」では規定されていないが、複層ガラスを用いた枠見込み70mmの引違い及び片引きの建具も市販されている。


16.2.3 材 料

(a) アルミニウム押出形材

「標仕」16.2.3 (a)(1)で定めているJIS H 4100(アルミニウム及びアルミニウム合金の押出形材)の中で最も一般的な形材は、A6063Sである。


(b) アルミニウム板

「標仕」16.2.3(a)(2)で定めているJIS H 4000(アルミニウム及びアルミニウム合金の板及び条)の中で最も一般的な板材は、A1100P-H14・H16・H24、A1200P-H24、A5005P- H14・H34であり建築用として使われている。


(c) 通常使用するアルミニウム合金の種類、強さ等を表16.2.1に示す。

表16.2.1 通常使用するアルミニウム合金の種類
    (JIS H 4000 : 2006及びH 4100: 2006)
表16.2.1_通常使用するアルミニウム合金の種類.jpg


(d) 補強材、力骨、アンカー等

鋼材は小さい断面で強度が得られるので、補強材として見え隠れ部分に使用する。接触腐食を起こすおそれがあるので防食処理をする必要がある(「標仕」14.1.3(c) 参照)。

アルミニウム合金に接触しても安全な金属は、亜鉛、クロム、ステンレス(ただし、アルミニウム合金に比べてステンレスの体積が小さい場合)等である。銅、銅合金等は、直接接触していなくても、銅の上を伝った水が接触するだけで強い腐食が起こることもある。


(e) 気密材及び擦れ合う部分、振れ止め、戸当りの類

合成ゴム(クロロプレンゴム等)、合成樹脂(塩化ビニル、ポリアミド等)の有機質のものが使われている。

擦れ合う部分(戸車)、振れ止め(面外方向への振れを防止してスムーズに作動させるために障子に取り付ける小部品)、戸当り(アルミ形材どうしが直接ぶつかるのを防止するため障子又は枠に取り付ける小部品)を、「標仕」では、従来、「原則として、ポリアミド製」としていたが、引張強さ、耐衝撃性、耐摩耗性等の性能をもった合成樹脂が開発され、適材適所で使用されてきているため、平成25年版「標仕」では、「耐久性を有し使用箇所に適したもの」とされた。

また、接触や衝突により損傷を受けやすい部品については、建具製作所では交換部品を用意している。


(f) 網戸等

(1) 防虫網の材料には、合成樹脂、ガラス繊維入り合成樹脂、ステンレス(SUS316)等があるが、一般には合成樹脂である。平成25年版「標仕」では、合成樹脂の線径が0.25mm以上であることが明確にされた。

(2) ガラス繊維入り合成樹脂製は、ガラス繊維に塩化ビニルを被覆して織ってあり、熱による伸縮は少ないが、運搬中にたるみが生じやすい。

(3) ステンレス製は、排気ガス、塩害等により発錆することがある。また、ステンレス網の張付けの際、アルミニウム形材に傷をつけやすく、傷部分がステンレス網と接触すると、環境によってはアルミニウム形材が腐食する場合がある。

(4) 網戸の主な部分に使用する材料及び付属部品は、表16.2.2に示す規格又はこれと同等以上の品質をもつものとし、それぞれの機能を果たすのに十分な強さがあり、かつ、接触腐食を起こさないもの、又は腐食防止処理を施したものとする。

表16.2.2 網戸に使用する材料等の規格
表16.2.2_網戸に使用する材料等の規格.jpeg

(5) 網戸の加工及び工作は、次による。

(i) 押出形材及び成形板材は、著しいひずみがないこと。

(ii) かまち及び桟の接合は、強固とする。

(iii) 補強材等にアルミニウム合金以外のものを使用する場合には、接触腐食防止処埋を施したものとする。

(iv) かまち及び桟の材料の表面には、JIS H 8602(アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化塗装複合皮膜)に規定する陽極酸化塗装複合皮膜の種類B又は同等以上の性能をもつ表面処理を施したものを使用する。

(6) 防鳥網
外部に面するがらりには、小鳥の巣作り等を防止するために防鳥網を張ることもある。


(g) 小ねじは、ステンレスが多く使われており、高力アルミニウム合金は、現在ほとんど使われていない。


(h) 外部建具の周囲に充填するモルタルに使用する防水剤は、塩化カルシウム系等金属の腐食を促進するものでないこと。市販の防水剤には、この種のものが比較的多いので注烈する。

なお、充填モルタルの砂の塩分含有量を「標仕」でNaCl換算0.04%(質量比)以下と規定しており、海砂等は、除塩する。塩化物による腐食は、保護塗装でも防げない場合が多い。


16.2.4 形状及び仕上げ

(a) アルミニウム板を加工して、枠、かまち、水切、ぜん板及び額縁等に使用する場合の厚さは1.5mm以上とするが、形状、寸法補強板の有無.モルタル充填の施工条件等を考慮して板厚を決める必要がある。

アルミニウム押出形材の水切の既製品としては、働き幅 100、110、120mm程度がある(図16.2.6参照)。


(b) 枠見込み70mmの製品は、鉄筋コンクリート用が主であるが、ALC用、鉄骨用が用意されているものもある。枠見込み100mmの製品は、一般に鉄筋コンクリート用のものが多い。

(c) 構造
「標仕」で、枠見込み70mmのサッシの引違い及び片引きの障子において、グレイジングチャンネルが使用できる構造とされているのは、単板ガラスを想定したものである。複層ガラスには適用しない。

なお、ガスケットは、JIS A 5756(建築用ガスケット)に規定されるガスケットがよい。


(d) 表面処理

(1) 「標仕」表14.2.1に建具に使用するアルミニウム材の表面処理の種別が示されているが、そのなかでJIS H 8602(アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化塗装複合皮膜)が2010年に改正され、仕様規定から性能規定になったことにより、平成25年版「標仕」では、陽極酸化塗装複合皮膜の種類がB(一般的な環境の屋外)とされた。種類BはJISにおける複合耐食性及び耐候性の性能のグレードを示している。

また、「標仕」16.2.4(d)において、種別及び標準色・特注色の別等は特記によるとされている。


(2) 表面処理の工程は、ほとんど索材の段階で行われる。見え掛り加工小口等は必要に応じて塗装で補修することもある。

(3) 沿岸地域で、アルミニウム製建具の腐食を防ぐには、清掃が最も有効である。清掃を怠ると、防食の効果が期待できないので、設計面でも清掃のしやすさの配慮が必要であり、更に、施設管理者への十分な説明も韮要である。


(c) 絶縁処埋
(1) ここでいう絶縁処理とは、アルミニウム材と周囲に充填するモルタルとの絶縁及びアルミニウム材と鋼材等との接触腐食を避けるための絶縁をいう(14.1.3(b) 参照)。

(2) 絶縁用の塗料は、一般の建具では、建具表面に塗装されるものと同一材とする。 JIS H 8602(アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化塗装複合皮膜)に規定される「種類B」の塗膜は、建具表面及び裏面が同時に塗装されるため絶縁処理も兼ねている。

表面処理が「標仕」表14.2.1のA種及びC種では、アルカリ性に接する箇所は絶縁処埋を行う必要がある。


(f) 出入口のくつずりにステンレスを使用する場合は、「標仕」16.4.3(b)及び「標仕」表16.4.2による。

なお、くつずりに折曲げステンレス板を取り付け、レールとする場合の例を図16.2.1 に示す。

図16.2.1_くつずりとレール.jpg
図16.2.1 くつずりとレール

(g) 製品の寸法許容差は、JIS A 4702 (ドアセット)又はJIS A 4706(サッシ)により、工場組立完成品に対するものとする。


(h) 結露水の処理は、建具から外へ排水する方法と結露水をためる方法があるが、障子や枠及びガラスの種類等、地域条件によって一律に規定できないため、特記となっている。また、寒冷地等で外部に排水すると結露水が凍結し問題となる場合もあるため、地域条件を踏まえ結露受け等の対応を検討する。結露水の処理の一例を図16.2.2 に示す。

図16.2.2_結露水の処理の一例.jpeg
図 6.2.2 結露水の処理の一例


16.2.5 工 法

(a) 加工及び組立

(1) 一般に建具は、製品の形で現場へ搬入する。特殊な寸法等のものは、現楊で組立を行う場合もある。

(2) 建具の隅の納まりは種々あるが、一般に素材を仕口の形に合わせて加工し突き付け、小ねじ留めとしている。そのため、接合は強固であるが、動きやすく、現楊で取り付けるまでは全体の形も不安定なので、取扱いは十分に注意する。

突付け部は、漏水防止のためのシーリング材又はシート状の止水材を使用する。

小ねじの位置は、できるだけ雨掛りを避けるが、やむを得ない場合でも、水がたまりやすい部分は、避けることが重要である。仕口の一例を図16.2.3に示す。

図16.2.3_仕口の組立例.jpg
図16.2.3 仕口の組立例

(b) 取付け

(1) 取付けの際には、養生材をできるだけ残して、やむを得ず取り除いた養生材は、取付けが終わったのちに、できるだけ早く復旧する。

周囲の仕上げに支障のある養生材は、仕上げに先立ち取り除く。


(2) 取付け基準

(i) 取付けには、基準墨(心墨、陸墨、逃げ墨)を出し、図16.2.4のように建具にも基準墨に合う位置にマークして位置を調整する。マークのない場合は、一般に枠面で測定する。連窓等陸墨が出せない場合は、 レベルを用いたり、ピアノ線を張り基準とする。

(ii) 取付け精度は、許容差を ±2mm程度とする。

図16.2.4_建具取付け用墨とマーク.jpg
図16.2.4 建具取付け用墨とマーク

(3) 鉄筋コンクリート造への取付け

(i) 一般に市販されている躯体付けアンカーには、長さの短いものがあるので、なるべく長いものを使用する。躯体付けアンカーを型枠に取り付け、コンクリート中に埋め込む(打ち込む)。

(ii) 建具の取付けは、くさび等で仮留めし位置及び形状を正確に決め、躯体付けアンカーに溶接して本取付けを行う。仮留めのままでは動きやすいので、できるだけ早い時期に固定する。

建具アンカー以外の部分(枠材等)に溶接してはならない。また、溶接スパッタ等が枠材に付着すると、アルミニウムの表面仕上げに悪影響を及ぼすため養生を行う。

(iii) 外部回りの建具では、枠回りにモルタルを充填する際、仮留め用のくさびは、必ず取り除かなければならない。

(iv) 出入口、点検口等のくつずり、下枠等で取付け前にあらかじめモルタルを充填しておく必要のある箇所は、図16.2.5のように行う。

図16.2.5_くつずりのモルタル充填(一般形).jpg

図16.2.5_くつずりのモルタル充填(簡易機密形).jpg
図16.2.5 くつずりのモルタル充填

(v) シーリング材の施工は、プライマー及びバックアップ材を使用するが、挙動の少ない鉄筋コンクリート造のサッシ回りでは、バックアップ材を省略し、三面接着としてもよい(「標仕」9.7.4(b)参照)。「標仕」9.7.3の目地の深さの確保は、高い施工精度が必要なので注意する。

また、プライマーは、施工箇所の下地材料(被着体)に適したものとする。


(4) 鉄骨造の場合の取付け

(i) 鉄骨下地と建具枠の四周の間にくさび、平板等をはさみ込んで建具の動きを固定し、溶接又は小ねじ留め等を行う。

溶接箇所は、スパッタ等を収り除き、「標仕」表18.3.2のA種の錆止め塗料を塗り付ける。

建具アンカー以外の部分(枠材等)に溶接してはならない。また、溶接スパッタ等が枠材に付着すると、アルミニウムの表面仕上げに悪影響を及ぼすため養生する。

(ii) シーリング材の施工は、プライマー及びバックアップ材を用い、二面接着とする。プライマーは、施工箇所の下地材料に適したものとする。

(c) 漏水防止

(1) 鉄筋コンクリート造の場合

(i) 漏水防止のためには、抱き納まりがよい。抱き納まりは、壁面を流れ落ちる水膜が途切れ、サッシヘの雨掛りが少ないなど漏水防止に有効である。

面付け納まりは、壁面を流れ落ちる水膜が切れずに直接サッシに掛かるため、不利な形態であり、建具周囲、特に上枠には設計上の配慮が必要である。


(ii) 抱き納まり
抱き納まりのサッシの例を図16.2.6に示す。

抱き寸法は、配筋やコンクリートの施工性とサッシ取付け用欠き込み部のひび割れや欠け防止を考慮した寸法とする。また、開口下面は、1/10程度の外勾配か、12mm程度の立上りを設け、金属製水切を設けるのがよい。勾配や立上りをより大きくすると、躯体コンクリートと充填モルタルとの界面がサッシ下枠の水切よりはみ出すので望ましくない。サッシ回りのモルタルの確実な充填のためには、開口上部と左右には45mm程度、下部は75mm程度の隙間を設け、水切り板とサッシ下枠部を二度に分けてモルタル詰めするとよい。そのため、開口部の型枠を正確に組むことが重要である。モルタル充填後に、外部サッシ枠と躯体コンクリートとの間に直接シーリング材を施すが、シーリング材の接着面にモルタルが付着していないこと、更にはモルタルがはみ出していないことを確認する。

また、建具取付け後、壁面がぬれるような雨の時には、建具周辺から漏水がないか調査し、漏水があれば補修する。不完全なままタイル張り等を仕上げるとその後の補修は難しくなる。

図16.2.6_抱き納まりのサッシの例.jpeg
図16.2.6 抱き納まりのサッシの例(建築工事標準詳細図より)

(iii) 面付け納まり

開口下面の形状やモルタル充填のための隙間は、抱き納まりと同様である。

タイル張り仕上げでは、外部のシーリング材(一次シーリング)をサッシ枠 とタイル間に施すこととなり、タイル裏面を伝った雨水には無防備である。そのため、サッシと躯体コンクリートとの間を直接つなぐシーリング材(二次シーリング)が必要となり、二重シーリング工法が特記されていなければならない。枠周囲の躯体コンクリートをはつると、この二次シーリングが不可能になるので、はつりは避けなければならない。

(2) 鉄骨造の場合の取付け

外部のシーリング材をサッシ枠と壁材との間に施すこととなるが、モルタル充填がなく、シーリング材に欠陥が生じると、直接漏水に至る危険がある。そのため、二重シーリング工法が特記されていることが望ましい。


16章 建具工事 3節 樹脂製建具

16章 建具工事


03節 樹脂製建具

16.3.1 適用範囲

(a) 平成25年版「標仕」では、3節に「樹脂製建具」が新しく規定された。樹脂製建具は、寒冷地において断熱性の高い建具として普及してきている。

樹脂製建具の主要構成材料である無可塑ポリ塩化ビニルの主な特徴は、優れた断熱性(熱伝導率がアルミニウムの約1/1,000)と耐塩害性であり、樹脂形材については、2010年に JIS A 5558(無可塑ポリ塩化ビニル製建具用形材)が制定されている。

「標仕」で規定している樹脂製建具は、建具製作所が、既製の無可塑ポリ塩化ビニル製建具用形材及び金具その他の材料を用いて、通常製作している建具で、寸法はその建具製作所が定めた製作範囲とし、カタログ等で枠の形状、断面寸法、金具仕様が指定されている標準建具(既製品)を対象としており発注の際、断面寸法や金物等並びに仕様及び性能が要求され、新形の形材を使用する特別注文建具(オーダー製品)は対象としていない。

(b) 樹脂製建具工事の作業の流れを図16.3.1に示す。


図16.3.1_樹脂製建具工事の作業の流れ.jpeg
図16.3.1 樹脂製建具工事の作業の流れ

(c) 樹脂製建具は、原則として、建具の加工及び組立からガラスの組込みまで一貫して建具製作所にて行うことで、性能・品質を確保している。

建具の品質保証、建具製作所の責任の明確化及び改修や維持管理という意味から、建具に建具製作所名等を表示させるのがよい。

(d) 「標仕」では外部に面する建具を対象としている。


16.3.2 性能及び構造

(a) 建具の性能及び構造は、JIS A 4702 (ドアセット)又はJIS A 4706(サッシ)に規定されている。「標仕」表16.3.1は、事務庁舎等に通常使用する外部に面する建具の性能等級を組み合わせて表したもので、強さのグレードで表すと、A種は耐風圧性能 2,000Pa、B種は同 2,400Pa、C種は同 2,800Paとなる。

なお、平成12年建設省告示策1458号において適用除外となっている部位に対する風圧力に関する資料として、(-社)日本サッシ協会では実績に基づき旧建築基準法施行令第87条及び旧昭和46年建設省告示第109号に規定されていた計算式を示している。

(b) 枠の見込み寸法は、要求される性能や建具寸法により決まることから、「標仕」では、特記によるとされている。

樹脂製建具は複層ガラスの使用を前提としているため、枠の見込み寸法は、一般的には、アルミニウム製建具より大きいものとなり、国内で流通している製品では、スイング系で 60〜80mm程度、スライディング系で100〜125mm程度である。

(c) 「標仕」で樹脂製建具に要求される断熱性能は、H-4 等級及び H-5等級であるが、JIS A 4702 又は JIS A 4706に規定されている断熱性能等級の最高グレードである H-5等級(0.430m 2 ・K/W以上)を超える熱貫流抵抗値を保持する製品もある。 H-5 等級を超える性能が要求される場合は、特記にて熱貫流抵抗値が指定される。

(d) 樹脂製建具の防火設備は、国土交通大臣の認定を受けた製品を使用する。


16.3.3 材 料

(a) 樹脂形材

「標仕」16.3.3(a)で規定している JIS A 5558(無可塑ポリ塩化ビニル製建具用形材)の材料の性能に適合したものとされている。樹脂形材の材料の性能を表 16.3.1に示す。


表16.3.1 樹脂形材の材料の性能(JIS A 5558 : 2010)
表16.3.1_樹脂形材の材料の性能.jpg


(b) 補強材、力骨、アンカー等

鋼材は、小さい断面で強度が得られるので、補強材として主に樹脂形材の内部に使用される。排水経路上に補強材として使用する場合には、防錆処置を施す必要がある。また、補強材とそれを固定するねじに接触腐食を起こすおそれがある箇所には、防食処理をする必要がある(「標仕」14.1.3(c)参照)。

(c) 気密材及び擦れ合う部分、振れ止め、戸当りの類

「標仕」では、耐久性を有し使用箇所に適したものとされており、一般的には、合成ゴム(クロロプレンゴム等)、合成樹脂(塩化ビニル、ポリアミド等)の有機質のものが使われている。また、接触や衝突により損傷を受けやすい部品については、建具製作所では交換部品を用意している。

(d) 網戸等

樹脂製建具に用いる網戸のかまち及び桟に用いる材料は、アルミニウム製建具と同様、アルミニウム合金である。

なお、かまち及び桟の色は樹脂製建具の色に合わせることが多い。

(e) ガラス

(1) ガラスのはめ込みは、原則として、建具製作所にて行い、性能・品質を担保する。

(2) ガラスは、複層ガラスを用いることを原則としているが、遮音性能及び断熱性能を要求されない場合で、単板ガラス又はパネルを用いる場合は特記によるとされている。

(3) 複層ガラスのガラス厚は、最小のガラス板厚( 3mm以上)及び中間層( 12mm以上)を想定し、18mm以上としている。また、複層ガラスは、中間層の厚さのほか、中間層の気体の種類、ガラスの種類によっても断熱性能が異なる。

(4) 遮音性を期待する場合(T-2等級)の複層ガラスは、低音域の遮音低下防止のため、2枚のガラス厚を異なる厚さにすることが望ましい。

(f) グレイジングガスケット

ガラスのはめ込みには、一般的に、JIS A 5756(建築用ガスケット)に準ずるグレイジングガスケットやグレイジングビードを用いる。グレイジングチャンネルやシーリング材は、通常用いない。


16.3.4 形状及び仕上げ

(a) ガラス溝は、一般的には押縁構造とする。

(b) 主要構成材料である無可塑ポリ塩化ビニルは、その組成の40%が石油、60%が工業塩であることから、金属とは異なり、腐食の要因となる金属水酸化物が発生しないため、表面処理をする必要はない。

(c) 「標仕」では、枠・かまちの接合部は、溶接接合としている。

(d) 形材は、通常押出前に樹脂に顔料を練り込んで色を出している。標準色は一般的には白色である。特注色は、無可塑ポリ塩化ビニル材料とそれ以外の材料を共押出成形(2層押出し)することによって積層させる方法で製作する。特注色の中でも、黒・ブラウン・シルバ一色は市場での汎用性が高いことから、建具製作所では在庫をもっている場合が多い。ほかの色も製作は可能であるが、調色(マスターバッチの製作)が必要となるため、樹脂製建具の製作に当たっては、調色にかかる期間及びコストを考慮する必要がある。


16.3.5 工 法

(a) 加工及び組立

一般に、ガラス及び押縁を建具製作所にてはめ込んだのち、建築現場へ搬送する。建具製作所が定めた搬送における製品重量を超えるものについては、現場でガラス及び押縁をはめ込む場合もある。


(b) 取付け
(1) 取付けの際は、養生材をできるだけ残して、やむを得ず取り除いた養生材は、取付けが終わったのちにできるだけ早く復旧する。周囲の仕上げに支障のある養生材は、仕上げに先立ち取り除く。

(2) 枠等のアンカーのピッチは、防火認定の条件及び枠の変形防止を考慮し400mm以下としている。

(3) 取付け基準
(i) 取付けには、基準墨(心墨、陸墨、逃げ墨)を出し、図16.2.4のように建具にも基準墨に合う位置にマークをして位置を調整する。マークのない場合は、一般に枠面で測定する。連窓等陸墨が出せない場合は、レベルを用いたりピアノ線を張ったりして基準とする。取付け精度は、許容差を± 2mm程度とする。

(ii) 建具寸法が大きい場合や、枠と躯体の間隔寸法が大きい場合には、枠の湾曲、垂下がり、はらみ、つづみ等を防止するため、図16.3.2のように枠に切張りを行う。


図16.3.2_枠の切張り.jpeg
図16.3.2 枠の切張り

(4) 鉄筋コンクリート造及び鉄骨造への取付け

鉄筋コンクリート造及び鉄骨造へ取る付ける場合は、建具アンカー溶接時に溶断を行ってはならない。また、溶接スパッタが枠材に付着しないよう、十分な養生を行う。溶接スパッタが枠材に付着すると枠材表面に悪影響(焦げ等)を及ぼし、復旧が困難となる。


(c) 樹脂製建具の清掃方法

(1) 樹脂製建具の清掃方法を表16.3.2に、注意事項を次に示す。

(2) 磨き粉、たわし等の硬いものは、樹脂を傷つけるため使用しない。

(3) 次の有機溶剤等は、枠材に悪影響を及ぼす場合があるため使用しない。

(i) ハロゲン化炭化水素系溶剤(クロロホルム、塩化メチレン等)

(ii) ケトン系溶剤(アセトン、メチルエチルケトン等)

(iii) 芳香族系溶剤(ベンゼン、トルエン、キシレン等)

(iv) アルコール系溶剤(メチルアルコール、エチレンアルコール、その他のアルコール類)

(v) 酸性物質(塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、蟻酸等)

(vi) その他(シンナー等)


(4) 外装材の酸洗い等の清掃時には、清掃液が建具に付着しないよう十分な養生を施す。

表16.3.2 樹脂製建具の清掃方法
表16.3.2_樹脂製建具の清掃方法.jpeg




16章 建具工事 4節 鋼製建具

16章 建具工事


04節 鋼製建具

16.4.1 適用範囲

「標仕」では、主として事務庁舎の出入口に使用する標準的な建具(幅950mm × 高さ2,400mm程度以内)で、戸は片面又は両面を平らな鋼板張りとしたフラッシュ戸又はかまち戸によるドアセット及び標準型鋼製建具を対象としている。したがって、標準と著しく相違する建具については金物を含めて、適切な補強等の処置が必要である。

建具の幅950mm程度と想定しているのは、「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」(以下「バリアフリー新法」という。)の誘導基準(有効幅で 900mm以上)を採用しているためである。また、高さ2,400mm程度と想定しているのは、最近の建物では解放的な空間づくりから、建具を2.400mm程度まで高くすることが多くなっているためである。


16.4.2 性能及び構造

(a) 外部に面する建具の耐風圧性は16.1.7(a)(1)及び16.2.2を参照する。

(b) 気密性、水密性が定められている簡易気密型ドアセットとは、気密材が装着してあり、「標仕」表16.4.1 による性能を満足するものをいう。


(c) がらり付きドアセットは、換気を主目的としたもので、一般に気密性、水密性との両立は構造上不可能である。


(d) 遮音性は、気密材を装着した枠にグラスウール等を充填した戸の場合、T-1(旧25等級)〜T-2(旧30等級)等級程度である。

なお、T-2等級を超える遮音性を必要とする場合は、簡易気密型ドアセットでは対応できないので、グレモンハンドル等を使用したエアタイトドアセット(PAT)又は、最近、よく使われているマグネット気密ゴムを使ったドアセットを使用するとよい。


(e) 耐震性は、JIS A 1521(片開きドアセットの面内変形追随性試験方法)の規定があり、JIS A 4702 (ドアセット)に耐震ドアセットとしてD-1(1/300rad)、D-2 (1/150rad)、 D-3(1//120rad)の等級がある。また、耐震設計基準として国土交通省大臣官房官庁営繕部監修「官庁施設の総合耐震計画基準及び同解説」に、耐震性を配慮したドアセットについて記載されているので参照するとよい。


(f) 鋼製建具には.「標仕」で要求する品質を満たすものとして (-社)公共建築協会の「建築材科・設備機材等品質性能評価事業」(1.4.4 (e)参照)で評価した製品があるので参考にするとよい。



16.4.3 材 料

(a) 鋼板類

(1) 鋼板は、特記がなければ JIS G 3302(溶融亜鉛めっき鋼板及び鋼帯)により、めっきの付着量は標準でZ12又はF12とされていた。

最近、臨海地区の副都心化が急速に進んだことにより、内陸部の事務庁舎等を想定して「標仕」で規定していた溶融亜鉛めっき鋼板(JIS G 3302)では、耐食性が劣るために、錆が発生して問題になることが多くなっている。

平成25年版「標仕」では、これまでの溶融亜鉛めっき鋼板に比べて耐食性に優れた溶融亜鉛ー5%アルミニウム合金めっき鋼板及び鋼帯(JIS G 3317)が規定された。めっき付着量は標準でY08とされ、溶融亜鉛めっき鋼板より少ないが、約2倍の耐食性がある。また、市販されているものは、環境に配慮したクロムフリー化成処理が施されている。このほか、「標仕」では規定されていないが、耐食性に優れた溶融亜鉛ーアルミニウムーマグネシウム合金めっき鋼板及び鋼帯(JIS G 3323)のJISが新たに制定されている。

なお、JIS G 3321(溶融55%アルミニウムー亜鉛合金めっき鋼板及び鋼帯)については、耐候性は良いが、曲げ加工や溶接性等が悪く、鋼製建具には不向きなため規定されていない。


(2) 出入口のくつずりはステンレス製(16.6.3参照)とし、くつずりにレールを取り付ける場合は、16.2.4(f)を参照する。

(3) 形鋼の類は、アングルドアを想定しているので、主として形鋼、平鋼及び厚い鋼板が含まれる。


(b) その他
(1) 上吊り引戸の下枠(ガイドレール等)は、頻繁に擦れ合うことにより傷みやすいため「標仕」16.4.3 (c)ではステンレスとしている。

(2) 気密材には種々なものがあり、クロロプレンゴム発泡体(表皮付き)もよく使用されるが、皮膜が弱く破れやすいものもあるので注意する。また、はがれやすいので取付け方法にも注意する。

(3) 戸に使用する構造用接合テープは、表16.4.1に示すJIS Z 1541(超強力両面粘着テープ)に適合したものを使用する。

なお、焼付け塗装の場合は断熱仕様の1号、常温塗装の場合は2号を使用する。


表16.4.1 超強力両面粘着テープの規格(JIS Z 1541 : 2009)
表16.4.1_超強力両面粘着テープの規格.jpeg


16.4.4 形状及び仕上げ

(a) 出入口の枠類で、戸1枚の有効開口幅が950mm、かつ、高さが2,400mm以下のものは、内部側・外部側ともに板厚1.6mmが必要である。また、同様にくつずりの板厚は1.5mm、戸の中骨の板厚は1.6mmが必要である。

なお、「標仕」では、一般的な建物を想定しているため、有効開口幅950mm、かつ、有効高さを2,400mm以下で板厚を規定している。これを超えるような建具は、本来設計図書に特記されることが前提であるが、特記がない場合には、建具製作所の仕様によることとなる。

(b) 製品の寸法許容差は、工場組立完了後の寸法に対するものとする。


(c) 外部に面する建具のガラス溝の寸法及び形状は「標仕」表16.14.1によるものとするが、一方押縁等でガラスをやり返ししてはめ込まなければならない場合は、施工性を考慮して溝の深さを決める。ただし、防火戸の個別認定を受けた建具の場合は,この寸法も規定されているので注意する。


(d) 塗 装
(1) 下地量整
(i) 形鋼の場合は「標仕」表18.2.2により素地ごしらえを行う。

(ii) 亜鉛めっき鋼板の場合は、鋼板製造所で、「標仕」表18.2.3工程3のりん酸塩処理後水洗い乾燥又はクロム酸処理後乾燥の二つの処理のみが行われていた。

しかし、最近では、鋼板製造所でも環境に配慮して、有害化学物質の六価クロムを含有しないクロメートフリー処理が製品化されつつあるが、平成25年版「標仕」では、表18.2.3工程3にクロム酸処理とクロメートフリー処理が併記されている。地球環境を守る見地から六価クロムの排除が世界規模で進められており、クロム酸処理は廃止していく時期にきている。したがって、平成 28年版「標仕」では、更に一歩進んでクロメートフリー処理への一本化が必要とされている。

(iii) 「標仕」表18.2.2及び表18.2.3の工程2油類除去では、B種、C種に溶剤ぶきを規定しているが、溶剤から発生する化学物質がもたらす健康や環境への悪影響や近くで溶接作業を行う場合の爆発事故の報告もあり、最近ではシンナー等の溶剤に代わる代替洗浄剤としてアルカリ系脱脂洗浄剤が開発され利用されている。


(2)錆止め塗料塗り

形鋼の場合は「標仕」表18.3.1の鉄鋼面錆止め塗料A種を塗る。ただし、つや有合成樹脂エマルションペイント塗りの場合は、B種を塗る。


16.4.5 工 法

(a) 枠等の組み方

(1) 枠等の組み方の例を図16.4.1から図16.4.4に示す。

上部の組み方は、図16.4.1の留め(イ) 又は胴付き(ロ) による溶接のほか、溶接研磨による損傷が少なく、塗装後の仕上りの美しい面落ち(ハ)でもよい。

(ロ) の組み方で吊り金具にピボットヒンジを使用する場合は、縦枠の上に上枠が伸びるいわゆる上枠伸ばし(ニ)となる。


(2) 「標仕」表16.4.3には、屋内での枠の加工及び組立が必要な場合は、溶接に代えて小ねじ留め(裏板厚さ2.3mm以上)によることができるとしている。この理由は、工場で加工し、現楊で組立しなければならない建具を想定しており、工場で加工及び組立できる建具は、溶接とするのがよい。


(3) 「標仕」表16.4.3の金物取合い補強板とは、ねじで固定する部分の強度を担保するために設ける補強材を指し、錠本体ケースカバー等は製作所の仕様による。


(4) 亜鉛めっき鋼板の場合は、特記がなければ、「標仕」表18.3.2のA種、JIS K 5629(鉛酸カルシウムさび止めペイント)を塗る。

なお、溶接部や損傷部等は、塗装に先立ち、錆止め塗料と同一の塗料で補修する。


図16.4.1_縦枠の組み方(イ).jpeg図16.4.1_縦枠の組み方(ロ).jpeg

図16.4.1_縦枠の組み方(ハ).jpeg図16.4.1_縦枠の組み方(ニ).jpeg
図16.4.1 枠類の組み方


図16.4.2_くつずりの組み方.jpeg
図16.4.2 くつずりの組み方


図16.4.3_方立の組み方(イ).jpeg図16.4.3_方立の組み方(ロ).jpeg
図16.4.3 方立の組み方


図16.4.4_無目の組み方(イ).jpeg

図16.4.4_無目の組み方(ロ).jpeg
図16.4.4 無目の組み方

(b) 戸の組み方

フラッシュ戸では、中骨は間隔 300mm以下に配置する。外部に面する戸は、下部を除き三方の見込み部を表面板で包む(三方曲げ)。内部に面する戸は、上下部を除き二方の見込み部を表面板で包む(二方曲げ)。表面板と中骨の固定は、溶接又は構造用接合テープにより確実に接合する。

溶接痕は、表面を平滑に研磨仕上げし、塗装に先立ち、錆止め塗料と同一の塗料で補修する。


(c) 鋼板の曲げ寸法の限度は、表16.4.2のとおりである。

表16.4.2 端部曲げ寸法の限度
表16.4.2_端部曲げ寸法の限度.jpeg



(d) 取付けは、16.2.5(b)に準ずる。



16.4.6 標準型鋼製建具

(a) 標準型鋼製建具と標準型鋼製軽量建具とは、公共工事のコスト縮減を図るために、官庁施設設計研究会(平成12年)が設定したものである。

寸法や金物の標準化により、打合せによる決定まで間接コストと建具の作図、加工等の直接コストを軽減し、更にバリアフリ一新法を考慮して幅が6種類、高さが 2,000mmと2,100mmの2種類が設定されている。戸の形状・寸法は表16.4.3のとおりであり、通常の事務庁舎等の大部分に適用が可能である。


(b) 錠、ドアクローザーは、主要製作所で「公共工事標準型」として、一般品と区別して取り扱っている。

表16.4.3 標準型鋼製建具と標準型鋼製軽量建具一覧表
表16.4.3_標準型鋼製建具と標準型鋼製軽量建具一覧表.jpeg



16章 建具工事 5節 鋼製軽量建具

16章 建具工事


05節 鋼製軽量建具

16.5.1 適用範囲

「標仕」では、屋内の出入口に使用する標準的な建具(幅 950mm × 高さ2,400mm程度)を対象としている。なお、戸見込み寸法は 35mm以上である。

建具の幅 950mm程度及び高さ2,400mm程度と想定しているのは、16.4.1と同様である。


16.5.2 性能及び構造

(a) 「標仕」16.5.2 (b)で水密性が規定されていないのは、取付け場所を屋内に限定しているため、雨水等の影響を受けないからである。


(b) 遮音性は、気密材が装着されている枠を使用する場合で、透過損失15〜20dB(500Hz)程度である。


(c) 鋼製軽量建具には、「標仕」で要求する品質を満たすものとして、(-社)公共建築協会の「建築材料・設備機材等品質性能評価事業」(1.4.4(e)参照)で評価した製品があるので参考にするとよい。


16.5.3 材 料

(a) 鋼板類
(1) 鋼板は、亜鉛めっき鋼板でめっき付着量は、「標仕」16.5.3(a)(1)を満足すればよい。

(2) 出入口のくつずりはステンレス製(16.6.3参照)とし、くつずりにレールを取り付ける場合は、16.2.4 (f)を参照する。

(3) ビニル被覆鋼板及びカラー鋼板は、表面仕上げした材料であり、現場での塗装を必要とせず工期の短縮に寄与する。平成25年版「標仕」では、ビニル被覆鋼板及びカラー鋼板の下地鋼板のめっき付着量について、(1)の亜鉛めっき鋼板と整合させ、F04をF06に、E16をE24とされた。

(4) カラー鋼板は、PCM(プレコートメタル)とも呼ばれ、鋼板製作所で仕上げ塗装された材料である。品質が安定しており、ビニル被覆鋼板同様に工期の短縮と塗替え等のメンテナンスが不要であるなどの利点があるが、ロール発注のため、色調は建具製作所の標準色となる。

現在、内装材に適した電気亜鉛めっき鋼板を下地としたカラー鋼板のJISは制定されていない。そのため、「標仕」では下地の電気亜鉛めっき鋼板のめっき付着量を規定している。

また、平成25年版「標仕」では、耐食性に優れた JIS G 3317(溶融亜鉛ー5%アルミニウム合金めっき鋼板及び鋼帯)及びJIS G 3321(溶融55%アルミニウムー亜鉛合金めっき鋼板及び鋼帯)は、鋼製軽量建具が屋内の使用に限定されているため、高い耐食性は必要ないことから削除された。


(b) その他

水酸化アルミ無機シートコアとは、紙状無機質材料で作られたコアを水酸化アルミニウム溶解液に浸したのち、乾燥させ燃えにくくした製品である。


16.5.4 形状及び仕上げ

(a) 表面板の厚さは、標準では 0.6mmに統一されている。また、召合せ、縦小口包み板等も 0.6mm以上であるため、表面板との意匠合わせが可能である。

(b) 出入口の枠類で、丁番、ピボットヒンジ及びドアクローザー等が取り付く部分には、2.3mmの補強板が必要である。

(c) 接着剤を使用する表面板の裏面は、接着性が悪くなるので、錆止め塗料塗りは行わない。

(d) 内装建具であるため、ガラス溝の寸法及び形状は建具製作所の仕様でよい。

(e) くつずりの板厚は、鋼製建具と同様に1.5mmである。


16.5.5 工 法

{a) 枠等の組み方は、16.4.5 (a)による。

(b) 内装建具であるため、戸の組み方は、建具製作所の仕様でよい。

また、戸の順位調整器のローラー等が接する部分及び錠のハンドル部等へこみ防止の補強板は、厚さ1.6mm以上の鋼板を使用する。

(c) 取付けは.16.2.5(b)に準ずる。


16.5.6 標準型鋼製軽量建具

16.4.6 標準型鋼製建具により、以下の表16.4.3による。

表16.4.3 標準型鋼製建具と標準型鋼製軽量建具一覧表
表16.4.3_標準型鋼製建具と標準型鋼製軽量建具一覧表.jpeg




16章 建具工事 6節 ステンレス製建具

16章 建具工事


06節 ステンレス製建具

16.6.1 適用範囲

この節では、事務庁舎等の主な出入口等に使用する建具を対象としている。

16.6.2 性能及び構造

性能については、16章 1節 及び 16.4.2 を参照する。

なお、ステンレス製建具には、「標仕」で要求する品質を満たすものとして、(-社)公共建築協会の「建築材料・設備機材等品質性能評価事業」(1.4.4 (e)参照)で評価した製品があるので参考にするとよい。


16.6.3 材 料

「標仕」では、ステンレス鋼板はニッケルを含むオーステナイト系の SUS304 を標準としていたが、これは、SUS304が加工性、耐食性及び経済性の均衡の取れた材料であったからである。しかし、最近では、世界的にニッケルを始め希少金属(レアメタル)が激減し入手に支障も出てきたため、平成22年版「標仕」に、JIS G 4305(冷間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯)に規定されているフェライト系(ニッケルを含まない。)の SUS430J1L 及び SUS430 の2種類が標準として追加された。

更に、平成22年5月には、SUS304と同等の耐食性を有するフェライト系の SUS443J1 がJIS G 4035に追加されたことにより、平成25年版「標仕」にSUS443J1が規定された。

SUS430J1L及びSUS443J1は、SUS304に近い耐食性を有するため、外部や水回りに使用し、SUS430は高い耐食性を必要としない屋内の建具等に使用するというように使い分けをするとよい。

なお、更に耐食性を要求される塩害地向けには、 SUS316 が使われる場合がある。


16.6.4 形状及び仕上げ

(a) 裏板の板原は1.6mm以上、補強板の類の板厚は2.3mm以上である。

ステンレスに接触する鋼材は、ステンレスの腐食の原因となることがあるので、裏板、補強板等の重要な補強材は、錆止め塗装を行う必要がある。

なお、両面フラッシュ戸の中骨、力骨の類は、「標仕」18.3.3(f)(4)より塗装されない。また、超強力両面粘着テープが張り付けられる部分も、接着強度が低下するため塗装されない。

(b) 表面仕上げをHL以外とする場合は、表14.2.1[ステンレス板の表面仕上げ]を参照されたい。

(c) ガラス溝の寸法及び形状は.16.4.4(c)による。


16.6.5 工 法

(a) 普通曲げとは、特に処置しない普通の曲げ方である。角出し曲げとは、図16.6.1に示す方法で曲げるので、角が鋭くなり意匠的にはよいが、強度を著しく弱めるので、裏板を用いて補強するため高価である。その他、一部にはロール成形により曲げる方法も行われている。

なお、角出し曲げ加工ができる板厚は、1.5mm以上であり、一般に表16.6.1による3種類の加工方法が行われている。

ただし、a角については割れが生じやすいので注意を要する。一般的にはb角・c角を用いる方がよい。

また、板厚の異なる組合せの場合は、出来ばえをそろえるため、切込み後の残り寸法を1.5mmの板に合わせる場合が多い。


図16.6.1_角出し曲げの方法.jpeg
図16.6.1 角出し曲げの方法


表16.6.1 角出し曲げ加工の種類
表16.6.1_角出し曲げ加工の種類.jpeg


(b) 取付けは、 16.2.5 (b) に準じる。




16章 建具工事 7節 木製建具

16章 建具工事


07節 木製建具

16.7.1 適用範囲

(a) この節では、事務庁舎等での屋内の出入口に使用する木製建具を対象としている。

また、物入、書棚等の戸に木製フラッシュ戸を使用する場合は、これを準用できる。

(b) 近年の事務庁舎等では、防火性能を必要としない部位で、木製建具の使用が増加している。木製建具にはフラッシュ戸、かまち戸、ふすま、障子等があり、種類が多いため、「標仕」では一般的に重要な項目のみを規定し、その他は建具製作所の仕様によることとしている。

製作所の決定は、工事経歴、受注能力(作業人員、機械設備、管理体制)等により、その能力を調査することが必要である。

(c) 木製建具は、フラッシュ戸・ふすま・戸ぶすまのように内部材が外から見えない 建具と、かまち戸・ 障子のようにすべて化粧材からなる建具とに大別される。外周部材は、垂直方向の「かまち(縦かまち)」と水平方向の「かまち(上かまち、下かまち)」又は「桟(上桟、下桟)」とからなり、補強のために中間に入れる部材は、内部材が見えない建具では「中骨」といい、すべて化粧材からなる建具では「中桟」という(図16.7.1参照)。

図16.7.1_木製建具の部品名称(フラッシュ戸,ふすま,戸ふすま).jpeg

図16.7.1_木製建具の部品名称(すべてが化粧材からなるかまち戸,障子).jpeg
図16.7.1 木製建具の部品名称


16.7.2 材 料

(a) 含水率

(1) 建具材は反り、ねじれ、狂い等寸法に変化が生じると、その機能が著しく損なわれるおそれがあることから、一般の木工事材料より厳しくしている。

(2) 人工乾燥と天然乾燥を区分しているのは、使用樹種と使用部位によって使い分けるためである。

(3) 天然乾燥による木材の乾燥期間は、平衡含水率は12〜19%程度で、初期の含水率、気象条件、板厚、樹種等によって異なるが厚さ25〜 30mmのもので2〜6箇月以上が必要である。

(4) 人工乾燥による木材は、平衡含水率より2〜3%低めに乾燥した方が狂いは少ない。屋内における木材の平衡含水率は、10〜15%程度と考えられる。

(5) 集成材、単板積層材、合板、パーティクルボードは、製造工程上十分乾燥しているのでA種と見なすことができる。


(b) フラッシュ戸
(1) かまち及び桟は、近年木材の集成技術やフラッシュ戸の表面材の接着技術が向上していること及びむく材のコストが高騰していることから、集成材を使用することが一般的である。ただし、使用している集成材は同一樹種を集成したものとは限らない。近年、杉の間伐材も加工・集成技術の向上に伴い使用されている。

また、単板積層材(LVLともいい、厚さ3mm程度の薄板を繊維方向を合わせて積層した材料)も使用されている。

造作用集成材及び造作用単板積層材の品質は、建具製作所の仕様によることとなっているが、ホルムアルデヒドの放散量等は、JASで品質基準が定められており、表面材の合板に準じてF☆☆☆☆のもの、非ホルムアルデヒド系接着剤使用のもの、非ホルムアルデヒド系接着剤及びホルムアルデヒドを放散しない塗料使用のものとすることが望ましい。


(2) 定規縁、化粧縁、額縁及びがらり等には、狂いの少ない十分乾燥したむく材を使用する。樹種は、かまち等の集成材等と同じものとしている。


(3) 表面材の合板で、水掛りの箇所(便所、洗面所、浴室、厨房等)は、耐水性のある1類とする。

また、普通合板の板面の品質は、「合板の日本農林規格」の「普通合板の規格」に表16.7.1の3種が規定されている。「標仕」のC-Dとは、表面材の品質がC、裏面材の品質がDであることを示している。これらは、針築樹を表面材としている普通合板の中で、市場性があるもののうちでより品質が良いものである。

普通合板のホルムアルデヒドの放散量等は、JASで品質基準が定められており、「標仕」では、特記がなければF☆☆☆☆のもの及び非ホルムアルデヒド系接着剤使用のものとすることとしている。

なお、放散量の表示や確認方法等については、19章10節を参照されたい。

表16.7.1 普通合板の板面品質(JAS)
表16.7.1_普通合板の板面品質(JAS).jpeg


(4) 「標仕」では、心材に使用するペーパーコアは樹脂浸透のものとしているが、市販品には、ペーパーコアに樹脂を浸透していないものもあるので注意する。


(5) ガラス押縁に使用するねじ、釘の材質は、黄銅製では強度不足のため、ステンレス製としている。

(c) かまち戸
近年は、木目を見せるクリヤラッカー(CL)仕上げ、又はオイルステイン塗りクリャラッカー(OSCL)仕上げのかまち戸が一般的である。樹種は、チーク材とかオーク材のほか、種類が多いため、「標仕」では特記としている。鏡板も、かまちと同種の板を用いた合板(厚さ9mm程度)を使用することが多いため特記となる。

なお、「標仕」でいうかまち戸とは、むく材又は練付け材のかまちゃ桟に鏡板(額縁付きガラスも含む。)を取り付けたものを想定しており、フラッシュ戸の中央を抜き、鏡板(額縁付きガラスも含む。)を付ける戸はフラッシュ戸に含める。

(d) ふすま
(1) ふすまの種別は、 I型とII型の2種類がある。

(2) 周囲骨、中骨にスプルースが使われることがあるが、やにに注意する。

(3) 近年、 I型では、下張り工程の合理化のため、骨しばり用の茶ちり紙と、べた張り用の黒紙又は紫紙とを製紙工程ですき合わせた紙も多く使用されている。

(4) 上張りの種類は、価格に大きく影響するので特記することとしている。

なお、新鳥の子は、茶うらとか上新鳥と呼ぶこともある。また、雲花(うんか)紙とは、ダークグリーン地に真綿を散らしたような模様のある洋紙である。


(5) 防虫処理は、減圧容器に木材を入れ、ほう砂・ほう酸を木材に含浸(含浸量 木材1m 3 当たり1.2kg)する方法であるが、現在、南洋材の防虫処理は産出国で行い、国内での処理は行っていないのが実状である。


(e) 戸ぶすま
(1) 戸ぶすまは、フラッシュ戸の表面と周囲とをふすまと同様に仕上げたものであり、フラッシュ戸及びふすまに使用する材料と同じとしている。

(2) 表面の合板は、普通合板が一般的であり、厚さ2.5mm以上としている。


(f) 紙張り障子

(1) 障子紙の代名詞として美濃紙と特記されることがあるが、手すき和紙に限定して解釈しなくてよい。

(2) レーヨンパルプ紙とは、一般にビニル紙と呼ばれるものである。

(3) 引手の材質には、桑等の木製と真鍮(黄銅)等の金属製、合成樹脂製のものがある。

(4) 腰板付き障子は、腰板が高価なため近年は少ない。


(g) 接着剤
「標仕」では、接着剤はJIS A 5549(造作用接着剤)又はJIS A 6922(壁紙施工用及び建具用でん粉系接着剤)で接着する材料に適したものとされており、ホルムアルデヒドの放散量は、特記がなければF☆☆☆☆のものを使用することとしている。

なお、放散量の表示や確認方法等については、 19章10節 を参照されたい。


16.7.3 形状及び仕上げ

(a) フラッシュ戸
(1) 「標仕」表16.7.5の見込み寸法30mmのフラッシュ戸は、物入、書棚等の戸を想定している。

(2) 表面材の厚さは、圧着技術が進歩しているため「標仕」表16.7.6が一般的である。ただし、大きな荷重がかかることが予想される場合は、特記で合板を厚くする必要がある。

(3) 表裏で表面材の種類を変えると温湿度の差で反りや狂いが生じやすいので注意する。

(4) 特殊加工化粧合板は、ポリエステル化粧合板等が製造されている。メラミン系は化粧板と称する厚さ1.2mmのメラミン板のみが製造されており、メラミン化粧合板は近年製造されていない。


(b) その他の建具
「標仕」に示すその他の建具の見込み寸法は、一般的な値である。

なお、ふすまの見込み寸法は、どぶ縁(引手側の縦かまち)の寸法による。


16.7.4工 法

(a) フラッシュ戸
(1) 標誰的なものとしては、主に幅950mm × 高さ2,100mm程度のものを想定している。

(2) 工法は、心材別に中骨式とペーパーコア式に分類される。現在製造されているフラッシュ戸は、中骨式の方がペーパーコア式より多い。それぞれの工法の特長は次のとおりである。

(i) 中骨式の工法(図16.7.2(イ))
従来工法を機械化製作しやすく改良し、中骨を横方向のみとして、かつ、中間2箇所の中骨を分増し(見付け幅を太くすること)しない方法である。

(ii) ペーパーコア式の工法(図16.7.2(ロ))
中骨の数を減じ、その代わりにペーパーコアを挟み込む工法である。


図16.7.2_フラッシュ戸の工法(中骨式).jpeg

図16.7.2_フラッシュ戸の工法(ペーパーコア式).jpeg
図16.7.2 フラッシュ戸の工法

(3) 圧着技術が進歩しているため、いずれの工法でも、上下かまちと縦かまち及びかまちと中骨の取合い部のステープル留めは組立時の仮固定の意味合いが強く、戸としての剛性は接着剤により確保している。したがって、中骨とかまちとの取合い部の欠き込みは行わない。


(4) いずれの工法でも、錠前当たりの部分には高さ300mm以上の補強を施す。

また、ドアクローザーの取付けねじが,上かまちを外れるおそれがある場合は、上かまちに増し骨する。


(5) 化粧縁は、フラッシュ戸の側面を保護するためのものであり、表面材を接着したのち、幅、高さ、曲がり具合等を修正し、縦かまちに接着剤で取り付ける。

上・下かまちには、化粧縁を取り付けないのが一般的である。化粧縁の隅の納まりを図16.7.3に示す。

図16.7.3_化粧縁の隅の納まり.jpeg
図16.7.3 化粧縁の隅の納まり


(6) 開き戸の定規縁は、通称「とんぼ」と呼んでいるT形部材あるいは合じゃくり形部材を図16.7.4のように接着剤で取り付ける。

図16.7.4_定規縁の例(T型).jpeg
図16.7.4_定規縁の例(合じゃくり型).jpeg
図16.7.4 定規縁の例

(7) 空気穴は、近年コールドプレス機の採用によって不要となり設けないフラッシュ戸も多い。しかし、ホットプレス機を使用する場合は、フラッシュ戸内の空気の膨張による膨らみを防止するため、すべての水平部材(上・下かまち及び横骨)に図16.7.5のように3mm角程度の穴をあける。

図16.7.5_空気穴の詳細.jpeg
図16.7.5 空気穴の詳細

(8) 引戸の召合せかまちの定規縁で、いんろう付きとする場合は特記による。その例を図16.7.6に示す。

図16.7.6_召合せかまちのいんろう付きの例1.jpeg
図16.7.6_召合せかまちのいんろう付きの例2.jpeg
図16.7.6 召合せかまちのいんろう付きの例


(b) かまち戸
(1) ほぞの形式の例を、図16.7.7に示す。

図16.7.7_ほぞの形式の例(1段1枚ほぞ).jpeg図16.7.7_ほぞの形式の例(2段2枚ほぞ).jpeg
図16.7.7 ほぞの形式の例


(2) かまち及び桟の取合いの例を図16.7.8に示す。

図16.7.8_かまち及び桟の取合いの例.jpeg
図16.7.8_かまち及び桟の取合いの例(イ).jpeg図16.7.8_かまち及び桟の取合いの例(ロ).jpeg
図16.7.8 かまち及び桟の取合いの例


(3) レールは、V形、U形又は甲丸レールを使用するのが一般的である。


(c) ふすま
(1) 通常使用されている標準的な大きさのものについて示している。

なお、「標仕」表16.7.9中の周囲骨と中骨の寸法は、見付け幅 × 見込み幅で表示している。

(2) 工法は、 ?T 型と?U型とに分類される。それぞれの工法の特長は次のとおりである。

(i) ?T 型工法
従来から行われている工法であり、周囲骨の隅をえり輪入れし、周囲骨間及び周囲骨と中骨との取合いは、釘打ちとなっている。そのほか、図16.7.9(イ)のように縦骨と横骨の取合いを相欠き、両組みとしている。

紙張りは、下張り3工程(骨しばり、べた張り、袋張り)と上張りの計4工程となっている。しかし、近年茶ちり紙(骨しばり用)と黒紙又は紫紙(べた張り用)を製紙工場ですき合わせた紙を使用して、3工程とすることも行われている。

?T型工法での下張り紙の概略は、次のとおりである。

?@ 茶ちり紙(骨しばり用):主として、やや厚手のダンボール又はクラフト紙(上質)を再生したもの

?A 黒紙又は紫紙(べた張り用):茶ちり紙を染めたもの

?B 袋紙(袋張り用):薄手のやや良質な茶ちり紙


(ii) II型工法
機械化製作のために開発された工法であり、一般にはチップボード型と呼ばれている。周囲骨の隅は火打ちを入れ接着剤とステープルで固定し、中骨と周囲骨の取合いはステープルで固定する。その他、図16.7.9(ロ) のように縦骨と横骨の組み方は、 I型工法と同じである。

紙張りは、下張り2工程(下張り、袋張り)と上張りの計3工程となっている。

II型工法での下張り紙の概略は、次のとおりである。

?@ 耐水高圧紙(下張り用):厚手の再生紙(専用紙)

?A袋紙(袋張り用): I 型工法に同じ。


図16.7.9_ふすまの工法(?T型).jpeg
図16.7.9_ふすまの工法(?U型).jpeg
図16.7.9 ふすまの工法

(3) 上張り紙は、四周の周囲骨より10mm程度はみ出す大きさとし、周辺10mm部分にのり付けし、周囲骨の側面に折り込んで張り付ける。


(4) 縦縁は、スクリュー釘又は折合い釘を用いて、下方から滑らせて縦周囲骨に固着する。 上下縁は上下周囲骨に釘打ち留めとする。

縁の仕上げとしては、うるし塗りは高価なため、近年極めてまれである。現在は、カシュ一樹脂塗料の2回途りが一般的である。このほか、近年白木仕上げも多く見られる。


(5) 召合せ部の重ね縁と出会い縁の例を図16.7.10に示す。

図16.7.10_召合せの例(重ね縁).jpeg図16.7.10_召合せの例(出会い縁).jpeg
図16.7.10 召合せ部の例

(d) 戸ぶすま
両面で異なる材質の上張り(片面が洋室用のビニルクロスで、他面が和室用の紙張りの場合等)とした場合は、上張り施工時の吸水による伸びとその後の乾燥による収縮及び室内温湿度の影響等で反りが生じやすい。一般的には、ビニルクロスを張った側が凸になる傾向がある。

(e) 紙張り障子
最近の建物は、高気密、高断熱が進み木製品の含水率が大きく変化し、反りやすい環境となっている。反り対策として「標仕」表16.7.10のかまちの寸法(見込み寸法30mm、見付け寸法27mm)が主流である。高さが2,000mmを超える場合は、見付け寸法も30mmとすることが多い。

また、ほぞ組みは、かまち見付け寸法の1/2以上とする。




16章 建具工事 8節 建具用金物

16章 建具工事


08節 建具用金物

16.8.1 適用範囲

(a) この節では、建具の戸、枠に付属し、戸の動作円滑、動作制御、位置制御、締まり、操作等の機能を分担するもののうち、2節から7節までの各種の既製建具又はこれに準ずる建具に使用する建具用金物(以下、この節では「金物」という。)を対象としている。

(b) 「標仕」では、金物の材質、形状、寸法、個数等が規定されている。しかし、既製建其にこれらの金物を取り付けるためには、改良を要するものもあり、「標仕」 16.8.1では、既製建具は、製作所の仕様で建具に見合った金物が取り付けてあればよいとしている。ただし、機能及び美観上疑問のある場合(腐食、損傷等)は、協議をして取り換えられるようにしている。

なお、金物の指定がない場合でも、建具の機能上必要なものは当然取り付けなければならない。


16.8.2 材質、形状及び寸法

(a) 金物の材質

金物に使用する主要な材料としては、表16.8.1に示すものがある。

なお、ステンレスとして使用されている材料には、SUS304やSUS430系でJIS規格品のSUS430J1Lのほか、SUS304と同等の耐食性を有するJIS規格品のSUS443J1もある。

「標仕」表16.8.1では、特記がない場合の金物の材質として、見え掛り部等の材質を金物の種類に応じて細かく規定している。

なお、見え掛り部の材質の指定は、防錆又は強度上必要なもの以外は、化粧として表面に現れる部分についてのみ適用される。例えば、ピボットヒンジの本体が鉄製でも、カバーがステンレスであれば、ステンレスの指定に合うことになる。

表16.8.1 金物に使用される主要な材料と製法(JASS 16より)
表16.8.1_金物に使用される主要な材料と製法.jpeg


(b) 金物への名称又は略号の表示の目的は、メンテナンスや交換等の際の識別を容易にするためである。したがって、金物製造所又は建具製作所のいずれかの名称又は略号が表記されたものを使用する。


(c) アルミニウム製建具に使用する金物で、黄銅製のものにクロムめっきを行うのは、アルミニウムとの接触腐食を防止するためである。また、亜鉛合金製のものにクロムめっきを施すのは美観上の必要からである。


(d) 便所、洗面所、浴室、厨房等に使用するステンレス以外の金物にクロムめっき又はJIS H 8602(アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化塗装複合皮膜)による協極酸化塗装複合皮膜(種類B)処理を行うのは、水分による腐食を防止するためである。陽極酸化旅装複合皮膜処理はアルミニウム合金の場合の表面処理である。


(e) 金物の種類
「標仕」表16.8.1では、金物が過度にならないように建具の形式に応じた金物の種類を規定している。

表中の*印の付いた金物の適用は、特記によって指定することとしている。

なお、表に示された金物は、建具に付属するすべての金物を網羅しているものではなく、この表以外で建具の機能上必要な金物は補足して付けなければならない。

また、表中でピボットヒンジの使用を屋内に限定しているのは、ガラス戸等で、ピボットヒンジをフロアヒンジと組み合わせて使用する場合の防犯性を考慮したものである。

(i) 開き戸の主な金物を図16.8.1に示す。

図16.8.1_開き戸の主な金物(姿図).jpg
図16.8.1_開き戸の主な金物.jpg
図16.8.1 開き戸の主な金物

(ii) 引戸の主な金物を図16.8.2に示す。

図16.8.2_引戸の主な金物(姿図).jpeg
図16.8.2_引戸の主な金物.jpeg
図16.8.2 引戸の主な金物

(iii) 「標仕」には規定されていないが、近年、鋼製建具や木製建具でよく使われるようになってきた折り戸の金物を次に示す。

?@ 防火戸に使われる折り戸の主な金物を図16.8.3に示す。 .

図16.8.3_折り戸の主な金物(姿図).jpg
図16.8.3_折り戸の主な金物(防火戸).jpg
図16.8.3 折り戸の主な金物(防火戸)

?A物入等に使われる折り戸の主な金物を図16.8.4に示す。

図16.8.4_折り戸の主な金物(姿図).jpeg
図16.8.4_折り戸の主な金物(物入等).jpeg
図16.8.4 折り戸の主な金物(物入等)


(f) 錠のグレード

平成25年版「標仕」では、「標仕」表16.8.1のシリンダー箱錠及び本締り錠について、JIS A 1541-2(建築金物-錠-第2部:実用性能項目に対するグレード及び表示方法)によるグレード3以上と規定されたが、これは、主に事務庁舎を想定したものであり、鋼製建具、鋼製軽量建具及びステンレス製建具を対象としている。

JIS A 1541-2では、
?@ 使用頻度による性能
?A 外力に対する性能
?B 使用扉の質量による性能
?C かぎ(鍵)違い
?D デッドボルトの出寸法
?E 耐じん性能
の6項目について、それぞれグレードが定められており、「標仕」では、耐じん性能を除く5項目についてグレード3以上としている。耐じん性能は、使用する場所により要求性能が異なるため規定されていないが、ちりやほこりの多い場所では、グレード2の製品を使用するのが望ましい。

また、枠類の厚さが1.5mm以上のものの場合の外力に対する性能のストライクの仕様については、グレード3の規定を適用しないこととされている。

なお、本締り付きモノロック及びモノロックについては、耐じん性能を除く実用性能項目の5項目のすべてでは、グレード3を満足してはいない。

JIS A 1541-2については、16.8.5(b)(2)を参照されたい。

錠前類には、「標仕」で要求する品質を満たすものとして、(-社)公共建築協会の「建築材料・設備機材等品質性能評価事業」(1.4.4(e)参照)で評価した製品があるので参考にするとよい。

(g) 閉鎖金物のストップ装置

「標仕」表16.8.1では、フロアヒンジ、ヒンジクローザー(丁番形・ピボット形)、ドアクローザーについて、防火扉の場合ストップなしとされているが、これは防火区画に用いる防火戸を前提としたものである。


(h) 金物の寸法 個数(枚数)

「標仕」16.8.2(g)、(h)及び(i)では、金属製建具及び樹脂製建具に使用する丁番及び戸車並びに木製建具に使用する丁番、ビボットヒンジ,戸車及びレールについて、寸法、個数を細かく規定している。

なお、「標仕」表16.8.2の丁番の長さ127 (125)、152(150)は、それぞれ 5インチ、6インチをmmに換算した寸法なので、建具金物製造所によりばらつきがある。そのため、127 及び 152 は一般的な呼び寸法を表し、(  )内は最小呼び寸法を表している。


16.8.3 取付け施工

(a) 金物の取付け位置は、特記によるが、どこを基準とする寸法なのかを明記する。一般的な寸法は、次のようであり、図16.1.3に開き戸での錠、取っ手、丁番の位置、及び図16.1.4に引戸での引手、クレセントの位個の取り方を示す。

(1) 取っ手類の位置は、床上から高さ1.0m(押板類は1.1m)程度が一般的である。バックセットは「標仕」表16.8.1では、握り玉の場合6 0mm以上、レバーハンドルの場合 50mm以上とされており、前者の場合 60〜70mm、後者の場合50〜60mmが一般的である。

(2)排煙窓に手動開放装置を設ける場合の位置は、16.1.7(b)(3)による。


(b) 金物の取付けは、水平垂直に留意して、建具が円滑に作動するように注意を払いながら、他部材との納まり具合(金物の作動時に他部材と接触しないなど)、戸と枠との適正な隙間、出入りを調整し、支持部材に堅固に取り付ける。

なお、取付けに際しては、戸や枠が正確に施工されていることを前提とするが、現実には、戸や枠に微妙な誤差が生じているため、両者を調整しながら取り付けることになる。


(c) 金物の取付けに使用するねじ類(小ねじ、タッピンねじ、木ねじ)は、所定の数量及び長さのものを使用する。「標仕」では、ねじ山が金属板に3山以上掛かるようにまた、ねじの先端が金属板の外に3山以上出るように規定している。


(d) フロアヒンジ等金物をコンクリートに埋設するものは、主要な構造躯体を損傷しないように配置する。やむを得ず梁等と取り合う場合は、主筋とぶつからないようにあらかじめ梁を下げるなどの処置が必要となる。また、フロアヒンジの内部に水が入らないよう、水掛りでは多少高目に取り付ける必要がある。周囲がカーペット敷きの場合は、鋭いカバープレートの角が靴に当たるので、角がとがらない特殊なカパープレートを用いたり、フロアヒンジを低く取り付け、戸を上げてカーペットに擦らないようにする。ただしその場合は特注品となる。


(e) 金物の取付け後、金物のきしみ、緩み、がたつき、建具の異常な応力、たわみ変形等が生じず、円滑に作動するように調整及び確認を行う。


16.8.4 鍵

(a) マスターキー
鍵(キー)は、各錠ごとに異なっているが、建物管理上は多くの鍵を持ち歩くことになり、極めて不便である。そのため多数の錠を一つの鍵で操作できる鍵(マスターキー)を作ることになる。「標仕」では、マスターキーの扱いについては、特記によるとしている。錠と鍵の関係を組織的に管理する方式をキーシステムといい、表16.8.2に示すような方式がある。

なお、一つの建物に2以上の製作所の錠を使用する場合や施錠システムが異なる錠を混用する場合は、マスターキーを1つにすることは難しい。

表16.8.2 キーシステムの種類
表16.8.2_キーシステムの種類.jpg


(b) 製作者、施工者及び監督職員、場合によっては施設管理担当者の立会いのうえ、錠と鍵を照合し、確認する。特に操作が複雑と思われる金物は、操作取扱説明書を提出させ、必要に応じ施設管理担当者立会いのもとで操作実習を行う。


(c) 鍵は、整理し、鍵箱に収納して提出させる。「標仕」では、鍵箱は、鍵の個数に応じた鋼製の既製品としている。また、フック棒等の金物の付属部品もそろえて引き取る。

なお、コンストラクションキーシステムを用いた場合は、工事用シリンダーから本設シリンダーに切り替えたのち、不用になった工事用の鍵を提出させて、その確認を行う。


(d) 「特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律」(平成15年法律第65号)に基づき、「指定建物錠の防犯性能の表示に関する基準」が平成16年4月より施行されている。

(-社)日本サッシ協会、(-社)日本シャッター・ドア協会及び (-社)カーテンウォール・防火開口部協会では、 日本ロック工業会の協力を得て、子鍵の袋の中に同法第7条に規定された表示カードを入れることで正確な情報が建物の発注者、使用者に間違いなく届くように指導している。


16.8.5 JIS、資料他

(a) 錠を構成する部品の名称等を表16.8.3及び図16.8.5に示す。

表16.8.3 錠を構成する部品の名称及び機能
表16.8.3_錠を構成する部品の名称及び機能.jpeg


図16.8.5_錠を鋼製する部品の形状及び名称.jpg
図16.8.5 錠を鋼製する部品の形状例及び名称

(b) 建具用金物関係のJIS

(1) JIS A 1541-1(建築金物一錠ー第1部:試験方法)

JIS A 1510-1は廃止となり、2006年にJIS A 1541-1が制定されている。この規格では、錠に対する試験条件、試験装置及び試験方法が規定されている。試験項目としては、耐久性試験、強度試験、耐食性試験、安定性試験、電気的試験、シリンダの耐じん性試験、表面仕上げ試験が規定されている。


(2) JIS A 1541-2(建築金物 - 錠 - 第2部:実用性能項目に対するグレード及び表示方法)

この規格では、建築物の開口部の戸に用いる錠の実用性能項目、
?@ 使用頻度による性能
?A 外力に対する性能
?B 使用扉の質量による性能
?C かぎ(鍵)違い.
?D デッドボルトの出寸法
?E 耐じん性能
の6項目について、それぞれのグレード及び表示方法について規定されている。

JIS A 1541-2で規定されている6項目の性能について、表16.8.4から表 16.8.9に示す。

表16.8.4 使用頻度による性能(JIS A 1541-2 : 2006)
表16.8.4_使用頻度による性能.jpeg

表16.8.5 外力に対する性能(JIS A 1541-2 : 2006)
表16.8.5_外力に対する性能.jpeg

表16.8.6 使用扉の質量に対する性能(JIS A 1541-2: 2006)
表16.8.6_使用扉の質量に対する性能.jpeg

表16.8.7 かぎ(鍵)違い(JIS A 1541-2 : 2006)
表16.8.7_かぎ(鍵)違い.jpeg

表16.8.8 デッドボルトの出寸法(JIS A 1541-2 : 2006)
表16.8.8_デッドボルトの出寸法.jpeg

表16.8.9 耐じん性能(JIS A 1541-2: 2006)
表16.8.9_耐じん性能.jpeg


(3) JIS A 1510-2(建築用ドア金物の試験方法ー第2部:ドア用金物)

建築物の開口部の戸に使用する金物のうち、丁番、グラビティヒンジ(トイレブース等に使用するせり上り丁番をいい、閉戸は戸の自重によって行われるもの)、戸当り、上げ落し、用心鎖及びガードアーム(鎖の代わりに棒状ループ状又は板状の部品を用いて開戸を制限するドア用金物)の試験方法について規定されている。


(4) JIS A 1510-3(建築用ドア金物の試験方法ー第3部:フロアヒンジ、ドアクローザ及びヒンジクローザ)


(5) JIS A 5545(サッシ用金物)

JIS A 4706(サッシ)に規定するスライデイングサッシに使用する金物のうち、戸車及びクレセントについて規定されている。


(c) 錠及び吊り金物類の用語の解説を表16.8.10及び表16.8.11に示す。

表16.8.10 錠(その1)
表16.8.10_錠(その1).jpeg

表16.8.10 錠(その2)
表16.8.10_錠(その2).jpeg

表16.8.11 吊り金物類(その1)
表16.8.11_吊り金物類(その1).jpeg

表16.8.11 吊り金物類(その2)
表16.8.11_吊り金物類(その2).jpeg




16章 建具工事 9節 自動ドア開閉装置

16章 建具工事


09節 自動ドア開閉装置

16.9.1 適用範囲

(a) この節では、建築物の出入口に使用する標準的なスライデイング及びスイングタイプの自動ドア開閉装置(以下、この節では「開閉装置」という。)を対象としている。

開閉装置とは、JIS A 4702 (ドアセット)に規定するドアセットに開閉のための制御部及び駆動部(懸架部を含む。)を取り付け、歩行者等を検出する検出装置(以下「センサー」という。)の信号でドアが開閉する装置のことである。

(b) 施工計画書の作成は,16.1.1(c)を参照する。

(c) 開閉装置の施工範囲は、関連工事との区分を明確にすることが必要である。


16.9.2 性 能

標準的な開閉装置の性能値は、「標仕」表16.9.1及び2に示されているが、ドアの質量,面積がこれを超える場合は.設計図書に性能が特記される。

また、自動ドアの安全対策については、全国自動ドア協会から「自動ドア安全ガイドライン(スライド式自動ドア編)」及び「多機能トイレ用自動ドア安全ガイドライン」が発行されているので参考にされたい。


16.9.3 機 構

(a) 開閉装置は、駆動装置、制御装置及びセンサーより構成される。図16.9.1はスライデイングドア用の納まりの例で各部の名称を示す。


図16.9.1_引分け開閉装置の納まりの概略図.jpeg
図16.9.1 引分け開閉装置の納まりの概略図


(1) 駆動装置

動力部、作動部、ドア懸架部よりなり、制御装置から指令を受けてドアを開閉する。駆動方式には、表16.9.1に示すものがある。

なお、ドア懸架部とは、吊り戸車及びハンガーレールをいう。


表16.9.1 駆動方式の種類
表16.9.1_駆動方式の種類.jpg


(2) 制御装置
センサーから開閉信号を受けて駆動装置を制御する装置をいう。

(3) センサー
人体の自動検出又は人為操作によって制御装置へ制御を送る装置をいう。センサーには、表16.9.2に示すものがある。また「標仕」16.9.3(e)はドア走行部の安全を考慮して、すべてに補助センサーを併用することとしている。補助センサーには、図16.9.1にある補助光電スイッチのように、センサーと分かれている「分離型」と、センサーの中に補助センサー機能が含まれる「一体型」がある。

表16.9.2 センサーの種類
表16.9.2_センサーの種類.jpeg


(4) ドアの開閉方式

表16.9.3に示すものがある。

表16.9.3 ドアの開閉方式の種類
表16.9.3_ドアの開閉方式の種類.jpeg


(5) 自動扉機構については、「標仕」で要求する品質を満たすものとして(-社)公共建築協会の「建槃材料・設備機材等品質性能評価事業」(1.4.4 (e)参照)で評価した製品があるので参考にするとよい。


(b) 停電及び電源を切った場合に、ドアは手動で開閉できるものとする。


(c) 開閉装置を床又は屋外に設置する場合は、絶縁低下を起こさず、また、支障なく使用できるなど、常に正常な機能を維持するため、開閉装置内部に水が浸入しても直ちに排水できる構造とする。


16.9.4 工 法

(a) 施工の注意事項は、次のとおりである。

(1) 建具枠及びドア等の取付けに十分耐え得る構造であることを確認する。

(2) 開閉装置を取り付ける前に、ドア回りの関連工事が、開閉装置の取付けやドアの作動に支障のないように施工されていることを確認する。

(3) 床又は屋外に設置する開閉装置の埋込み部分及びマットスイッチのマット敷込み部分には、呼び径65mm程度の排水管が設けられていることを確認する。

また、高齢者、障害者等の通過が予想される場合は、国土交通省大臣官房官庁営繕部整備課監修「建築設計基準及び同解説」3.5.3(4)[スライド式自動扉]による。

(4) マットスイッチのリード線の接続部は、自己融着テープ等で防水処理を行う。なお、多雪寒冷地で凍結のおそれがある楊合は、電熱ヒーターを敷設するなどマットスイッチやガイドレール部分の凍結を防止する装置が必要である。

(5) 引戸は、全閉時での戸先隙間が一定で、また、ドアとガイドレール、無目及び中間方立との隙間が一定であることを確認する。

(6) 開き戸は、ピボット軸と駆動軸との同心、無目及び床埋込みケースの水平を確認し、また、ドア全周とサッシ及び床との隙間、全閉時での戸先隙間が一定であることを確認する。


(b) 取付け及び調整完了後に、表16.9.4に示す項目を確認する。

表16.9.4 取付け及び調整完了後の確認項目
表16.9.4_取付け及び調整完了後の確認項目.jpeg


表16.9.5 ドア質量とドア開速度・閉速度
表16.9.5_ドア質量とドア開速度・閉速度.jpeg


(c) 「建築設計基準及び同解説」の自動ドアに関する項の抜粋を次に示す。

建築設計基準及び同解説

3.5.3 扉

(4) スライド式自動扉

高齢者、障害者等の通行を考慮し、開閉速度、センサー等を設定する。


図3.5.13_自動ドア感知域と留意事項.jpeg
図3.5.13 自動ドア感知域と留意事項




16章 建具工事 10節 自閉式上吊り引戸装置

16章 建具工事


10節 自閉式上吊り引戸装置

16.10.1 適用範囲

主に高齢者、障害者等の利用を配慮した出入口に使用する標準的な自閉式上吊り引戸(手動で開放し、自動で閉鎖する戸、有効開口幅 900mm、高さ2,000mm程度)の開閉装置を対象としている。

開閉方式には、片引きと引分けがあり、引分けの場合、左右の戸が連動せずに個別に動くのが一般的である。


16.10.2 材 料

屋外に使用する上吊り引戸装置の材料は「標仕」によるが、引戸本体の材料についても雨水の浸入や防錆性能を考慮する必要がある。


16.10.3 性能等

(a) 開閉繰返し性能については、標準的な使用状態を想定して20万回を設定している。(-社)公共建築協会の「建築材料・設備機材等品質性能評価事業」(1.4.4(e)参照)では、「標仕」表16.10.1の規定に基づいた評価を行っている。「標仕」表16.10.1で規定されている手動閉じ力とは、ストップ装置を働かせた状態を手動で解除するのに要する力を指している。


(b) 自閉式上吊り引戸装置は、上吊り機構、自閉装置、制御装置により構成される。

図16.10.1に一例を示す。


図16.10.1_自閉式上吊り引戸装置の例.jpg
図16.10.1 自閉式上吊り引戸装置の一例


16.10.4 工 法

上吊り引戸装置の上吊り機構は、建具枠の取付け誤差や床の不陸等を調整できるものとする。


16.10.5 高齢者、障害者等の利用に対する配慮

高齢者、障害者等の利用に対する配慮としては、開閉しやすいこと及び車椅子が通過できる幅があり、通過を妨げる段差がないことなどが挙げられる。



16章 建具工事 11節 重量シャッター

16章 建具工事


11節 重量シャッター

16.11.1 適用範囲

(a) この節では、主として建築物の屋内・外に使用する重量シャッターを対象としている。

(b) 重量シャッターのうち、防火シャッター及び防煙シャッターでは、「標仕」に定められている以外の事項は、JIS A 4705(重量シャッター構成部材)による。

(c) 外部に取り付けるシャッターは、耐風圧性に対する安全性を計算書等により確認する。

(d) 用語は、JIS A 4705の参考付図による(16.11.5(c)参照)。



16.11.2 形式及び機構

(a) 防火シャッターの大きさの制限は、一般的にはJIS A 4705による。また、防煙シャッターの内法幅は、昭和48年建設省告示第2564号で5m以下となっている。ただし、平成10年の建築基準法改正に伴う性能規定化により、内法幅 5mを超える防煙シャッターも大臣認定によって認められることとなった。


(b) 新しい防火設備として、耐火クロス製防火/防煙スクリーンが、屋内用防火シャッターに代わって使用されることが多くなっている。これは、カーテン部を耐火クロスで構成した大臣認定品の防火設備又は特定防火設備である。鋼製シャッターに比べて軽量ではあるが、カーテン部の強度が劣るため、設置場所、用途等には注意が必要である。(-社)日本シャッター・ドア協会が作成した同製品の技術標準があるので、使用する場合には参考にするとよい。


(c) シャッター類は、平成12年建設省告示第1458号において適用除外となっている部位に設置される場合が多いため、(-社)日本シャッター・ドア協会では、実績に基づき旧建築基準法施行令第87条に規定されていた計算式を採用した「シャッター・オーバーヘッドドア耐風圧強度計算基準」を使用している。


(d) 防煙シャッターのまぐさには、一般にシャッターが閉じた時、漏煙を抑制する遮煙装置を付ける。その例を図16.11.1に示す。


図16.11.1_まぐさ部の遮煙装置の例.jpeg
図16.11.1 まぐさ部の遮煙装置の例


(e) 開閉操作方法を大別すれば、表16.11.1及び図16.11.2のようになる。

上部電動式の手動時の操作は、鎖による巻上げ(クラッチ付き)又はハンドルによる巻上げがある。クラッチ付きとは、鎖をプーリーからはずさずに、電動作動させても鎖が巻き込まない装置である。

表16.11.1 重量シャッターの開閉操作方法の種類
表16.11.1_重量シャッターの開閉操作方式の種類.jpeg


図16.11.2_開閉操作方式(上部手動式).jpeg図16.11.2_開閉操作方式(上部電動式).jpeg
図16.11.2 開閉操作方式

(f) リミットスイッチ、保護スイッチ

(1) リミットスイッチとは、シャッターが全開した場合又は全閉した場合に作動し、シャッターを停止させるスイッチである。

(2) 保護スイッチとは、リミットスイッチが故障した場合に作動し、シャッターを停止させるスイッチである。

なお、まぐさに取り付ける場合や二重リミットスイッチにする場合がある。まぐさに取り付けた例を図16.11.3に示す。

図16.11.3_まぐさに取り付けた保護スイッチの例.jpeg
図16.11.3 まぐさに取り付けた保護スイッチの例


(g) スラットの不測の事故による急激な落下を防止する装置には、二重チェーン、急降下制動装置、急降下停止装置等がある。

なお、二重チェーンとは複列チェーン方式のことをいう。


(h) 障害物感知装置

(1) 人がシャッターに挟まれた場合、重大な障害を受けないようにする装置である。シャッターの降下時に、シャッターのほぼ開閉ライン内に障害となるものがあると、これを感知してシャッターを停止又は一旦停止後直ちに反転上昇させる装置で、大別して次の2種類がある。

(i) 接触型
座板等に感知部を設け、障害物に直接接触して停止又は停止後直ちに反転上昇するもの。

(ii) 非接触型
蹄害物にシャッターが接触しないで障害物を感知して停止するもの(光電センサー等)。


(2) 「標仕」では、電動式で日常使用される管理用シャッター及び一斉操作や遠隔操作等見えない場所から操作するシャッターには障害物感知装置を設けることとしている。

(i) 危害防止装置
(1) 煙感知器の非火災報により降下した防火シャッターに人が挟まれる事故が発生したために追加された機構で、建築基準法施行令第112条第14項第一号の改正により、平成17年12月1日から防火設備に設置が義務付けられた。「防火区画に用いる防火設備等の構造方法を定める件」(昭和48年12月28日 建設省告示第2563号、最終改正 平成17年12月1日 同土交通省告示第1392号)に基準が定められている(16.1.3 (d)参照)。これらにより、従米の二段降下方式は不適合となった。また、手動閉鎖装置により降下させた場合にも、危害防止装置が作動する構造とされた。


「標仕」16.11.2(d)(4)では、危害防止機構の条件として、(i)、かつ、(ii)とされているが、(ii)は法的根拠を明記したもので、現在は法に適合した装置は、(i) の障害物感知装置のみとなっている。

(2) 障害物感知装置(自動閉鎖形)

接触形の障害物感知装置で危害防止を図る方式。障害物が取り除かれたのちにシャッターが再降下して完全に閉鎖し、防火又は防煙シャッターの機能が果たされる。

(j) スラットの形状

(1) インターロッキング形のスラットを図16.11.4に示す。

図16.11.4_インターロッキング形スラット.jpeg
図16.11.4 インターロッキング形スラット

(2) オーバーラッピング形(防煙シャッター)のスラットを図16.11.5に示す。

図16.11.5_オーバーラッピング形スラット.jpeg
図16.11.5 オーバーラッピング形スラット

(k) 耐風圧性を高めるスラットのはずれ止め機構の例を図16.11.6に示す。製造所は、要求される耐風圧性能によりはずれ止め機構の例を設けている。一般に、耐風フックの数や強度により耐風圧性能を高めている。

図16.11.6_はずれ止め機構の例.jpeg
図16.11.6 はずれ止め機構の例

(l) 重量シャッターについては、「標仕」で要求する品質を満たすものとして、(-社)公共建築協会の「建築材料・設備機材等品質性能評価事業」(1.4.4(e)参照)で評価した製品があるので参考にするとよい。

16.11.3 材 料

(a) 重量シャッターに使用する鋼板は、JIS G 3302(溶融亜鉛めっき鋼板及び鋼帯)又はJIS G 3312(塗装溶融亜鉛めっき鋼板及び鋼帯)に基づき、鋼板の種類及びめっきの付着量は特記によるとされている。ただし、めっきの付着量は、特記がない場合、Z12又はF12を満足するものとされている。

一般的には、鋼板はJIS G 3302が使用されている。

(b) 主にまぐさ部の遮煙装置に使用する「遮煙材」は、JIS A 4705に示されており、スチール、クロロプレンゴム、ガラスクロス等がある。


16.11.4 形状及び仕上げ

(a) 「標仕」表16.11.2における「実厚表示」は特定防火設備(旧甲種防火戸)を想定しており、設計図書により防火シャッターを指定された場合、スラット等の鋼板の厚さは、平成12年建設省告示第1369号第1第四号により1.5mm以上としなければならない。

一般に製作所では、表示厚さ1.6mmで厚さの許容差の範囲を含めた実厚内で1.5 mm以上となる鋼板を使用している。

なお、防火性能を要しないステンレスのカバー等は、「標仕」表16.11.2の厚さを表示厚さとしてよい。


(b) 外部に取り付ける場合は、耐風圧性の強度計算によりスラットの厚さが1.6mmを超えるものを使用しなければならない場合もある。


16.11.5 工 法

(a) スラット相互のずれ止めは、スラット端部を折曲げ加工するか又は端金物を付ける。その例を図16.11.7に示す。

図16.11.7_スラット相互のずれ止めの例.jpeg
図16.11.7 スラット相互のずれ止めの例(JIS A 4705 : 2003)


(b) シャッターの室内側に近接して開き戸を設ける場合は、図16.11.8のような取合いに注意が必要である。

図16.11.8_シャッターと室内側の開き戸との関係(平面図).jpeg
図16.11.8_シャッターと室内側の開き戸との関係(断面図).jpeg
図16.11.8 シャッターと室内側の開き戸との関係


(c) JIS A 4705(重量シャッター構成部材)の抜粋を次に示す。

JIS A 4705 : 2003 

1.適用範囲

この規格は、建築物及び工作物に使用するスラットの板厚が1.2mm以上でスラットに貫通部のない、内のり幅8.0m以下、内のり高さ4.0m以下の重量シャッター構成部材(1)(以下、(構成部材という。)について規定する。ただし、横引き又は水平引きのものには適用しない。

注(1) まだ組み立てていない状態のもの。なお、組み立てた重量シャッターを以下、シャッターという。


3. 構成部材の名称

構成部材の名称は、次による(付図4参照)。

JIS_A_4705_付図4_構成部材の名称.jpg
付図4 構成部材の名称(一例)


4. 種 類

4.1 シャッターの種類

シャッターの種類は、表1による。

表1 シャッターの種類
JIS_A_4705_表1_シャッターの種類.jpg


4.2 構造による区分

構造による区分は、表2による。

表2 構造による区分
JIS_A_4705_表2_構造による区分.jpeg


5. 品質及び機能

5.1 外 観

外観は、次による。

a) シャッターの外観は、使用上有害な曲がり又はさびなどの欠点があってはならない。

b) 防火シャッター及び防煙シャッターは、防火上有害な穴及びすき間があってはならない。

c) 防火シャッター及び防煙シャッターで座板にアルミニウムを使用する場合には、鋼板で覆う。


5.2 スラット曲げ強さ

外壁開口部に設置する重量シャッターのスラットは、次の規定に適合しなければならない。

なお、外壁開口部に設置する重量シャッターの耐風圧強度は、受渡当事者間の協議による。

a) 11.3に規定する試験を行い、レールからの脱落があってはならない。また、残留わたみ量は、スラット長さの1/200以下で、かつ使用上有害な変形が残ってはならない。 (11.3省略)

b) 載荷荷重は500N/m 2 以上とする。


5.3 巻取りシャフト

巻取りシャフトは、シャッターカーテンの荷重に耐える強度をもち、スラットを円滑に巻き取るものでなければならない。


5.4 軸受部

軸受部は、巻取りシャフト、シャッターカーテンの荷重に十分耐え、かつ、円滑な回転を保持するものでなければならない。


5.5 手動閉鎖装置

防火シャッター及び防煙シャッターに使用する手動閉鎖装置は、11.4h)によって試験を行い、シャッターが任意の位置で停止し、更に、確実に全閉できなければならない。(11.4h)省略)


5.6 連動閉鎖機構

防火シャッター及び防煙シャッターに使用する連動閉鎖機構は、11.4のi)、 j)によって試験を行い、シャッターが確実に全閉しなければならない。その自重降下における平均速度は、表3による。(11.4i及びj)省略)

表3 平均速度
JIS_A_4705_表3_平均速度.jpg


5.7 温度ヒューズ装置

防火シャッターに使用する温度ヒューズ装置は、表4による。

表4 温度ヒューズ
JIS_A_4705_表4_温度ヒューズ.jpg


5.8 障害物感知装置の種類

障害物感知装置の種類は、表5による。

表5 障害物感知装置の種類
JIS_A_4705_表5_障害物感知装置の種類.jpg


5.9 シャッターの性能

5.9.1 遮炎性能

防火シャッター及び防煙シャッターは、1時間又は20分の遮炎性能をもつものとする。

5.9.2 遮煙性能

防煙シャッターは、11.1によって試験を行い、圧力差19.6Paのときの通気量が0.2m 3 /min・m 2 以下でなければならない。(11.1省略)

5.9.3 電動式シャッターの開閉機能

電動式シャッターの開閉機能は、11.4a)によって試験を行い、次の規定に適合しなければならない。(11.4a)省略)

a) シャッターの開閉は、円滑に作動する。

b) シャッターの開閉時の平均速度は、表3による。

c) シャッターの開閉の際、上限及び下限において自動的に停止する。

d) シャッターは、降下中に任意の位置で確実に停止できる。

e) 障害物感知装置付きのシャッターは、押しボタンスイッチなどの信号による降下中には、障害物感知装置が作動した際に、自動的に停止するか、又はいったん停止した後に反転上昇して停止する。

f) 障害物感知装置が障害物を感知するために要する力は、11.4e)によって試験を行い200N以下である。(11.4e)省略)

g) 障害物感知装置付きシャッターは11.4f)によって試験を行い、荷重計に伝わる荷重が 1.4kN以下である。ただし、衝撃荷重は除く。(11. 4f)省略)

h) 障害物感知装置(一般型)が作動した状態のままで停止した場合には、押しボタンスイッチなどによる再降下の信号を受けてもシャッターは降下してはならない。

i) 障害物感知装置(一般型)が作動したままの状態で停止した場合には、押しボタンスイッチなどによる開信号を受けたとき、シャッターは開動作する。

j) 障害物感知装置(一般型)が作動し、シャッターがいったん停止した後に反転上昇して停止した場合には、押しボタンスイッチなどによる再降下の信号を受けて閉動作したとき、障害物感知装置(一般型)は作動する。

k) 煙又は熱感知器連動機構による降下中には、障害物感知装置(一般型)が作動しても、シャッターは停止しない。

l) 煙又は熱感知器連動機構による降下中には、障害物感知装置(自動閉鎖型)が作動した際に、シャッターは自動的に停止する。

m) 煙又は熱感知器連動機構による降下中に障害物感知装置(自動閉鎖型)が作動し、自動的に停止した後、障害物除去後再降下する。


5.9.4 手動式シャッターの開閉機能

手動式シャッターの開閉機能は、11.4g)によって試験を行い、次の規定に適合しなければならない。(11.4g)省略)

a) シャッターの開閉は、円滑に作動する。

b) 開閉機のハンドル回転に要する力は80N以下、鎖などによる引き下げに要する力は 150N以下である。

c) シャッター自重降下時の平均速度は、表3による。

d) シャッターは、降下中に任意の位置で確実に停止できる。

e) 煙又は熱感知器連動機構による降下中には、障害物感知装置(自動閉鎖型)が作動した際に、シャッターは自動的に停止する。

f) 煙又は熱感知器連動機構による降下中に障害物感知装置(自動閉鎖型)が作動し、自動的に停止した後、障害物除去後再降下する。


6. 構 造

6.1 スラット
スラットのつづり方はインターロッキング形又はオーバーラッピング形とする(付図5参照)。(図16.11.4及び5参照)

スラット相互のずれ止めは、スラット端部を折り曲げ加工するか、又は端金物を付ける(付図6参照)。(図16.11.7参照)


6.2 軸受部

軸受部のアンカーボルトの断面積は、表6による。

表6 断面積
JIS_A_4705_表6_断面積.jpg


6.3 ガイドレール及びまぐさ

ガイドレール及びまぐさは、次による。

a) ガイドレールとスラットのかみ合わせ長さは、表7による。

表7 かみ合わせ長さ
JIS_A_4705_表7_かみ合わせ長さ.jpg


b) 防煙シャッターのまぐさの遮煙機構は、シャッターが閉鎖したとき、漏煙を抑制する構造で、その材料は不燃材料、準不燃材料、又は難燃材料とする。


c) ガイドレール及びまぐさのアンカーボルト、又は棒銅の収付けは現場施工とし、その固定ピッチは600mm以下とする。


d) ガイドレールのアンカーボルト又は棒鋼の断面積は、0.63cm 2 以上とする。ただし、一般重量シャッター又は構造区分におけるB種では、0.5cm 2 以上とする。


6.4 ケース
防火シャッター及ぴ防煙シャッターに使用するケースは、スラットの巻き込み口及び建物の耐火構造のはり、壁、又は床などに防火上有効に覆われる部分を除いてその全周を鋼板で囲むものとする。

JIS A 4705 : 2003





16章 建具工事 12節 軽量シャッター

16章 建具工事


12節 軽量シャッター

16.12.1 適用範囲

(a) この節では主として建築物の屋内・外に使用するスラットの板厚が1.0mm以下で、スプリング式及び電動式の鋼製の軽量シャッターを対象としている。

(b) 軽量シャッターは、一般にスラットの厚さが 0.5、0.6、0.8、1.0mmのものがある。「標仕」表16.12.2では、0.5mmとしているが、強度上必要な場合には板厚を増すこと、防火設備の場合には実厚で 0.8mm以上とすることとされている。

(c) (b)以外については、11節を参照する。


16.12.2 形式及び機構

(a) 手動式の場合、スプリングによるバランス式であるため、電動式よりも開口寸法が制約されるので注意が必要である。

(b) シャッター類は、平成12年建設省告示第1458号において適用除外となっている部位に設置される場合が多いが、この場合の風圧力については、16.11.2(c)を参照されたい。

(c) 手動式で開口幅が大きく、中柱を設けなければならない場合、中柱の風圧力に対する安全性に注意する。

(d) 電動式の場合の保護スイッチ及び障害物感知装置については、16.11.2(f)及び(h)を参照する。

(e) 軽量シャッターについては、「標仕」で要求する品質を満たすものとして、 (-社)公共建築協会の「建築材医療・設備機材等品質性能評価事業」(1.4.4 (e)参照)で評価した製品があるので参考にするとよい。



16.12.3 材 料

軽量シャッターに使用するスラットの材質は、JIS G 3312(塗装溶融亜鉛めっき鋼板及び鋼帯)又はJIS G 3322(塗装溶融55%アルミニウムー亜鉛合金めっき鋼板及び鋼帯)により、めっきの付着量は特記によるとされている。ただし、めっきの付着量は、特記がない場合、JIS G 3312はZ06又はF06、JIS G 3322はAZ90を満足するものとされている。

一般的には、スラットの材質はJIS G 3312が使用されている。


16.12.4 形状及び仕上げ

軽量シャッターを防火設備(旧乙種防火戸)とする場合は、平成12年建設省告示第1360号第1第二号イに実厚0.8mm以上と規定されている。


16.12.5 工 法

(a) 電動シャッターを他に出入口のない建物(車庫等)に取り付ける場合、シャッター本体を建物屋内に納めるとシャッターが全閉したまま故障した際、屋外から手動で開放できなくなるので、本体を屋外側に納めるか又はくぐり戸を設けるなどの注意が必要である。

(b) JIS A 4704 (軽量シャッター構成部材)の抜粋を次に示す。

JIS A 4704 : 2003 

1. 適用範囲
この規格は、建築物及び工作物に使用するスラットの板厚 が1.0mm以下で、スプリング式及び電動式の鋼製の軽量シャッター構成部材(1)(以下、構成部材という。)について規定する。

注(1) まだ組み立てていない状態のもの。
なお、組み立てた軽量シャッターを、以下、シャッターという。


4. 種 類
シャッターの種類は.表1による。

表1 シャッターの種類
JISA4704_表1_シャッターの種類.jpg

5. 品質及び機能

5.1 外 観
シャッターの外観は、使用上有害なねじれ、曲がり、さびなどの欠点があってはならない。

5.2 曲げ強さ
スラット、中柱及ぴ上げ落としの曲げ強さは、次による。

なお、外壁開口部に設置するシャッターの耐風圧強度は、受渡当事者間の協議による。

a) スラットは、11.1に規定する方法で曲げ試験を行い、レールからの脱落があってはならない。また、残留たわみ量は、スラット長さの1/200以下で、かつ、使用上有害な変形が残ってはならない。(11.1省略)

b) 中柱は、11.2に規定する方法で曲げ試験を行い、支持台からの脱洛があってはならない。また、残留たわみ量は、中柱長さの1/200以下で、かつ、使用上有忠な変形があってはならない。(11.2省略)

c)上げ落としは、11.3に規定する方法で曲げ試験を行い、使用上有忠な変形が残ってはならない。(11.3省略)

d) 載荷荷重は、500N/m 2 以上とする。


5.3 開閉機能

5.3.1 スプリング式
スプリング式は、11.4.1に規定する方法によって開閉試験を行い、表2の規定に適合しなければならない。(11.4.1省略)


表2 開閉力
JISA4704_表2_開閉力.jpg


5.3.2 電動式
電動式は、11.4.2に規定する方法によって開閉試験を行い、次の規定に適合しなければならない。(11.4.2省略)

a) 定格電圧による開閉

1) 開閉は、円滑に作動する。

2) 開閉時の平均速度は、毎分 3〜7mとする。

3) 開閉中に、任意の位置で確実に停止できる。

4) 開閉の際、上限及び下限において、自動的に停止する。

5) 開閉中、押しボタンスイッチを逆方向に操作しても、逆方向に作動しない。

6) 温度過昇防止器の作動によって、自動的に電源が遮断する。

7) 障害物感知装置(一般型)付きのシャッターは、押しボタンスイッチなどの信号による降下中、障害物感知装置が(一般型)作動した際に自動的に停止するか、又は停止後反転上昇して停止する。

8) 障害物感知装置(一般型)が障害物を感知するために要する力は、11.4.2 a)10) に規定する方法で試験を行い、200N以下とする。(11.4.2 a) 10)省略)

9) 障害物感知装置(一般型)付きのシャッターは、11.4.2 a) 11)に規定する方法で試験を行い、荷重計に伝わる荷重が1.4kN以下である。ただし、衝撃荷重は除く。 (11.4.2 a) 11)省略)

10) 障害物感知装置(一般型)が作動したままの状態でシャッターが停止している場合には、押しボタンスイッチなどによる再降下の信号を受けても、シャッターは降下しない。

11) 障害物感知装置(一般型)が作動したままの状態でシャッターが停止している場合には、押しボタンスイッチなどによる上昇の信号を受けたときシャッターは上昇する。

12) 障害物感知装置(一般型)が作動し、シャッターが反転上昇して障害物感知装置(一般型)の作動が解除した状態で停止した場合には、押しボタンスイッチなどによる再降下の信号を受けてシャッターが降下したとき、再度障害物感知装置(一般型)が作動する。


b) 電圧変動による開閉
1) 支障なく、円滑に作動する。

2) シャッターの位置に関係なく始動する。


c) 電源遮断時の開閉
手動によって、開閉できる。


6. 構 造

6.1 スラットのつづり方
インターロッキング形又はオーバーラッピング形とする(付図4参照)。スラット相互のずれ止めは、スラット端部を折り曲げ加工するか又は端金物を付ける(付図5参照)。(付図4及び5省略)


6.2 ガイドレール
ガイドレールは次による。

a) スラットとガイドレール(中柱)とのかみ合わせはスラットをどちらかに寄せたときにも、他端の有効かみ合わせの長さが20mm以上(端金物がある場合には、端金物の寸法を含む。)になるようにする。

b) 中柱を取り付けたとき、中柱が回転又はねじれを生じない構造とする。

c) 上げ落としは、中柱に堅ろうに収り付ける。


6.3 電装品
電動式のシャッターにおける電装品(電動開閉l機を除く。)は、関係法規に適合する。

参考 関係法規には、電気用品安全法に基づく、電気用品の技術上の基準を定める省令がある。


6.4 障害物感知装置(一般型)
電動式のシャッターに使用する障害物感知装置(一般型)の構造は.次による。

a) シャッターの電動降下中に障害物を感知し、シャッターを自動的に停止できるものとする。


7. 寸 法

7.1 シャッターの内のり幅及び内のり高さ
シャッターの内のり幅及び内のり高さは、付図6による。


JISA4704_付図6_シャッターの内法幅.jpg
          シャッターの内法幅

JISA4704_付図6_シャッターの内法高さ.jpg

付図6 シャッターの内のり幅、内法高さ



16章 建具工事 13節 オーバーヘッドドア

16章 建具工事


13節 オーバーヘッドドア

16.13.1 適用範囲

この節では、主として建築物の屋外に面して設置する標準的なオーバーヘッドドアを対象としている。

16.13.2 形式及び機構

(a) セクション材料の種類を表16.13.1に示す。「標仕」では特記がなければ、スチールタイプとしている。

なお、その他アルミニウムタイプとファイバーグラスタイプのセクション材を組み合わせたコンビネーションタイプもある。

表16.13.1_セクション材料による区分.jpeg
表16.13.1 セクション材料による区分(JIS A 4715 : 2008)


(b) オーバーヘッドドアは、平成12年建設省告示第1458号において適用除外となっている部位に設置される場合が多い。したがって、耐風圧性能は、一般にJIS A 4715(オーバーヘッドドア構成部材)による強さの区分により特記される。強さによる区分を超える風圧力の場合は16.1.7(a)(1)を参照されたい。

なお、平成12年建設省告示第1458号において適用除外となっている部位に対する風圧力について、(-社) 日本シャッター・ドア協会では、「シャッター・オーバーヘッドドア耐風圧強度計算基準」を使用している。

(c) 開閉方式による区分を表16.13.2に示す。「標仕」では、特記がなければ、バランス式としている。

なお、開口高さが 4mを超えると、バランス式では手動での操作が困難になるのでチェーン式が望ましい。

表16.13.2 開閉方式による区分(JIS A 4715 : 2008)
表16.13.2_開閉方式による区分.jpeg

(d) 収納形式による区分を表16.13.3及び図16.13.1に示す。「標仕」では適用を特記としている。

表16.13.3 収納方式による区分(JIS A 4715 : 2008)
表16.13.3_収納方式による区分.jpg


図16.13.1_収納方式による区分(スタンダード).jpeg図16.13.1_収納方式による区分(ローヘッド).jpeg図16.13.1_収納方式による区分(ハイリフト).jpeg図16.13.1_収納方式による区分(バーチカル).jpeg
図16.13.1 収納方式による区分(JIS A 4715 : 2008)

(e) 「標仕」では、電動式の場合では16.11.2(h)と同様に、見えない場所から操作するオーバーヘッドドアには、障害物感知装置を設けることとしている。

なお、電動式オーバーヘッドドアは、シャッターより降下速度が速いので、障害物に直接接触する前に停止する光電センサー等を用いた非接触形障害物感知装置とするのが望ましい。

(f) 一般的な各部の名称を図16.13.2に示す。

図16.13.2_各部の名称.jpeg
図16.13.2 各部の名称(JIS A 4715 : 2008)


(g) 開口の幅と高さ

セクション材料及び収納形式により開口の最大幅と最大高さは異なる。「標仕」で想定している数値を表16.13.4及び5に示す。表16.13.4に示すセクション材料別の最大開口幅での耐風圧性は、750Paである。したがって、要求される耐風圧性が大きくなれば、最大開口幅が表16.13.4より小さくなる。

表16.13.4 セクション材料による最大開口幅
表16.13.4_セクション材料による最大開口幅.jpeg

表16.13.5 収納形式による最大開口高さ
表16.13.5_収納形式による最大開口高さ.jpeg

(h) オーバーヘッドドアについては、「標仕」で要求する品質を満たすものとして、(-社)公共建築協会の「建築材料・設備機材等品質性能評価事業」(1.4.4 (e)参照)で評価した製品があるので参考にするとよい。


16.13.3 材 料

(a) セクション材料による区分は、特記がなければスチールタイプとされている。この場合の鋼板は、JIS A 4715に規定されているJIS G 3302 (溶融亜鉛めっき鋼板及び鋼帯)又はJIS G 3312(塗装溶融亜鉛めっき鋼板及び鋼帯)とされており、めっき付着量は、一般的にZ06又はF06を満足するものが使用されている。

(b) セクションに使用するアルミ板は、JIS H 4001(アルミニウム及びアルミニウム合金の焼付け塗装板及び条)とされている。

(c) セクションに使用するアルミニウム形材は、JIS H 4100(アルミニウム及びアルミニウム合金の押出形材)とされている。

(d) セクションに使用するファイバーグラス板は、JIS A 5701(ガラス繊維強化ポリエステル波板)とされている。

ファイパーグラス(ガラス繊維強化プラスチック:FRP (Fiberglass Reinforced Plastics))は、強度のあるガラス繊維を強化材とし、不飽和ポリエステル樹脂を用いて成形加工した複合材料である。


(e) ガイドレールは、「標仕」では、特記がない場合、JIS G 3302による溶融亜鉛めっき鋼板で、めっきの付着量Z27を満足するものとされている。

なお、海岸部等の環境下で腐食のおそれがある場合は、ステンレスの使用を検討する。


(f) ワイヤロープは、JIS G 3525(ワイヤロープ)又はJIS G 3535(航空機用ワイヤロープ)とされている。


(g) アルミニウム形材の表面は、JIS H 8602(アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化塗装複合皮膜)に規定される複合皮膜の性能の種類B以上のものとされている。



16.13.4 形状及び仕上げ

ガイドレール及び支持金物は、溶接部分の補修を除いて塗装は行われていない。また、意匠を考慮した場合でも、ガイドレールの内側はローラーが走行するので、塗装は行われていない。

図16.13.3に一般的な断面を示す。

図16.13.3_ガイドレールの断面の例.jpeg
図16.13.3 ガイドレールの断面の例


16.13.5 工 法

(a) 加工、組立及び取付けは形状、寸法、取合い等を正確に行い、耐風圧性が低下しないように注意する。

(b) JIS A 4715(オーバーヘッドドア構成部材)の抜粋を次に示す。


JIS A 4715:2008

1.適用範囲

この規格は、建物及び工作物に使用するオーバーヘッドドア構成部材 (1) (以下、構成部材という。)について規定する。
(1) まだ組み立てていない状態のもの。
なお、組み立てたオーバーヘッドドアを、以下、ドアという。

備考 オーバーヘッドドアとは開口部に対して上下に組み立てられた複数のセクションを天井又は壁に沿ってほぽ水平又は垂直に送り込んで収納するドアをいう。


3. 構成部材の名称(図16.13.2参照)


4. 種 類

4.1 セクション材料による区分(表16.13.1参照)

4.2 強さによる区分 強さによる区分は、次による。

50 風圧力 500Paに耐えるもの。
75 風圧力 750Paに耐えるもの。
100 風圧力 1,000Paに耐えるもの。
125 風圧力 1,250Paに耐えるもの。


4.3 開閉方式による区分(表16.13.2参照)


4.4 収納形式による区分(表16.13.3及び図16.13.1参照)


5. 品質及び機能

5.1 外観
外観は、使用上有害なねじれ、曲がり、さびなどの欠点があってはならない。

5.2 構成部材の品質
5.2.1 セクション
セクションの強度は、9.2に規定する方法で試験を行い、残留たわみは、セクション長さの1/100以下でなければならない。(9.2省略)

5.2.2 ワイヤロープ
ワイヤロープの引張強度は、ワイヤロープ1本にかかるドア重量の1/2に対して、安全率を5以上とする。また、ワイヤロープには変形、ほつれがあってはならない。

5.2.3 シャフト
シャフトは次による。

a) シャフトは、円滑な回転を保持する伸直な形状のものとする。

b) シャフトは、ドア重量を支え、かつ、スプリングによるねじりモーメントに対し十分な強度をもつものとする。


5.2.4 スプリング

スプリングは. ドアの重量及び収納形式に対応した良好なバランスを与える適切なものとする。


5.3 開閉機能

5.3.1 バランス式・チェーン式
バランス式及びチェーン式の開閉機能は、9.3に規定する開閉操作力試験を行い、表1の規定に適合しなければならない。(9.3省略)


表1 開閉方式による操作力
JIS A 4715_表1_開閉方式による操作力.jpeg


5.3.2 電動式
電動式の開閉機能は、9.3に規定する方法によって開閉試験を行い、次の規定に適合しなければならない。(9.3省略)

a) 開閉は、円滑に作動するものとする。

b) 開閉時の平均速度は、毎分5~20mとする。

c) 開閉中に、任意の位置で停止できるものとする。

d) 開閉の際、上限及び下限において自動的に停止するものとする。

e) 開閉中、押しボタンスイッチを逆方向に操作しても、逆方向に作動しないものとする。

f) 閉動作中、障害物感知装置が作動した場合、ドアは自動的に停止し、又は停止後IJf.l動作に転じて自動停止すること。


g) 障害物感知装置が作動したままの状態で停止した場合、又は作動不良の状態になったとき、再度閉信号を受けてもドアは閉動作をしてはならない。ただし、停止後自動的に開動作に転じる機構のものを除く。

h) 障害物感知装置が作動したままの状態で停止し、開信号を受けた場合は、ドアは開動作をしなければならない。

i) 電源遮断時においては、手動による開閉が可能でなければならない。


6. 構 造

6.1 セクション
セクションは、ヒンジによって屈曲可能に結合でき、セクションの上下には相じゃくり部をもつ機構とする。

6.2 スプリング
ねじりコイルばねを使用する。

6.3 ワイヤドラム
ワイヤロープの径に応じた溝付ドラムとする。

6.4 ワイヤロープ
JIS G 3525又はJIS G 3535による。

6.5 ガイドレール
ガイドレールの断面はほぼ溝形で、その内側をローラの回転部が滑らかに移動し、かつ、容易に逸脱しない形状のものとする。

6.6 電動開閉機 電動機の容量及び電源は、表2による。

表2 電動機の容量及び電源
JIS A 4715_表2_電動機の容量及び電源.jpeg

6.7 電装品
電動式ドアにおける電装品は、次による。

a) 制御盤は、押しボタンスイッチ又はリミットスイッチからの信号によってドアの開・閉・停の動作を制御できるものとし、開閉動作中に逆動の押しボタンが押されても、逆動作しない回路とする。

b) 押しボタンスイッチは、押しボタン操作によって制御盤に信号を送り、開・閉・停の動作を操作できるものとする。

c) リミットスイッチは、ドアの開放又は閉鎖の動作を、その上限又は下限の位置で自動的に停止できるものとする。

d) 障害物感知装置は、光電センサなどの非接触形のものが望ましい。

e) 開口部の用途、環境などによって光電センサ以外の障害物感知装置を使用する場合の機能・構造・試験方法については、受渡当事者間の協議による。

f) 押し切り形 (2) の押しボタンを使用し、かつ、押しボタン操作をする人がドアの開閉状態の安全を確認できる場合は障害物感知装置の設置を省略してもよい。

(2) 押しボタンを押している間だけドアが作動し、ボタンから手を離すとドアが停止する機構のスイッチ。



16章 建具工事 14節 ガラス

16章 建具工事


14節 ガラス

16.14.1 適用範囲

この節では、主として建具に取り付けるガラス工事を対象としている。

板ガラスは、近年外装材としても活用され、その用途が広がっている。例えば、メタルカーテンウォールでは開口部以外にも使用され、アトリウムやトップライトを形成している。また、建具枠に納めるのではなく、壁面がガラスのみで形成される点支持工法(DPG工法とも呼ばれる。)等も出現している。

16.14.2 材 料

(a) 建築用板ガラスの種類と厚さ及び特性を、表16.14.1に示す。

なお、ガラスの厚さを「ミリ」と表示する場合は、製品記号であって、寸法単位の「mm」ではないことに注意する。

表16.14.1 板ガラスの種類と厚さ及び特性
表16.14.1_板ガラスの種類と厚さ及び特性.jpeg


(b) ガラス厚さの設定

外部に面する帳壁に使用するガラスの厚さは、平成12年建設省告示第1458号に定められている(16.1.7 (d)参照)。

また、平成12年建設省告示第1458号において適用除外となっている部位(高さ13m以下)に対する風圧力について、板硝子協会では、平成12年建設省告示第1458号に提示される計算式をそのまま適用することを提案している。

なお、「標仕」の適用範囲外ではあるが、2〜3辺支持状態のガラス及び点支持工法(DPG工法とも呼ばれる。)等の場合での、ガラス厚さの算定もガラスメーカーの提案式が、カタログや技術資料に掲載されているので、該当する場合には参考にするとよい。

(c) 板ガラスの概要

(1) フロート板ガラス(JIS R 3202)

溶解したガラス(約1,600℃)を溶融した金属(錫)の上に浮かべて製板するフロートシステムにより生産される透明、かつ、極めて平滑なガラス。

現在、流通する板ガラスの主流である。厚さは、2ミリから25ミリまで14種類ある。すり板ガラスは JIS R 3202の附属書 Aに規定されている。

(2) 型板ガラス(JIS R 3203)

2本の水冷ローラーの間に、直接溶解したガラスを通して製板するロールアウト法により生産されるガラス。下部のローラーで型付けされる。

型は、旧来のものが数種類に整理されており、選択には注意が必要である。


(3) 網人板ガラス(JIS R 3204)

(2)のロールアウト法の2本のローラーの間に、同時に網(線)を挿入して生産されるガラス(火造りともいう。)。網入板ガラスは、防火設備(旧乙種防火戸)用として認定されているが、線入板ガラスは防火設備(旧乙種防火戸)用として使用できない。


(4) 熱線吸収板ガラス(JIS R 3208)

フロートシステムにより生産される板ガラスで、ガラス原材料に日射吸収特性に優れた金属を加え、着色し生並されるガラス。

ガラスの色は、国内生産品はグリーンのみである。

熱線吸収効果で、日射を 30〜40%程度吸収し、冷房負荷の軽減効果がある。


(5) 熱線反射ガラス(JIS R 3221)

ガラスの片面に金属の反射薄膜を付け、生産されるガラス。ミラー効果、可視光線を遮り、窓際のまぶしさや局部的な昇温の防止、冷房負荷の軽減効果等がある。

現在、次の2種類の製法がある。

?@ オンライン熱反

フロートシステムにより生涯されるガラスに、その徐冷の前工程で、金属をスプレーする製法。反射色調は、シルバー系がある。反射膜は、室外側でも室内部でも使用できるとされているが、反射膜の耐久性上、室内側が望ましい。


?A スパッタ熱反〈高遮へい性熱線反射ガラス〉

フロート板ガラスを製品化したのち、所定の寸法に切断し、真空容器内に入れ、電圧をかけて金属薄膜を付ける製法。

オンライン熱反に比べて反射膜の反射率が高く、熱線吸収率も高い。一般には、高性能熱線反射ガラスと呼ばれている。

反射色調は、使用する金属により多彩で、10数種のものが市販されている。反射膜は,室内部に限定される。


(6) 合わせガラス(JIS R 3205)

2枚以上のガラスの間に接着力の強い特殊樹脂フィルム(中間膜)を挟み、高温高圧で接着し、生産されるガラス。同類には、合成樹脂を注入し、接着するものもある。

破損しても中間膜によって破片の大部分が飛散しない性質がある。

用途は、住宅や学校用の安全ガラスのほか、高層階のバルコニーの手すりや中間膜を種々変えた装飾用等がある。使用する板ガラスは、原則としてJISに規定されるものの組合せであり、製品の種類は多岐にわたる。また、耐貫通性に優れた厚い中間膜を使用した合わせガラスは防犯合わせガラスとして製品化されているが、地震時や台風時の飛来物に対しても防災上の効果がある。


(7) 強化ガラス(JIS R 3206)

ガラスを強化炉で 650〜700℃程度まで加熱したのち、両表面に空気を吹き付け急冷してガラス表面付近に強い圧縮応力層を形成し、耐風圧強度を約 3倍に高めたガラス。破損時の破片は、細粒状になるので鋭利な破片は生じにくい性質がある。強化型板ガラスは、型の凹凸度合いが少ないものに限られる。

熱処理後のガラスは、切断加工はできない。

用途は、枠のない強化ガラスドアや手すり等のほか、住宅や学校用の安全ガラス、点支持工法(DPG工法とも呼ばれる。)等がある。

強化ガラス内部では、表面の圧縮力と内部側の引張力がバランスを保っており、製造過程で混入した微細な異物に起因する傷や表面の傷が成長して、圧縮応力層内(ガラス厚の1/6)を超えて内部の引張応力層に達すると、応カバランスが崩れ外力が加わっていない状態でも不意に破損することがある。これを自然破綻と呼んでいる。

強化ガラスが破損するときには、一瞬にしてガラスの全面が細かい粒状の破片になるが、粒が離れずに塊となって脱落することがある。このように強化ガラスが破損し脱落して人にけがを負わせるおそれがある場合や、破損時に人が転落する危険性がある場合には、強化合わせガラス仕様にするとよい。

使用に際しては、板硝子協会「強化ガラス・倍強度ガラス使用手引書」等を参考にするとよい。

自然破損を防ぐための手段としこ、製造時にヒートソーク処理を実施することが有効であるが、破損をゼロにする技術は現在のところない。ヒートソーク処理とは、強化加工後に再加熱処理を実施し、強化ガラスに微細な不純物が含まれていた場合、強制的に破損させる方法てある。


(8) 倍強度ガラス(JIS R 3222)

強化ガラスと同様な加熱処理を行い、耐風圧強度を約 2倍に高めたガラス(HSガラスとも呼ばれる。)である。熱処理後のガラスは、切断加工はできない。

破損時の破片は、フロート板ガラスの割れ方に近い形態である。用途は、一般窓ガラス用であるが、フロート板ガラスでは厚さが不足するような風圧力が大きく、かつ、開口面積が大きい部位に使用する。

倍強度ガラスは熱処理をしてしいるため、理論上製造過程で混入した微細な異物に起因する自然破損は起こり得る。通常、倍強度ガラスにはヒートユニクー処理は行わない。

使用に際しては、「強化ガラス・倍強度ガラス使用手引書」等を参考にするとよい。


(9) 複層ガラス(JIS R 3209)

一般に2枚のガラスをスペーサーで一定の間隔(一般に6又は12mm)に保ち、その周囲を封着材(一般にブチルゴム等)で密閉し、内部に乾燥空気(内部の圧力は外気圧に近い。)を満たしたガラスである。

なお、現在では、中空層側のガラス面に特殊金属をコーティングして断熱性及び日射遮蔽性を高めた製品であるLow-E複層ガラス(日射取得型:適度に日射熱を採り入れる寒冷地に適したタイプ、日射遮蔽型:室内への日射熱の侵入を低減する温暖地に適したタイプ)が多く使用されるようになった。また、それに併せて内部を真空にした真空ガラスや内部にガスを封入した製品もある。

使用するガラスは、原則としてJISに規定されるものの組合せであり、製品の種類は多岐にわたる。また、断熱効果が高く、冷暖房負荷の軽減効果と結露防止効果がある。


(10) 耐熱板ガラス

網入板ガラス以外で防火性能を有するガラスであり、低膨張防火ガラス、耐熱強化ガラス、耐熱結品化ガラスがある。

当項については、「標仕」には記載されていないが近年使用例が増えている。防火設備において、主構成材料として位置付けられており、また、品種によっては特定防火設備の認定実績を有するものもある。

詳細については、製造所に確認するとよい。

品質については、(-社)カーテンウォール・防火開口部協会、板硝子協会及びガラスブロック工業会が定めた「耐熱板ガラス品質規格」がある。

耐熱板ガラスで耐熱強化ガラスは、熱処理をしているため、製造過程で混入した微細な異物に起因する自然破損は強化ガラス同様に起こり得る。製造時のヒートソーク処理、破損脱落時の安全性、はめ替え等のメンテナンス等を十分に考慮することが望ましい。


(d) ガラス留め材

建具枠に板ガラスを固定させ、かつ、板ガラスの耐風圧性、建具としての気密性、水密性及び耐震性等が確保できるものをいう。

材料(工法、コストとも連動する。)は、次のものがあるが、各種性能はそれぞれ特長があるので、指定は特記による。

ただし、防火設備に使用する板ガラスの留め材は、建築基準法に基づく防火性能の認定を受けた材料に限定され、また、昭和46年建設省告示第109号では、「帳壁として窓にガラス入りのはめごろし戸(網入ガラス入りのものを除く。)を設ける場合にあっては、硬化性のシーリング材を使用しないこと。(ただし書きあり。)」としている。

(i) シーリング材

JIS A 5758(建築用シーリング材)に規定されるタイプGが用いられるが、その適用等は9章7節を参照する。また、各種性能を確保するためには、シーリング材の充填幅(目地幅)に一定の制限がある。


(ii) グレイジングガスケット

JIS A 5756(建築用ガスケット)付属書JA(参考)[ 建築用ガスケットの種類 ]JA.2に規定されるグレイジングガスケット(Gl)には、図16.14.1に示すグレイジングチャンネル、グレイジングビートの2種類がある。

ガスケットの材質は、JIS A 5756 4.4[主成分による区分]表4に規定される5種類がある(表16.14.2参照)。

(iii) 構造ガスケットは「標仕」17章を参照する。

表16.14.2 ガスケットの主成分による区分(JIS A 5756 : 2013)
表16.14.2_ガスケットの主成分による区分.jpeg


図16.14.1_グレイジングガスケットの例(イ).jpeg図16.14.1_グレイジングガスケットの例(ロ).jpeg

図16.14.1_グレイジングガスケットの例(ハ).jpeg図16.14.1_グレイジングガスケットの例(ニ).jpeg
図16.14.1 グレイジングガスケットの例(JIS A 5756 : 2013)

(e) セッティングブロック

建具下辺のガラス溝内に置き、ガラスの自重を支え、建具とガラスの接触を妨げる小片であり、一般にガラスの横幅寸法のおおよそ1/4の所に2箇所設置する。

なお、開き窓、軸が偏心したたて軸回転窓及びたてすべり出し窓では、戸先にガラス重量をかけない工夫として、軸近傍の下かまちと戸先の縦かまちとにセッティングブロックを設置することもある。

材料は、クロロプレンゴム系、EPDM(エチレンプロピレンゴム)系、塩化ビニル系があり、ポリプロピレン製があり、一般に、厚さ6ミリ以上の比較的大きいガラスには、クロロプレンゴム系が、それより軽いガラスには、塩化ビニル系を使用することが多い。ポリプロピレン製は樹脂製建具のセッティングブロックとして使用される。

なお、ガラス留め材をシリコーン系シーリング材とし、セッテングブロックにクロロプレンゴム系又はEPDM(エチレンプロビレンゴム)系を使用する場合は、セッテングブロック材料の可塑剤により、シーリング材が変色する原因となるため、耐シリコーンタイプの材料が特記されるか、又はシーリング材とセッティングブロックとを接触させない工夫がされていることを確認することが必要である。

セッティングブロックの形状寸法は、通常、次式により定める。

さらに、合わせガラスの中間膜や複層ガラスの封着材等に悪影響を与えないようにするため、セッティングブロックの材質と他の有機材との適合性を確認することも必要である。


L = W / ( n × t × f) ただし、t < a、b / a ≦ 1、L ≧ b

L:セッティングブロック1個の長さ(cm)
W:ガラスのの質量 ( N )
n:セッティングブロックの個数(一般に2箇所)
t:ガラスの厚さ(cm)
f:セッティングブロックの許容荷重( N/cm 2
 クロロプレン系、EPDM系、ポリプロピレン製で 50、
 塩化ビニル系で 30
a:セッティングブロックの幅(cm)
b:セッティングブロックの厚さ(cm)

セッティングブロック.jpeg

計算例
5ミリガラスで1.5m 2 の窓ガラスに塩化ビニル系を使用する場合

t = 0.5 
よって、W= 0.5 × 1.5 × 10 4 × 2.5 × 10 -3 × 9.8 ≒ 190 (N)

n = 2、f =30(塩化ビニル系)
よってL= 190 / ( 2 x 0.5x 30 ) ≒ 7(cm)

aは、t + ( 0.6〜1.0) ≒ 1.2 (cm)、
b ≦ aより
bは、0.6〜0.8 (cm)

よって、L × a × bは、
7 × 1.2 × 0.8 (cm)となる。



16.14.3 ガラス溝の寸法,形状等

(a) ガラス溝の寸法、形状とは、図16.14.2に示す面クリアランス(a)、エッジクリアランス (b) と掛り代 (c) の寸法、形状を指し、「標仕」表16.14.1に必要な値が定められている。

一般に枠見込み 70及び100mmのアルミニウム製建具では、「標仕」表16.14.1の値を標準としている。これらの値は、「標仕」16.2.2(b)の外部に面するアルミニウム製建具の種別A、B及びC種に合致し、また、耐震性は、16.1.7(a)(6)よりRC造又はSRC造を想定したもの(層間変形角が1/300程度)である。したがって、層間変位が大きい楊合は、「標仕」表16.14.1は、そのまま適用することができない場合がある。また、ガラスに種々の機能が追加されている場合は別途検討が必要である。

これらの寸法の意味は、次のとおりであるが、要求性能によって必要寸法が変わり、サッシ枠の見込み寸法に影響するため、指定は特記による。

なお、引違い戸、片引戸や上げ下げ戸等の障子では、枠見込み70mmのサッシにおいて、面クリアランスを5mm以上確保することが難しいので、「標仕」表16.14.1の(注)にあるように排水機構を設けて面クリアランスを3.5mm程度とする場合もある。

図16.14.2_ガラス溝の寸法.jpeg
図16.14.2 ガラス溝の寸法

(1) 面クリアランス(a)

建具の気密性、水密性を確保するため、ガラス留め材の機能が十分に発揮できる寸法である。したがって、ガラス留め材の種類によって、当然変わる値である。例えば、ガラス留め材がシーリング材の場合は、シーリング材の確実な充填ができる値が、最小値となる。また、グレイジングガスケットの場合は、ガスケットの形状に合った値が必要になる。


(2) エッジクリアランス (b)

建具の耐震性(層間変位追従性)を確保し、かつ、ガラスのはめ込みが無理なく行える寸法である。また、建具の下辺では、セッティングブロックの厚さを確保する寸法も必要となる。

耐震性により定まる値は、建具が受ける変形量により決まり、その変形量は建具の開閉形態によって異なる(16.1.7(a)(6)参照)。

ガラスのはめ込みにより定まる値は、建具のガラスはめ込み形式によって異なる。

エッジクリアランスの値は、四方押縁形式では、耐震性により定まる値で決まる。また、やり返しでガラスをはめ込む形式では、ガラスのはめ込みにより定まる値(やり返しができる寸法)で決まる。


(3) 掛り代(c)

建具の気密性、水密性を確保するため、ガラス留め材の機能が十分に発揮できかつ、ガラスの耐風圧性を確保する寸法である。また、ガラスの小口が屈折により室内から光って見えないことを条件とすることも検討しなければならない。

建具の気密性、水密性は、面クリアランスと同様ガラス留め材の種類によって、変わる値である。シーリング材の楊合には、バックアップ材の寸法、形状も影響する。

ガラスの耐風圧性は、強風時にガラスがたわんで、枠から外れないために必要となる寸法で、当然風圧力の大きさとガラス厚さによって変わる値である。

ガラスの小口が見えるかどうかは、掛り代にガラス留め材のガラス溝よりの突出寸法を加えた値によるため、当然ガラス留め材の種類によって変わり、一般にグレイジングガスケットの場合が、シーリング材の場合より突出寸法が大きい。


(b) 水抜き孔
外部に面する建具とは、雨掛りの部位を想定している。

複層ガラス、合わせガラス及び網(線)入板ガラスの小口部分は、次の理由により、長期に水と接触することを避けなければならない。

(i) 複層ガラスでは、2枚のガラスの間に使用されている封着材の接着性能が水分の影響を受け、低下するおそれがある。

(ii) 合わせガラスでは、2枚のガラスの間に使用されている特殊樹脂フィルムが水分の影響を受け、白濁したり、はく離したりするおそれがある。

(iii) 網(線)入板ガラスでは、ガラスの小口に突出する線材が水分の影響で発錆するおそれがある。

したがって、この条件に適合する建具では、万ーガラス回りのガラス留め材に不具合が生じ、建具のガラス溝内に雨水が浸入した場合、速やかに雨水を排出するため、建具の下枠に水抜き孔を設けることとしている。

水抜き孔の直径を6mm以上とするのは、雨水が流れ出る最小値である。また、水抜き孔から雨水が浸入しないようにすることが重要である。

水抜き孔を2箇所とするのは、建具の下枠が完全な水平とは限らないことを想定したものであり、また、セッティングブロックや枠内の突起物が雨水の排出をせき止めることが想定される場合は、セッティングブロック又は突起物の中間に 1箇所追加する。


16.14.4 工 法

(a) 板ガラスの切断、小口処理

(1) 板ガラスの切断は、ガラス切りと呼ばれる工具によってガラス表面に傷をつけ、その傷に沿って折り割る作業である。クリアカット〈クリーンカット〉とは、折り割った状態のきれいな切断面(小口)をいい、JISに記述される許容限度を超える切口欠点がない状態を指す。しかし、10mmを超える厚板ガラスで、幅の広さが異なる状態で折り割ると.切断面が斜めになることがある。

大きな傾斜は、エッジクリアランスの確保に支際があり、また、切断面の大きな欠け等も熱割れ等の要因となるので、修正しなければならない。修正は、粗ずり( F120〜200程度の湿式研磨)で行うのが一般的である。


(2) 板ガラスの端部が建具枠にのみ込まない納まりは、一般的ではないが、例えば、建物の出隈部で隅部に縦枠を設けず、ガラスを直交させ、ガラス間をシーリング材で連続させる場合や1階エントランスに設けるガラススクリーン工法〈ガラス方立工法、リブガラス工法〉の場合が該当する。

いずれの場合も、ガラス切断面が、シーリング材の接着面であったり、人の手に触れる部分となる。したがって、施工性や安全性から、小口加工が必要になる。仕上げの程度は、特記が必要である。シーリング材の接着面となる部分の仕上げの程度は、粗ずり( F120 〜 200程度の湿式研磨)又はつや消し(同#300程度)が、また、人の手に触れる部分の仕上げ程度は、磨き( 同#500程度)が一般的である。

なお、後者の場合で、小口の形状を平面とするかかまぽこ状(丸み角)とする かは設計担当者と打ち合わせて決める。

なお、これらの例は、本来「標仕」の適用範囲外であり、いずれか一方のガラスは、片側縦辺のエッジクリアランスがない状態となる。また、面外力に対するガラスの支持状態も四辺単純支持ではない。更に、ガラス突付け部の気密性、水密性もシーリング材のみに期待する納まりである。したがって、十分な検討や実験を伴わないと、建具に要求される各種性能が確認できないので注意する。

(3) 網(線)入板ガラスでは、その小口が長期に水と接触すると発錆するおそれがある。16.14.3(b)のように水抜き孔を設けても、長期を想定すると湿気による発錆も考えられる。したがって、使用する場所に応じて防錆用テープ又はガラス用防錆塗料を施すなどの適切な防錆処理をする。

(b) ガラスのはめ込み

(1) シーリング材を使用する場合(16.14.3及び「標仕」9章7節参照)

シーリング材の硬化には、ガス(2成分シリコーン系では、R2NOH)の発生を伴い、また、高温高湿下では硬化不良を引き起こすおそれがある。したがって、シーリング材充填部が密閉となるような養生を行ってはならない。

?@ ガラスの両側とも、シーリング材を使用する場合

セッティングブロックをガラス溝内の所定の位置に配置したのち、面クリアランス、エッジクリアランス及び掛り代が適切になるように、面内・面外・両方向ともガラスを建具の中央に置く。次いで、シーリング材の充填深さが適切になるようにバックアップ材を挿入したのち、シーリング材を充填する。

?A ガラスの内外溝のうち、一方のみをシーリング材を使用し、他方の溝はグレージングビードとする場合 .
先付けグレイジングビードとセッティングブロックをガラス溝内の所定の位置に配置したのち、エッジクリアランス及び掛り代が適切になるようにガラスを建具の中央に置く。次いで、反対側溝部について、シーリング材の充填深さが適切になるようにバックアップ材を挿入したのち、シーリング材を充填する。


(2) グレイジングガスケットを使用する場合

(i) グレイジングチャンネルの場合

かまちが分割できる可動部分(障子)に限られる。

グレイジングチャンネルをガラスに巻き付ける際、継目が上辺中央で、隙間が生じないようにする。

グレイジングチャンネルを巻き付けたガラスを分割したかまちにはめ込み、最後にかまちを組み直して完了となる。セッティングブロックは使用しない。


(ii) グレイジングビードの場合

セッティングブロックをガラス溝内の所定の位置に配置したのち、面クリアランス、エッジクリアランス及び掛り代が適切になるように、面内・面外両方向ともガラスを建具の中央に置く。次いで、グレイジングビードを両面から、ガラスと枠との間に押し込み完了となる。継目は上辺中央で隙間が生じないようにする。


(iii) グレイジングビード(先・後付け)の場合

先付けグレイジングビードとセッティングブロックをガラス溝内の所定の位置に配置したのち、エッジクリアランス及び掛り代が適切になるようにガラスを建具の中央に置く。次いで、あと付けグレイジングビードをガラスと枠との間に押し込み完了となる。継目は上辺中央で隙間が生じないようにする。

(c) 養生及び清掃

(1) ガラスのはめ込み後は、ガラスに気付かずに人が衝突したり、物を当てることのないように「ガラスに注意」等のラベルを張る。また、傷防止等必要に応じてガラス全体を養生する。

なお、日射熱吸収の大きいガラスでは、養生材の張付けによって、ガラスが熱割れしないことを確認することが必要である。

(2) ガラスの清掃は、建物完成期日直前に行う。清掃は、一般に水で表面をふき取るが、工事中にガラス面に固着した異物を除去するために薬品類を使用する場合は、周囲部材に影響のないことを確認する。熱線反射ガラスの清掃は、反射膜面を低つけないように注意し、中性洗剤以外の薬品等は使用しない。

また、清掃に当たっては、カッター、金属へら(スクレーパー)等の金属類を用いない。


16.14.5 ガラスブロック積み

(a) 壁部分に、壁用金属枠を用いて現場にて1個ずつ積む工法を対象とし、工場生産されるガラスブロックパネルは対象としていない。

(b) 材 料
(1) ガラスブロック
JIS A 5212(ガラスブロック(中空))には、表16.14.3に示す製品がある。

なお、ガラスブロック(中空)の海外製品は、JISと寸法許容差等が異なるため、(-社)公共建築協会では「建築材料・設備機材等品質性能評価事業」において、品質性能基準を定め評価しているので参考にするとよい。

表16.14.3 ガラスブロックの寸法等
表16.14.3_ガラスブロックの寸法等.jpeg

(2) 壁用金属枠

壁用金属枠はSUS304又はアルミニウム合金等腐食しにくい材質とし、下枠の外部側に水抜き孔(径6mm以上、間隔 1.0〜1.5m)を設けたものとする。図16.14.3にアルミニウム合金製の形状例を示す。

図16.14.3_アルミニウム合金製壁用金属枠の例.jpeg
図16.14.3 アルミニウム合金製壁用金属枠の例

(3) 力 骨

一般には、図16.14.4に示すはしご状複筋又は単筋を使用する。50mm幅のタイプは縦筋として、35mm幅のタイプは横筋として使用する。材質はSUS304で径 5.5mmである。

なお、伸縮目地の横筋等には、同質、同径の丸鋼も使用する。

図16.14.4_力骨の例.jpeg
図16.14.4 力骨の例

(4) 緩衝材
開口部周囲(下枠を除く。)と中間縦目地(伸縮目地)に使用する弾力性、復元性、耐久性のある材料で、一般には合成ゴム発泡体で幅75mm、厚さは5及び10mmの2種類がある。通常はガラスブロック製造所の指定するものを使用する。

(5) 滑り材
壁用金属枠の面内方向部分に張付け、充填モルタルと同枠間を滑らす目的の材科である。一般には厚さ1.2mm程度の塩化ビニル又はブチルゴム製の粘着層付きのテープで幅は25及び50mmの2種類がある。

(6) アンカーピース
カ骨を所定の位置とするため壁用金属枠に組み込む部品で、一般的には SUS304である。鋼製サッシや鋼製枠を使用する場合には、電食防止のために絶縁する必要がある。通常はガラスブロック製造所の指定するものを使用する。

(7) 水抜きプレート
壁用金属枠の下枠溝内に組み込み、ガラスブロック壁内に浸入した雨水を排水孔に導く機能をもつもので、一般的には塩化ビニル製である。通常はガラスブロック製造所の指定するものを使用する。図16.14.5に形状例を示す。

図16.14.5_水抜きプレートの形状例.jpeg
図16.14.5 水抜きプレートの形状例

(c) 工 法

(1) 耐風圧性
ガラスブロック壁面の耐風圧性能が建築基準法(平成12年建設省告示第1458号)に適合した工法は特記される。

(2) 工法詳細
(i) 目地幅の標準寸法は、10mmである。8mm以下にすると.内蔵される力骨(φ5.5 mm)との接触や、モルタルの充填性が悪くなり望ましくない。逆に、15mmを超える幅では、目地モルタルの仕上げが悪くなり、また、目地モルタルのひび割れも発生しやすくなるので、標準寸法に設定するのがよい。

曲面に積む場合は、最小半径をガラスブロックの幅寸法の10倍以上にしないと、上記の目地幅範囲を確保できない。なお、目地幅は、原則として外側 15mm以下、内側6mm以上を確保する。

(ii) ガラスブロック壁面が大きくなると、開口周辺の緩衝材や滑り材だけでは、ガラスブロックの熱変形や地震時の躯体の変形に追従できなくなる。したがって、開口部の幅が 6mを超える場合には、6m以内ごとに 10〜 25mm幅の縦方向の伸縮目地を設ける必要がある。図16.14.6に伸縮目地の納まりを例示する。

図16.14.6_伸縮目地の納まりの例.jpeg
図16.14.6 伸縮目地の納まりの例

(iii) 風圧を受けた場合の壁用金属枠の変形を押さえるため450mm以下の間隔で、壁用金属枠を躯体に固着し、モルタルを密実に充填する。

(iv) 力骨の設置間隔は、要求されるガラスブロック壁面への風圧力に対応した間隔であることが必要である。実験結果による力骨の設置間隔は、図16.14.7のようになっている。最大間隔(標準目地幅10mmの場合)は、縦横とも620mmである。

図16.14.7_風圧力の大きさと力骨の設置間隔.jpeg
図16.14.7 風圧力の大きさと力骨の設置間隔(実験結果)

(v) ガラスブロック壁面の標準施工例を図16.14.8に示す。


図16.14.8_ガラスブロック壁面の標準施工例.jpeg
図16.14.8 ガラスブロック壁面の標準施工例

参考文献
14節ガラス参考文献.jpg


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